恵比寿で今最も注目されるイタリアンは間違いなくこの店だろう。

魚介を使ったまるで鮨のような一口パスタが人気で、店名は「塩」を意味する『セルサルサーレ』。

恵比寿に移転オープンした注目の店にとって、「塩」という食材がなぜそこまで重要なのか。その謎をご紹介しよう!



彼の塩へのこだわりを強く感じる料理のひとつ「天然の真鯛の冷製カッペリーニ」はコースの一番最初に登場する
塩と食材の相性を考え抜く姿勢に感動!

「塩ひとつで味が変化することはないかもしれない、しかし塩単体で舐めたときの感覚がこんなにも違うのだから……そういう細部にこだわっていきたいと思ったんです」と『セルサルサーレ』の濱口昌大氏は語る。

店名『セルサルサーレ(Sel Sal Sale)』は全て塩を意味する単語を繋げたもので、濱口氏の塩へのこだわりと愛情を示す。月替わりのコースにはそれが随所に感じられるメニューが並ぶ。



フォークにひと口サイズで巻かれたカッペリーニの上に鯛があしらわれた盛りつけも濱口氏が考案したもの。冷製カッペリーニを、ベストなタイミングと量で提供できる方法を模索した結果辿り付いた形である
バシッと決まった塩味に感動!スペシャリテを一番に召し上がれ!

コースの最初に提供されるのは「天然の真鯛の冷製カッペリーニ」である。店で最初に口にする料理にスペシャリテである冷製カッペリーニを、一口サイズに配するプレゼンテーションがニクイ。

長崎県産の鯛に塩をふり、鯛のエキスを塩の浸透圧の力を使って抽出するのがポイント。そのエキスとゆであげたカッペリーニを何度もかき混ぜてパスタの小麦の成分が溶け出し、とろみが出る。

そこへトマトの透明なエキスを入れ、さっぱりと仕上げ、塩分は最後に0.1gほど一番神経をつかって追加する。その美味しさに「もう1本食べたい」と誰もが思うはずだ。



「季節の冷製ビシソワーズ」。この日のクイズの正解は洋なし。以前は桃なども使用していたそう。ぜひ、自分の舌で感じたままをスタッフに伝えてみて欲しい
提供方法にもひと工夫。会話が生まれる楽しさを演出

極上スペシャリテでスタートを切ったコースの2品目は「季節のビシソワーズ」。一見何の変哲も無いじゃがいもの冷製スープのようであるが、やはりしっかりと小技を効かせてくれている。

提供される時「季節のフルーツを混ぜています。何か当ててみて下さい」とスタッフから突然クイズが出されるのも一興。テーブル内での会話はもちろん、スタッフとの会話も生まれ、初訪問の緊張感もここですっかりほぐれてしまう。



「カリフラワーソースと生うにの冷製カッペリーニ」。ひと口で完結する様は「鮨」とも似た感覚。最近はより鮨を意識して冷製カッペリーニの新作を考案中だという

そして、「あの冷製カッペリーニ、もう1本食べたいな……」という心の声が聞こえたかのようなタイミングで、もう一口出てくるのがうれしい!

今度は「カリフラワーソースと生うにの冷製カッペリーニ」の組み合わせで。これはもはや「鮨」である。

またあのパスタの感動を、今度は違った味わいで楽しめるのかと心が弾む。



「お任せコース」(1名5,500円〜)※予約は2名から受付

当初は「冷製カッペリーニ」を皿の上に3種ほど盛りつけて提供していたこともあったという。しかし、会話しながらならば最低10分はテーブルに放置されてしまい、どんどん味が落ちていってしまう。そういう状況を避けるべく考案されたのが、今の提供方法。

食材、パスタ、ソースが全て口へと運ばれ、一瞬で完結する今までにない一品といえるだろう。


続く料理も、絶品ぞろい!塩使いが光る!


これで満足できない人はいない。絶品尽くしのコスパコース!

コースはまだまだ前半戦。同店のコースはワンコースのみで価格は5,500円(月により多少変動あり)というお得さも魅力。ここからは10月のコース料理の内容を一挙に紹介。これでもまだほんの一部であるのだから、そのお得さに震えてしまいそうになる。



「甘鯛の鱗焼き」。甘鯛特有の旨みの強さをナスタチュームの辛味でリフレッシュ。下には根セロリのピューレ、上にはオリーブオイルの泡、オリーブパウダーが添えられている



「季節野菜とスルメイカのグラタン」。魚醤で焼いた蓮根、ニンニク油で焼いた長芋、バターで焼いた里芋という3種の野菜に、スルメイカのスパイシーなラグーをかけて、焦がしたイカソースで香ばしさと苦みをプラス。上にはピリッとしたサラダ、コリアンダーや胡麻、塩コショウなどスパイスを混ぜたパン粉がさらに味わいを加えてくれる



「フォアグラのブリュレ」。フォアグラもパンも甘めの味付けであるが、パンにはエスプレッソの粉を練り込み、フォアグラは表面を焼き、それぞれに苦みもプラス。また塩は、濱口氏が独自に配合したフォアグラ用の塩を使用



「安納芋のスープ」。200度のオーブンで焼き上げた安納芋をポタージュにして優しい甘みのスープにし、自家製のベーコンとトリュフとブッラータチーズを合わせた。※こちらはビシソワーズと2つ目の冷製カッペリーニの間に登場



「旬の貝のバター焼き」牛だしやブランデーなどを加えて、しっかりと作り込んだ自家製バターで焼き上げる貝は絶品。残ったバターソースはフォカッチャに付けて召し上がれ



「北海道苫小牧産のフォルスタインのロースト」。最後は、やはりイタリア料理らしさも演出したいと、シンプルに食材の味を楽しめる料理を提供することが多いという。インカのめざめを燻したマッシュポテトやグラダパダーノも美味



調理風景から盛りつけまで全てオープンなカウンターキッチンもこだわりのひとつ
塩使いにかけては料理界一!濱口氏の塩への熱い想い

彼は、まかないは食べずに夜の調理場に立つのだという。それはなるべくピュアな状態の舌を保つため、そしてお腹を空かせてやってくるお客さんと同じ状況を維持するためだそうだ。

寸分の狂いのない塩加減で、ベストな料理を提供したいという強い想いが彼をそこまでさせる。まさに「塩」に魅了された料理人と言えるだろう。



コースでは15〜20種の塩を使い分けるというのだから驚きだ

強くて長い塩味を感じるアニャーニャ岩塩、ミネラルを感じる矢堅目の藻塩……それらを「ただの塩」として見るのではなく成分まで分析し、食材との相性から口の中での交わり方まで考え抜いてひとつの料理を作り出すのだ。



テーブル席も備え、ワイワイと気の知れた仲間通しで楽しむのにも最適
次の一手が読めないだけに、季節が変わる度に訪れたくなる

シンプルな美味しさの上に、フレッシュな感動をプラスしてくれる濱口氏。一度訪れ、この美味しさを知ってしまったが最後、誰かにこの感動を伝えずにはいられない。

そんな名店『セルサルサーレ』は、2017年春に三宿から恵比寿に移転し、さらに通いやすさがアップ!予約困難になること必至だ。

クリスマスの予約は、11月1日よりスタート。デート場所を探しているならぜひ予約を。シェフからのサプライズプレゼントも期待できるかも…?