AIを使った投資情報は役に立つのだろうか(写真:Graphs / PIXTA)

日本の株式市場や為替市場において、AI(人工知能)による投資や運用の影響度合いが高まりつつあります。

個人投資家が人工知能を活用するためには?

最近、私も個人投資家の方々から、「個人投資家がAIを気軽に活用して投資を行うことはできないのか?」「AI投資はどうやったらできるのか?」「ネット証券はどんなAIサービスを提供しているのか?」などの質問を多く受けるようになってきました。

今回は、こうした質問にわかりやすく答える形で、日本のネット証券が提供している個人投資家向けAIサービスを少し紹介していきたいと思います。

まずはネット証券最大手、SBI証券による個人投資家向けAIサービスを見ていきましょう。SBI証券は、投資信託をはじめとした総合金融情報を提供するモーニングスター株式会社のAIを活用し、米国の主要500社が公表した決算情報を日本語に翻訳した「米国株式決算速報ニュース」を流しています(最速なら企業の開示から数分で配信)。

足元では最高値を更新するなど堅調な米国株に投資したいものの、「外国語はちょっと苦手で情報収集のハードルが高い」と感じる日本の投資家にとっては便利なサービスです。

次にマネックス証券のAI関連サービスを見てみましょう。AIが示唆した資産配分(アセットアロケーション)に関する月次の「AIレポート」を顧客向けに配信しています。これは株式会社Good Moneyger(グッドマネージャー)社のAIを用いてマーケットを分析し、世界主要地域(米国・欧州・日本・新興国)の見通しを目に見える形でわかりやすく把握できます。

ご覧になっていただくとわかりますが、世界の景気の状況などを天気予報形式で表現し、株式・債券・REITなどの資産への投資スタンスを「◎・○・△」の3段階で表しています。「バランス投資を考えて資産形成に努めようと思うけど、どんな地域に投資すればいいのか? また、どのような資産に資金を配分していったらいいのかを知りたい」という個人投資家には、冷静で中立的な機械であるAIが示唆した資産配分戦略は、1つの参考情報になるのではないかと思います。

一方、カブドットコム証券は「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」をうまく組み合わせて活用しようとする個人投資家向けに、AIサービスを提供しています。

まず、テクニカル分析においては、超高速リアルタイム処理技術を活用したチャートツール「AlpacaSearch (アルパカサーチ)for kabu.com」を提供しています。類似するチャートの形状を国内の全上場銘柄から抽出してくれるAIサービスであり、こんなチャートの銘柄を買いたい、売りたいといったイメージがある個人投資家にとっては便利な機能だと思います。

仮にチャートパターンが良い銘柄を、このようなツールで見つけたとしましょう。ただ、その銘柄が東証マザーズ銘柄やIPO(新規株式公開)銘柄など決算・業績情報などファンダメンタルズの動向がわかりにくい銘柄だったらどうでしょうか?

企業の決算公表後「1分以内」に内容がわかるサイトも

チャートなどのテクニカル分析結果が良かったので買ったものの、いきなり業績の下方修正が起こったりして株価が急落してしまうこともあるかもしれません。そうなると、とても不安になりますよね。そのような場合を避けるべく、ファンダメンタルズ分析をサポートするAIツールである「xenoFlash(ゼノ・フラッシュ) for kabu.com」を同時に提供しています。

このサービスは、企業分析AIを開発する株式会社xenodata lab.(ゼノデータ・ラボ)と提携し、決算発表後、瞬時に決算発表内容の定性情報を含めた要点をまとめ、自動決算分析レポートを個人投資家に提供するものとなっています。

たとえば、企業が決算を発表した場合、瞬時にAIが業績の増減要因や決算サマリーを作成してくれます。投資家は情報の取得しにくい中小型株の業績動向の要約を、瞬時に取得できるようになります。AIが約2900〜3000社の国内上場企業が開示した決算発表資料を読み込んだうえで瞬時にレポートを作成することができるシステムであり、企業の決算情報の公表から営業利益の増減要因などが最短で1分以内に見ることが可能になるといわれています。

短期のトレーディングを行っている個人投資家にとって、AIによるテクニカル分析ツールやファンダメンタルズ分析ツールを効果的に活用し、よりはやく効率よく情報を集めて最終的な意思決定につなげていくことが投資の成果を上げるうえでも大事になってくるでしょう。

その他のネット証券のサービスとしては、為替サービスで、松井証券が「AIチャート・FX」というサービスを提供しています。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術を活用したAI搭載のロボ・アドバイザーのサービスで、チャートから「売り」「買い」のタイミングを選択するだけで、AIがチャートパターンを分析し、利用者・個人だけの投資アルゴリズム(手順の定式化)を作成します。作成されたアルゴリズムは、リアルタイムで売買タイミングを通知してくれる優れものです。

また、東海東京証券はネット投資家向けに「TTスキャン」というAIを活用したテクニカル分析サービスを提供しています。

統計的なアプローチの観点から過去5年間における株式市場データを取り込み、銘柄ごとに効果の高いテクニカル指標を洗い出し(ビッグデータ解析)、そのテクニカル指標が発生した場合の過去の勝率および期待上昇/下落率を提示することで、テクニカル分析を活用する投資家への期待に応えています。

SNSの情報や株価をもとに、話題銘柄情報を入手

一方、岡三オンライン証券はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とAIを活用した面白いサービスを提供しています。たとえば、TwitterをはじめとするSNSの情報をAIで解析・分析し、投資情報として提供する新しい投資情報ツール「♯カブトレンド」を提供し、SNSの情報や株価を基に、話題になっている銘柄のランキングを知ることが可能です。市場で今、何が話題になって、どのような銘柄が注目されているのかを知るのに便利だといわれています。

このようなネット証券各社が提供しているAIサービスをしっかり比較、検討し、自分の投資スタイルに合った形で効果的にAIを活用し、投資に臨んでいただけたらと思います。筆者個人としては、カブドットコム証券、松井証券が提供しているAIによるテクニカル分析ツールに注目しています。


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このAIのテクニカル分析ツールを提供しているのが前出のサービス名でも触れた「Alpaca(アルパカ)」という会社です。この会社は今、ディープラーニングを活用してAIとテクニカルを結び付けた先端のベンチャー企業として注目されています。

こうした会社が提供するAIの先端技術によって、チャートのパターン認識の精度がどこまで進化するのか? また、株価などのビッグデータやチャートパターンなどに基づくテクニカル分析とAIの融合による投資判断の示唆が実際の投資家による売買と結び付いて、マーケットにどのような影響を与えるようになるのかに注目しています。まさにAI時代だからこそ再度、テクニカル分析に注目したい1つの理由でもあり、そうした動きをウォッチして投資の成果につなげていきたいものです。