“みりん”と”酒・砂糖”の用途はどう違う?本みりんも2種類あるって知ってた?深すぎるみりんの世界

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Rettyグルメニュースをお読みの皆様、こんにちは。「むむ先生」こと、杉村です。

ライター紹介

杉村啓
日本酒ライター、料理漫画研究家、醤油研究家。 日本酒の基本から歴史・造り方までを熱く語った『白熱日本酒教室』やタモリ倶楽部でも紹介された醤油の奥深さを書いた『醤油手帖』など、食に関する書籍を多数執筆。「むむ先生」として食のコラムや紹介を各メディアで担当。8月末には、グルメ漫画の半世紀を辿る新著『グルメ漫画50年史』を上梓。 ブログ

「むむ先生の"食"超解説シリーズ」の8回目は、「『お酒・砂糖』と『みりん』の用途はどう違うの??」というテーマです。今回も非常に難しい問題です。

というのも、そもそもみりんと呼ばれる調味料が何種類もあるからです。
まずはそこをしっかりと分類しなければなりません。

「みりん」は大きく分けると3種類ある

まずは料理に使われる「みりん」を整理しましょう。これは大きく分けると3種類あります。

1:本みりん

いわゆる狭義の「みりん」です。
もち米や米麹など、酒税法で定められた原料で造られる「お酒」です。アルコール度数は14%前後あります。酒税がかかっているため、酒類販売免許を持っているお店でしか販売できません。塩分は入っていません。

2:みりん風調味料

みりんに似せた調味料です。
ぶどう糖や水あめといった糖類に、うまみ成分や酸味料、香料をブレンドして造ります。アルコールは1%未満になるよう造られているため、酒税法の範疇には入りません。どこでも販売することができます。

3:発酵調味料(みりんタイプ)

発酵で造られたアルコールをベースに、糖類などを加えます。アルコール度数は14%前後。ただし、そのままでは飲めないように、塩を加えたり、加塩発酵液を調合します。

塩辛くて飲めなければお酒ではないということで(この塩を加えることを「不可飲処置」といいます。料理酒も同じことをしています)、酒税法の範疇には入らず、どこでも販売することができます。ただし、塩分が強いため、料理に使う際には注意が必要です。

どれも調味料として使えますが、みりん風調味料はアルコールによる効果が無い、発酵調味料(みりんタイプ)は塩分があるなど、微妙に差があります。

今回は「本みりん」を中心にお話をしていきます。

本みりんもさらに2種類ある

では、本みりんの代表的な製造法を見ていきましょう。

精米歩合80〜85%ぐらいのうるち米を使って、まず米麹を造ります。
精米歩合とは玄米を100%にして、精米して周りを削ってどのぐらいの大きさになったかを表すものです。ご飯で食べる白米がだいたい精米歩合90%ぐらい(周りを10%分削っている)なので、白米よりも少し余分に削ったお米と考えるといいでしょう。

この米に麹菌を振りかけ、米麹を造ります。その後、米麹と蒸したもち米(精米歩合85%ぐらい)とアルコールを一緒にタンクに入れ、もろみとして熟成させます。

だいたい2ヶ月ぐらいの熟成期間で、麹菌によってお米に含まれているでんぷんが糖分に、たんぱく質がアミノ酸に分解されて甘味や旨味が増えていきます。

熟成が終わったら、ろ過をして、細かいおりを取り除き、調合して完成です。
しぼったあとのみりん粕は、別名を「こぼれ梅」という食材になったりします。

同じようにお米で造る日本酒は、酵母を使って糖分をアルコールへと発酵させます。みりんの場合はアルコール発酵するのではなく、アルコールは外部から加わるものだけで、お米を分解してエキスを溶け込ませるというイメージですね。なので、発酵というよりは、糖化・熟成という表現を使います。

ということは、ここで加えるアルコールによっても、味が変わると思いませんか?

