肩の力を抜いて伝統と技術を守る。真の大人が通いたい、名店の元料理長が営む下町価格な本格割烹

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あなたは和食が好きですか?
和食ってどんなものだと思いますか?

和食が世界文化遺産に登録され、いま世界が注目している和食。

でも、日本では「和食離れ」が長年叫ばれ続け、中でも「しみじみ美味しい」「滋味溢れる」、そんな言葉が食の世界でもあまり使われなくなったように思います。

だからこそ、いま「滋味溢れる和食の良さをみんなに知って欲しい」。
そんな想いの詰まった"地味だけれどうまい和食の深遠"連載がスタートです。

ライター紹介

柏原光太郎
1963年東京生まれ。出版社でグルメガイドの取材、編集などをするうちに料理の魅力にはまり、フジテレビ「アイアンシェフ」評議員なども務める。「和の食と心を訪ね歩く会」主宰、「軽井沢男子美食倶楽部」会長。

しっかりと基本を学んだプロなら、割烹料理ではなく家庭料理を作っても、芯がきっちり通っていると思います。

私は料理を作ることも好きなので、家庭料理を貶めるつもりはないのですが、家庭料理とプロの料理は似て非なるものだと、この「汁・飯・おかず・季のもの かわはら」に訪れるたび、つくづく感じるのです。

はじめてこの店の存在を知ったとき、私は「汁・飯・おかず・季のもの」という惹句に興味が湧きました。

季節のものを汁と一緒に楽しみ、飯で〆る、まさに日本に昔からあるスタイルを掲げた、伝統を守る店だと思ったのです。

そして、店主が「川原渉」と知ったときに私はさらに驚きました。1980年代から西麻布で20年以上やってきた「ゆず亭」の料理長だったからです。

ゆず亭は、堅苦しいカウンターと畳の個室が多かった割烹をテーブル中心で入りやすくした、当時のはしりの店。しかし料理は会席料理の本格的なもので、その落差がとても面白い店でした。

しかも川原さんはレシピ本を何冊も著した料理人だったからです。

「最初は中華や西洋食材を日本料理に取り込もうと考えたんですが、すぐにいやになって懐石の心と季節を大切にした、高くても味にこだわった日本料理を作ったんです」と川原さんは当時を思い出します。

ところがゆず亭を閉め、数年のブランクを経て開店した「かわはら」は、以前の店とは180度違う、肩の力の抜けた雰囲気になっていました。

「今度は下町だから、ゆず亭のようなガチガチの日本料理はやめることにしたんです。でも、うまい素材を料理し、リーズナブルでお客さんに喜ばれる店にしたいと思いました」

だからといって、養殖の魚は使わないし、奇をてらったことはしません。日本人が普通に食べてきた料理を、一杯飲みにきた人や、ご飯を食べに来た人に合わせてアレンジしてくれる店なのです。

3500円からのコースもありますが、ここは豊富なメニューから、食べたいものを選ぶのが一番です。

まずはゆず亭時代からの名物「峰岡豆腐」(600円)を。牛乳と生クリームを使った豆腐で、スターターに最適です。

「珍味五種盛」(1500円)や「江戸風卵焼」(600円)と一緒に「本まぐろ、くえ、かんぱち」といったその日の天然ものの刺身でお酒を楽しんだあとには、少し寒くなってきたので「穴子柳川風鍋」(1600円)や「ねぎ鮪鍋」(2000円)がおすすめ。

〆には鯛飯や穴子ごぼう飯など毎日数種類ある炊き込みご飯はどうでしょう。
汁、香の物がついて一合1300円から。2、3人なら、十分な量です。

ひとりなら「夜のおまかせ定食」をどうぞ。

その日によって献立は変わりますが、刺身とメインふたつ、小鉢2、3種類に味噌汁、ごはん、香の物がついて2500円です。

「刺身はサクの端部分かもしれませんが、味はかわりません。メインもそのときの食材をうまく使って満足していただけるものにしています。

時間配分も内容もおまかせいただけるなら、絶対にお得。お客様の具合を見ながら少しずつ出しますから、これで酒を飲んで最後にごはんで〆る常連さんも多いですね」

もちろん、ゆず亭時代の包丁さばきは健在。
その技術と経験を、ひとりでも仲間うちとでもどうぞ。下町価格で食べられる「汁・飯・おかず・季のもの かわはら」の魅力は、わざわざ訪れて味わう価値があります。

汁・飯・おかず・季のもの かわはら 住 所東京都中央区日本橋大伝馬町12-9 神浦ビル1F 電 話03-5614-7886 営業時間[月~金・土・祝・祝前]
11:30〜14:30 LO 14:00
17:30〜22:30 LO 22:00 定休日毎週日曜日
かわはら
東京都 中央区 日本橋大伝馬町
割烹・小料理屋