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●インスタグラマーを意識した機能

富士フイルムはスマートフォンで撮影した写真をチェキフィルムに出力できるプリンター「スマホ de チェキ」シリーズの最新モデル「Instax SHARE SP-3」を11月17日より発売する。SNSで写真を公開する、いわゆる「インスタ勢」をターゲットにした製品だが、フィルム消費の増加に貢献するのだろうか。

○スクエアフォーマットのチェキフィルムを使用

富士フイルムのインスタントカメラ用フィルム、いわゆる「チェキフィルム」には3種類のフォーマットがある。最初に販売された、いわゆる「チェキ」と言われる場合のものが「Instax mini」(フィルムサイズ86×54mm、画面サイズ62×46mm)、2014年に発売された「Instax WIDE 300」専用のワイドフォーマット「Instax WIDE」(フィルムサイズ86×108mm、画面サイズ62×99mm)、そして今年5月に発売されたハイブリッドインスタントカメラ「Instax SQUARE SQ10」用のスクエアフォーマット「Instax SQUARE」(フィルムサイズ86×72mm、画面サイズ62×62mm)だ。

今回発表されたプリンター「Instax SHARE SP-3」では、このうち最後の「Instax SQUARE」フィルムを使用する。スマートフォンに専用アプリをインストールし、アプリ上で選択した写真をWi-Fi経由で送信すると、10秒強で出力される。自分で撮影した写真だけでなく、インスタグラムやFacebookなどのSNSとも提携しており、これらのサイトにアップロードした写真をアプリ内から手軽に検索して閲覧できる。特にインスタグラムはスクエアフォーマットで写真をアップロードするサイトなので、Instax SQUAREとは非常に相性がいい。

このほか、写真の露出などを調整するレタッチ機能に加え、最大9枚の写真を1枚にまとめる「分割写真テンプレート」や、画像の上に文字を重ねて出力する「マイテンプレート」など、印刷した写真を壁などに飾りたくなるような仕上げにする機能が用意されている。このあたりもインスタグラマーをかなり意識した機能と言っていいだろう。

●需要が拡大するチェキシリーズ

○チェキの需要は増加している

デジカメの台頭によりフィルムカメラはほぼ絶滅状態となり、一部でトイカメラなどがブームになったものの、35mmフィルムのほうもほとんど店頭から姿を消してしまった。

こうした状況は国内でフィルム最大手だった富士フイルムにとっても危惧するべき状況であり、同社もプリント需要の拡大に知恵を絞っているが、実はフィルムなどを扱う同社のイメージング事業において、チェキシリーズおよびそのフィルムは、世界的にも毎年成長を続けている分野なのだという。

こうしたチェキ人気を受け、かつデジタルカメラからの出力需要を拡大する上で、今回富士フイルムが目をつけたのがインスタグラムをはじめとするSNSの写真だった。今や飲食店などがインスタグラマー目当てに盛り付けなどにこだわった品を用意しているほどで、全世界で7億人、日本でも約2000万人が利用しているというインスタグラムの利用者にアピールできれば、かなりの需要を見込めるというわけだ。

スクエアフォーマットでは、実際に出力されたものを壁などに貼って楽しむことが提案されており、きれいに並べて額装したり、テーマを合わせて複数枚を組み合わせることでアート性も高まる。通常の写真プリントよりもフチが大きく、用紙の厚みもあるチェキフィルムは、独特の存在感があり、単独で飾ってあるだけでも絵になるところがある。自分できれいな写真が撮れないという人でも、SNSでお気に入りの写真を探して印刷すればいい。

●課題はフィルムの魅力の訴求

○デジカメ業界に新風を巻き起こせるか

問題は、インスタグラムのようにデジタルで加工から公開までが完結してしまうシステムのユーザーに、どうフィルムの魅力を訴求していくかだ。通常であれば大々的にプロモーションしていきたいところだが、富士フイルムは製品サイト上で「MY SQUARE GALLERY」と題したキャンペーンは実施するものの、たとえば提携先のSNSに広告を打ったり、共同でキャンペーンを実施するといった展開の予定はないという。

もともと「撮ってすぐ見られる」即時性の高さが人気を集める一員となったデジタルカメラだが、やはり「撮ってすぐ見られる」インスタントフィルムとの親和性は意外に高い。インスタグラムなどとの提携で、誰にでもきれいな「インスタ映えする」写真を、インテリアなどとしても楽しめるようにしたのは魅力的だ。

それだけにユーザーとプリンター、あるいは撮影した写真現物との接触点を増やして積極的に売り込んでもよさそうなものだが、随分と奥ゆかしいものだと思ってしまう。富士フイルムといえばCM攻勢のほうが有名なだけに、そちらで訴求していくのかもしれないが……。

さておき、製品としての魅力は高いだけに、フィルム復権の一助になるのか、非常に楽しみな製品ではある。5月に発売済みで、新色のホワイトが出たばかりのデジカメ+チェキのハイブリッド「Instax SQUARE SQ10」とともに、スクエアフォーマットが停滞がちなデジカメ業界に新風を巻き起こせるか、注目したい。