成果の横取りに心理学で「復讐」する方法

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■「不正なやり方」か、「仕事ができる証明」か

自分のアイデアを取られた。プロジェクトの最後、美味しいところだけを奪われた。ビジネスでは、自分の手柄を、同僚や時には上司に横取りされることがあるものです。では、そのときに取るべきはどんな行動、態度であり、どのように心理を整えればいいのでしょうか。

いかに相手が不正に、自分の仕事を奪ったか、事実経過を周りの人たちに丁寧に説明する。そのうえで「対抗戦略」として、自分のこれまでの仕事ぶりをアピールすることもできます。

ただ、このような主張は戦略としては難しいものです。できない人間の「負け犬の遠吠え」と見なされてしまうことのほうが多いでしょう。企業社会であれば、結果を残すことが第一。「横取り」も、言ってしまえば仕事ができる証明で、今さら対抗しても仕方がない、と言えるのです。

■相手から「横取り」してやり返す

別の案件で、今度は自分が相手から「横取り」してやり返す、という手段もあります。そうやって切磋琢磨して競うことで、高い成果を生む。1つの考え方としてありえるでしょう。たとえば、昔のリクルートなどは同じプロジェクト、コンペティションで社員を競わせ、徹底的に鍛え上げたといいます。近年でも、マスコミをはじめとする一部の企業ではその文化が残っているようです。

週刊誌などは、いかに先に「ネタを抜くか」が仕事です。先日、週刊新潮が、「ライバル誌である週刊文春が週刊新潮の中吊り広告を公開前に盗み見て、締め切り前にスクープを横取りしている」という記事を発表しました。

たしかに不正な手段は問題ですが、「どんな手を使っても相手より先にネタを抜く」という文化が週刊誌にはあり、それが面白い誌面づくりに繋がっている面があります。法的、倫理的な問題はあるでしょうが、あまり「健全な競争」になってもつまらない、と言う人もいます。

■「横取り」されたと思い込んでいないか

一般の企業に当てはめても、不正一歩手前の競争こそが新たな価値を創造する、と考える人もいるでしょう。

企業文化をどうつくっていくのか。皆がルールを守って仲良く横並びになる文化では、できる人が抑えつけられ、飛び抜けた人材が出てこないというのも日本社会の停滞の原因とも言えます。大手銀行などはわざと変わった人を採用しているはずなのですが、企業の働き方に慣らされてしまうのか、経営陣は停滞しているように見えます。

最後に、別の視点で「横取り」について考えてみてください。どういうことかと言うと、そもそもあなたの手柄は、はたして「横取り」されたのか、ということです。

もしかしたら横取りされたというアイデアは、あなた独自のものではなく、相手が先んじて温めていたものかもしれない。案件を最後に横取りされたと思っているのも、相手のほうが着々と準備をしていて最後に結果を出したのに、勝手に「横取り」と思い込んでいる場合もままあるものです。

横取りされたと恨むのではなく、シンプルに自分の「実力不足」を省みて、相手の優秀さを認める機会にするべきなのかもしれません。

(社会心理学者 川上 善郎 構成=伊藤達也)