失敗しない干し柿の作り方

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秋の果物と言えば、柿を思い浮かべる人も多いだろう。冬には干し柿も登場するように加工品も美味である。その干し柿に関する記事として、教えて!gooウオッチ教えて!gooウオッチでは、「あんぽ柿が高い理由は伝統と製造過程にあり!?」を公開している。ご存知の通り、干し柿は製造過程において手間暇がかかっている分、生のものより値段が高い。それならば、自分で作れないかと考える人もいるだろう。そこで今回は、初心者でも失敗せずに干し柿を作る方法がないか、農作物の研究者で、柿の加工にも詳しい、奈良県農業研究開発センターの浜崎さんに話を聞いた。

■干し柿作りは乾燥が決め手

干し柿はその名の通り、柿の果皮を剥き乾燥させて作らなければならない。昔ながらの軒に吊るして天日で干す方法は今でも主流だが、初心者にもできる方法はあるのだろうか。

「初心者でもできる方法となると限られてきますね。そもそも干し柿は、東北、北陸、信州など、十分に気温が低く、空気の乾燥した場所で作られるものです。西南暖地や都心などでは、どうしても条件的に限界があります。条件が揃わない地方で干し柿作りを行うとしたら、沸騰させたお湯に柿を漬け、すぐに引き上げてから風通しの良い軒に吊るしたり、日に当てて早く乾燥させる。あるいは扇風機などで柿に風を当てるとよいでしょう」(浜崎さん)

ちなみにお湯に漬ける作業は、殺菌するため、また乾燥の促進のために行う。

浜崎さんの説明からも分かるとおり、干し柿作りには低温、低湿度が必須条件。初心者が干し柿作りに挑戦する場合は、できるだけ低温、低湿度の状態に近づけることが、成功への道につながるのだ。

■カビが最大の敵

干し柿で難しいのは、乾燥初期のカビ対策と、浜崎さんは続けてくれた。

「これは素人、玄人に関係なく、干し柿作りでの最大の課題といえます。過去、さまざまな技術の開発が試されました。大掛かりな装置では、完全密閉された乾燥庫の中で強力な殺菌力のあるオゾンガスを流したり、殺菌灯(紫外線灯)で柿を照らすなどの方法です。いずれも人体に悪影響を及ぼすものであり、それなりにコストもかかります。よって実用化されている例は極めて少ないと思います」(浜崎さん)

最新の技術開発をもってしても苦戦するぐらい、カビ対策のハードルは高い。

■全体にカビが生えてしまったら救う手立てはない

干し柿作りのポイントであるカビ対策、家庭でできる具体的なコツ、注意点などについてさらに伺った。

「カビ対策には、今のところ完璧な方法はありませんが、ご家庭でできることとしては、できるだけホコリの立たない清浄な環境で皮剥きをすることです。ナイフ、ピーラーなどの道具や、果実を触る手はしっかり洗浄し、アルコール等で消毒しておくことも忘れないでください。柿を日に当て、とにかく表面を早く乾かし、毎日よく観察してください。わずかでもカビが見えたら少し大きめに削り取り、アルコールをさっと振りかけ干し続けてください。ただし、全体にカビが回ったようなものは残念ながら救うことはできません」(浜崎さん)

■柿は「煮る」のではなく「漬ける」

さらに浜崎さんは初心者が陥りやすい失敗と対策を教えてくれた。

「初心者の方は、柿をお湯に漬ける際、グツグツ煮てしまうことがあります。あまりに長く煮てしまうと、柿が死んでしまい、干し上がっても渋い干し柿になってしまうので、沸騰したお湯につけるのはほんの数秒、ごく短時間で十分です」(浜崎さん)

柿は「煮る」のではなく「漬ける」と覚えておこう。

とにかく大切なのは、乾燥とカビ対策。それさえクリアできれば、家庭でも干し柿が作れそうだ。庭に実った柿、今年は自作の干し柿作りに挑戦してみてもいいかもしれない。

●専門家プロフィール:浜崎 貞弘
奈良県農業研究開発センター加工科食品加工ユニット総括研究員。著書に「柿づくし〜柿渋、干し柿、柿酢、柿ジャム、紅葉保存」(農山漁村文化協会)がある。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)