Doctors Me(ドクターズミー)- 男性不妊の原因にも?白濁した尿で気付く“逆行性射精”のメカニズム

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みなさんは、逆行性射精という症状をご存知でしょうか?男性の方が排尿の際、尿が白く濁ていたなどで気付かれることがあるそうです。

今回は、逆行性射精の原因・症状・治療法はもちろん、気になる糖尿病や男性不妊との関連性について、医師にお話を伺いました。

逆行性射精が起こるメカニズム 

逆行性射精とは、何らかの原因で、内尿道口がわずかにゆるみ、精液が尿道を通って外に出るのではなく、膀胱に逆流することを言います。

つまり尿道を、尿の通り道としてだけではなく、精液の通り道としても共有していることでこのような現象が起こります。

逆行性射精を理解するためには、男性の泌尿器と生殖器の構造を理解する必要があります。

男性の排尿の仕組み





膀胱から出た尿が通る道が尿道で、尿道は陰茎の中を通って出ていきます。膀胱のすぐ下には前立腺があり、尿道は前立腺の中を貫通しています。

腎臓で作られた尿は膀胱に溜まります。膀胱は筋肉でできた袋で、出口が締まることで漏れるのを防いでいます。

脳から「排尿して良い」という信号が出て、副交感神経が働いた場合のみ膀胱の出口(内尿道口)がゆるみ、尿が出ます。

射精の時に尿が一緒に出ない理由





前立腺内の尿道に、精液を運ぶ管が合流しています。

射精するときは交感神経が働いているため、内尿道口は締まっており、膀胱内の尿は外に漏れず、また精液は膀胱内には行かずに尿道を通って出ていきます。

逆行性射精の原因



若者



子どもを持とうとする年代の男性では、なぜ内尿道口が緩むのかは原因不明と言えます。

  

高齢男性



比較的高齢の男性に多い内尿道口がゆるむ要因としては、以下が考えられます。

・前立腺肥大症があって手術で前立腺や膀胱の出口付近を削り取っている

・前立腺肥大に対して、尿の出を良くするために、尿の通路の筋肉を緩ませる薬を飲んでいる

・膀胱に至る神経に問題がある場合(例:糖尿病、膀胱機能をつかさどる脳機能の病気、脊髄の病気、骨盤内の手術後など)

逆行性射精の症状



精液の量



精液の量が少ない、もしくは全くないことで気づかれる場合があります。しかし精液の量にはもともと個人差や体調による差もあるため、気づかれないこともあります。

尿の色



射精後に出した尿が、精液が混じっていることで白く濁って見えるために気付かれることもあります。

しかし、射精後はそもそも尿道に少量の精液が残っていることが普通ですので、ご自身では判断は難しいかもしれません。

痛み



射精や排尿に伴う痛みはありません。

逆行性射精と糖尿病の関係

 

糖尿病では細い血管の血流が悪くなります。細い神経の周りにある非常に細い血管は特に血流が悪くなりやすいです。膀胱に信号を送る神経は細い神経ですので、糖尿病による血流悪化の影響を受けやすいと言えます。

糖尿病は生活習慣の関与が大きい病気ですが、糖尿病なら必ず逆行性射精になるという訳でもありません。

逆行性射精により懸念される男性不妊について

 

精液の量が減るため、逆流の程度が強ければ妊娠しにくくなる可能性があります。

ただし、男性の精液の状態は、逆行性射精の有無にかかわらず、毎回かなり変化します。一回の精液検査で妊娠可能性を正確に判断するのは難しいですし、「逆行性射精と診断されたから、この子は俺の子であるはずがない」というようなことは言えません。

逆行性射精は自然治癒する? 

 

自然治癒は難しいと思われます。

しかし、精液の状態は毎回異なるため、たまたま逆流が少なく、精子の数・質が良いというような条件が重なれば、自分では逆行性射精だと自覚しないうちに自然妊娠したということもあるかと思います。

逆行性射精の治療法



専門科目 



泌尿器科、不妊治療専門の婦人科

検査 



血液中のホルモン値や精巣の大きさが正常であることを確認します。射精直後に排尿し、尿内に精子が多量にいることが分かれば診断がつきます。

治療 



内尿道口を締める作用のある薬を内服します。この薬はうつ病に対して使用される薬ですが、副作用として尿道を締まりやすくする作用があり、その副作用を利用します。

また、精液が尿に混ざると精子が死んでしまうのですが、膀胱内に精子の生存に適した液を満たしておいてから射精し、膀胱内の液ごと精子を回収し、濃縮して人工授精や体外受精に使用することもあります。精巣を切って精子を採取し、体外受精を行うこともあります。

最後に医師から一言

 

精液の量が極端に少ない場合に逆行性射精を疑うことになります。精液は射精のたびに状態がかなりばらつきますので、複数回精液検査を行うことが必要です。

(監修:Doctors Me 医師)