『文様えほん』(谷山 彩子/あすなろ書房)

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 風呂敷には唐草模様、ラーメン丼には雷文。周囲には、さまざまな文様がある。文様には当然ながら意味やドラマがある。

 『文様えほん』(谷山 彩子/あすなろ書房)は古今東西、300種の文様が収められた絵本。「文様の旅」のページを見ると、日本の唐草模様は中国の雷文の影響を受け、雷文はギリシャのパルメットをルーツにもち、パルメットの源流はエジプトのロータス(蓮の花の文様)にあることがわかる。唐草模様が、エジプトと日本を結ぶ。

 文様は、日本の歴史で起こったドラマを語る。

 古墳・飛鳥・奈良時代には大陸との交流が始まり、外国の道具に描かれていた文様が日本の文様に影響を及ぼした。江戸時代には町人文化が花開き、自由で大胆な文様が多産された。明治・大正時代になると、アールヌーボー風やアールデコ風など、西洋風の文様が流行した。美しい、格好いいという見栄えだけではない文様の魅力に気づかされる。

 文様から季節を感じることもできる。私たちの身近にある五円玉のデザインで馴染み深いのは、日本人の食文化にとって欠かせない稲がモチーフの「二つ稲穂の丸」。美しい日本人女性を「大和撫子」と呼ぶが、秋の七草のひとつである撫子をモチーフにした「撫子枝の丸」は繊細かつ凛として美しい。秋の文様には、草花がさびしげに枯れていくほど美しいと感じる日本人の感性が表れている。

 文様から、国柄を知ることもできる。本書では、各国を代表する文様も掲載されている。激しく躍動する世界だが、文様で表すと、このようになる。

 文様を知ることで、新たな世界観が備わるかもしれない。

文=ルートつつみ