【SUBARU BRZ STIスポーツ試乗】意のままに操れて乗り心地は極上!大人に似合うスポーツクーペ

写真拡大 (全10枚)

かつて…具体的に言えば1990年代後半くらいまでだろう。日本で2ドアクーペやスポーツカーといえば、若者が乗るジャンルのクルマで、大人が似合うクルマではない、という空気があったように思う。

日産「シルビア」やトヨタ「セリカ」など“スペシャリティカー”と呼ばれる気軽な2ドアクーペやハッチバックがあり、上級車としてはトヨタ「ソアラ」などもあったが、いずれも日本においては“大人が乗るためのクルマ”という風潮は感じられなかった。

しかし、欧州では違った。実用性とは対極の存在といえるクーペやスポーツカーは“優雅さ”の象徴であり、ゆとりのある大人が乗るための乗り物だったのだ。

そして今、日本では国産のクーペ&スポーツカーは少なくなってしまったが、一方で、大人が似合う乗り物へと立ち位置が変わったように感じる人も少なくないだろう。重要なのでもう一度書いておこう。クーペやスポーツカーは今、大人が積極的に選ぶべき乗り物である。

なぜそんな話をしたか? 先日デビューして早速試乗したSUBARU「BRZ」の追加グレード「STIスポーツ」が、まさに大人に似合うスポーツカーだと感じたからだ。

STIといえば、モータースポーツ活動を担うSUBARU直系の子会社である。BRZ STIスポーツはその名を掲げるモデルだけに、標準車に対して動的性能が引き上げられているのはいうまでもない。

さらなるハンドリング性能を身につけるため、ドイツの名門・ザックス製のダンパーを組み合わせたSTIチューニングのサスペンションに始まり、“フレキシブルVバー”や“フレキシブルドロースティフナー”を装着。足元は、ハイグリップながら乗り心地にも優れる18インチのミシュラン「パイロットスポーツ4」に、STIスポーツ専用のアルミホイールを組み合わせて履いている。

フレキシブルVバーはあまり耳馴染みのない部品だが、エンジンルーム内で左右のフロントサスペンション上部を車体とつないで剛性を確保する“つっかえ棒”の一種。しかし、単に連結するだけでなく、バーの途中にピロボールを挟み込むことで、振動をしなやかにいなす減衰効果を与えたのが特徴のSTIオリジナルアイテムだ。

また、フレキシブルドロースティフナーは、フロントのクロスメンバーと車体(サブフレーム)とを斜めにつないでハンドルの中立状態から一定の力を掛けておくことで、ハンドルを切った直後のわずかな車体の反応遅れを解消するアイテムである。

今回、高速道路を模したテストコースとパイロンスラロームで試乗したのだが、乗り味は「想定外!」と「想像以上!!」のふたつが印象に残った。

想定外だったのは、高速走行時における安定性と乗り心地の良さ。日本の高速道路の制限速度を超えるような領域に入っても、車両の挙動に落ち着きがあり、高い速度であることを感じさせないほどの安心感があるのはいわずもがなだが、乗り心地が良いことにも驚いた。具体的にいえば、路面にうねりがあった時の車両の上下動が少なく、その動き自体も滑らかと、不快さに結びつく要素が排除されているのだ。スポーツカーといえば乗り心地が悪い…。そんな常識は過去のものであり、だからこそ大人にも似合うのだ。

一方、想像以上だったのは、パイロンスラロームにおけるシャープさ。意のままに、まるで水を得た魚のように右へ左へと気持ちよくターンする感覚は、「tS」など従来のSTIモデルも含め、最もシャープに感じられた。このキビキビ感なら、本物を知るスポーティドライブ派を納得させ、サーキット走行においても期待に応えてくれることだろう。

高い運動性能でシャープに、意のままに走れるハンドリング性能を持ちつつ、高速領域でのスタビリティや乗り心地にも優れるスポーツカー。まさに大人に似合う乗り味といえるのではないだろうか?

STIスポーツは、内外装の仕立ても大人を意識したものだ。まずエクステリアは、STIというネーミングから連想させるような、尖った演出が皆無。リアスポイラーこそやや目立つが、あとはフロントバンパーのSTIエンブレム、専用のフェンダーガーニッシュ、艶のあるブラックでコーディネートしたドアミラーやシャークフィンアンテナなど、小物やホイールなどに派手さはない。

そして、特筆すべきはインテリア。シートは本革やアルカンターラを張った上質な仕上げとし、落ち着きのあるボルドーのカラーリングで大人の空間をつくり上げているのだ。また、メーターパネルやメーターバイザー、ステアリングホイールなども、専用品が組み込まれている。

このBRZ STIスポーツは、限定モデルや特別仕様車ではなく、BRZの頂点に立つグレードとしてカタログモデルとして展開される(特別色の“クールグレーカーキ”に塗られた「STIスポーツ クールグレーカーキエディション」のみ100台の限定生産で、抽選販売される予定)。今こそ、大人がクーペやスポーツカーに乗るべきである。BRZ STIスポーツは、そんなクルマ選びの最有力候補になるのは間違いない。

<SPECIFICATIONS>
☆STIスポーツ(6速MT)
ボディサイズ:L4240×W1775×H1320mm
車重:1250kg
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:207馬力/7000回転(6速MT)
最大トルク:21.6kg-m/6400〜6800回転
価格:353万1600円

<SPECIFICATIONS>
☆STIスポーツ(6速AT)
ボディサイズ:L4240×W1775×H1320mm
車重:1270kg(6速AT)
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:6速AT
最高出力:200馬力/7000回転
最大トルク:20.9kg-m/6400〜6600回転
価格:359万1000円

(文/工藤貴宏 写真/SUBARU、&GP編集部)