そう!変わるのです。

加えるアルコールは大きく分けると、連続式蒸留焼酎(昔は甲類焼酎とも言いました)のような、連続式蒸留機で蒸留したものと、単式蒸留焼酎(昔は乙類焼酎とも言いました)のような、単式蒸留機で蒸留したものとに分かれます。

簡単に言うと、単式蒸留焼酎の方は、蒸留回数が少ない分、もとのお酒の香りが残っていることが多く、できあがるみりんにも独特の芳香がつくのです。

こちらのみりんを「旧式みりん」と言います。
伝統的製法による本みりん、という表記があったらこちらのみりんと考えるといいでしょう。

一方で連続式蒸留焼酎は、何度も蒸留をしているため、もとのお酒の香りなどはかなり少なくなります。その分、できあがるみりんは、おだやかにお米の風味が広がるのです。

こちらのみりんを「新式みりん」と言います。

みりんの効能は?

ここまでで、なんとなく『お酒・砂糖』と『本みりん』の違いが見えてきたのではないでしょうか?

お酒(日本酒)は、お米からできた糖分をアルコールに発酵して使ってしまうため、みりんに比べると糖分が少なくなっています。そこで、みりんと同じように調理で使うとしたら、砂糖を加える必要があるのです。

一方のみりんは、砂糖ではなく、お米からできた糖分が主体です。

これがブドウ糖やオリゴ糖といった、さまざまな種類の糖で構成されているため、お酒と砂糖の組み合わせをみりんと同じぐらいの糖分になるようにしても、みりんの方がやわらかでまろやかな甘味になるのです。

甘味が強くなりすぎないので、味をまとめるのにも役立つのですね。

この、さまざまな糖類は、調理のときに他にも有利に働きます。
「テリ」や「ツヤ」も、砂糖よりも複数の糖類がある方が、焼き物や煮物に使った時に、よりきれいなテリやツヤを生み出すのです。

他に、アルコールと糖分の効能として、煮崩れを防止する、味がしみこみやすくなる、消臭効果があるなどがあげられます。このあたりは『お酒・砂糖』と『みりん』と共通ですね。

あとは、含まれているデキストリンという成分に粘着力があり、糊のような働きをします。

たとえば蕎麦つゆにみりんを入れることで、よりつゆが蕎麦に絡むし、鰻や焼き鳥のようにタレを塗って焼くものにも、タレがぽたぽた落ちないようにする効能があるのです。

というわけで、まとめますと、

・「テリ」や「ツヤ」を綺麗に出したい
・上品に味をまとめたい

ときには、お酒・砂糖だけではなく、みりんを使うといいでしょう。

【むむ先生のイチオシ調味料〜みりん編〜】

伝統的な製法のみりんに興味を持った方に、ひとつみりんを紹介しましょう。

千葉県は香取市佐原にある、馬場本店酒造の「最上白味醂」です。
伝統的な製法の本みりんで、料理を一段階も二段階も美味しく仕上げてくれます。

馬場本店酒造 オンラインショップより

画像引用元:http://www.babahonten.com/shop/item_list?category_id=264784

ちなみに、そのままでも飲むことができるみりんです。
焼酎と合わせる「本直し(柳蔭 やなぎかげ)」にしてもおいしいですよ。

(*「本直し」とはみりんに焼酎を加えたもの。江戸時代、みりんと焼酎をほぼ半々に混ぜたものを関西では「柳蔭(やなぎかげ)」、江戸では「本直し」と呼び、冷用酒として飲まれていたそう。かつては夏の暑気払いとして飲まれ、現在の正月の屠蘇(とそ)のベースとなっている。)

馬場本店酒造
千葉県 香取市 佐原イ
その他

■グルメ漫画の歴史をまとめた本『グルメ漫画50年史』を出しました

50年にわたるグルメ漫画の歴史を、10年ごとに区切り、当時の食文化からどういう影響を受けてきたのか、そして食文化にどういう影響を与えてきたのかを記しました。

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