無理して出社するほうが迷惑をかける可能性大です(写真:KY / PIXTA)

熱を測ったら38度。寝れば良くなると思ったけど、悪寒がどんどん増してくる――。4月に入社してから半年。そろそろ疲れがたまって体調を崩す人もいるだろう。また、気温が下がり、これから体調管理がさらに難しくなってくる。

もっとも、やらなければいけない仕事があったり、お客様とのアポイントがあったりすると、多少熱があっても、強引に出社したほうがいいのでは?と考える人もいるかもしれない。また、「それぐらいの熱で休むな」と、上司に怒られるという不安もあるだろう。

無理して出社すると、周りにうつすリスク大


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「でも、そんな心配は無用。むしろ、無理して出社するほうが迷惑をかける可能性大です」と話すのは、『仕事も人間関係もうまくいく! マナードリル』(総合法令出版)の著者で亜細亜大学非常勤講師の関下昌代さんだ。

「身体に鞭打って出社し、風邪などをこじらせたら、何日も休むことになる。そのほうが上司や同僚に迷惑がかかります」(関下さん)。また、同僚に病気をうつしたら欠員が増え、その部署の仕事がまわらなくなる。そう考えたら、根性で出社しても誰も得をしない。

風邪などを引いた人に無理して来てほしくないのは、顧客から見ても同じ。熱でボーっとした状態では、まともな商談もできないはずだ。相手に風邪をうつしてしまうリスクもある。

「どうしても行かなければいけないアポがあるなら、上司に相談して、場合によっては引き継いでもらいましょう。重要なのは自分で抱え込まないこと。相談が遅れるほど、対応も遅れ、取引先や上司に迷惑をかける確率が高まります」(関下さん)。

このほかにも、体調を崩している時には、冷静な判断ができなくなり、職場に迷惑をかけることをしがちだ。そうした「病気になったときの困ったNG行動」を以下でまとめたので、参考にしてほしい。

1. せき込んでいるのにマスクをしない

「部下が、マスクをしないで、せきをゴホゴホ。大丈夫か?と言っていたら、翌日、インフルエンザで休み……。周囲からは『あのヤロー!』の総ツッコミ。結局、3人インフルエンザをうつされました」と憤るのは、電子機器メーカーの課長をしているKさん。もっとも、インフルエンザにかかることは、誰にでもあることだから仕方がない。問題なのは、せきをしているのにマスクをしないことだ。短時間でもマスクなしでせきをし続ければ、ウイルスをまきちらすことになる。

本当は具合が悪いならすぐに退社すべきだが、現実には「この仕事を仕上げなければ帰れない」ということもあるはず。そんな時は、オフィスにいる間は、マスクだけでもすべきだ。

黒マスクは、職場ではまだ刺激が強い

2. 黒いマスクをする

もっとも、マスクをすればいいというわけではない。

「派遣社員が黒いマスクをして来たので、注意しようとしたら、先輩の正社員が黒いマスクをして出社。何も言えなくなってしまった」と話すのは、IT企業でコールセンターのリーダーを務めるNさん。近頃、ファッションで、黒いマスクをしている若者が増えているが、黒いマスクを「不気味」と感じる人も多く、ビジネスの場にはそぐわない。

内勤の人は「お客さんには見られないからOK」と思っているかもしれないが、オフィスには誰が出入りするかわからない。黒いマスクをしている人を見た人が、「この会社は人材教育がなっていない」という悪評を流す可能性もある。少なくとも仕事中のマスクは、無難な白を選んでおきたい。

3. 受話器から口を離さずにせき込む

「先日、電話をしていたら、電話口でゴホゴホせき込まれた。受話器から口を離していないようで、うるさくて仕方なかった。普段は丁寧な感じの人だが、この一件から、意外と気をつかえない人だと思うようになった」と話すのは、出版社に勤めるNさん。電話で会話をしている最中、送話口に向かって思い切りせき込む人は、意外と多い。無意識にやっていないか気をつけよう。

また、あまり若い人にはいないが職場に響き渡るような音量で、たんを「カーッ!ペッ!」と吐き出すのも、周囲からしたら非常に不愉快だ。

4. メールだけで休みの連絡をする

具合が悪くて、起き上がるのもキツい時は、欠勤の連絡も一苦労。少しでも楽をしたいと、携帯電話からメールで連絡して終わらせがちだ。しかし、前出の関下さんは「上司には、メールだけでなく、電話もしたほうがいい」と言う。「直接話せば、引き継ぎなどの相談もスムーズにできる。メールで何度もやり取りしたら、それこそ迷惑です」と指摘する。

メールだけだと、「昨日あんなに元気だったのに」「じつは二日酔いじゃないの?」などと疑われることもある。それを防ぐためにも、頑張って電話をして、状況を伝えたほうがいい。

5. インフルエンザやノロウイルスなどの病名を伝えない

検査の結果、インフルエンザやノロウイルスなど、伝染力の強い病気に感染していたことが、あとからわかることがある。そうした時、「明日連絡する時に伝えればいいか」と放置するのはNG。すみやかに上司に病名を伝えよう。

病気によっては、会社でも対応が必要になるからだ。ノロウイルスは最たるもので、職場の消毒が必要。「感染者がいなくなっても3日間は共用トイレを消毒する」などのルールがある会社もある。インフルエンザにしても、そうとわかれば、職場の人たちも早めに医者にかかるなどの対応がとれる。

病名によっては出社禁止期間が設定される場合も

6. あいまいな引き継ぎをする

「体調不良で休んだ後輩の仕事を引き継いだが、前日までの作業状況が日報に書かれていなかったり、必要なデータがどこにあるかわからなかったりして、すごくやりづらい。結局、後輩の仕事で半日潰れてしまった……」と不満を述べるのは、IT企業に勤めるSさん。普段からパソコンの中のデータを整理していなかったり、日報をいい加減に書いていたりすると、こうした時に職場の人に迷惑をかけることになる。普段から「風邪などで休んだ時に、スムーズに仕事を引き継げる」状況をつくっておくことが大切だ。

7. 治りきっていないのに出社する

労働安全衛生法などで、特定の伝染病にかかった人は職場への出勤が禁じられているが、その病気はエボラ出血熱やSARS、鳥インフルエンザなどごくわずか。普通のインフルエンザやノロウイルスは対象外で、法的には出勤を禁じられることはない。

だからといって、自分の判断で勝手に出社して良いかというと、それはNGだ。2次感染を防ぐために、それぞれの会社が、インフルエンザなどにかかったときの出勤ルールを定めていることは少なくない。たとえば、「インフルエンザは、熱が37度未満になってから、48時間経過したら出勤OK」といった具合だ。もしインフルエンザなどにかかったら、就業規則や内規をチェック。加えて、伝染力の強い病気にかかった時は、いつから出社していいか、医師に判断をあおごう。

8. 一部の人にしかお礼を言わない

病気が治って出社した時には、休んでいた時にフォローしてもらったお礼を言うのは、当然のマナー。ただ、この時、気をつけたいのは、お礼を言う相手だ。仕事を引き継いだ上司や先輩にしか言わない人がいるが、他の同僚も、大なり小なり、フォローしてくれていることは少なくない。そうした人たちにもお礼を言わないと、「あいつが休んでも、もう助けない」と思われかねない。お礼は、自分の部署のすべての人に言うようにしよう。

体の調子が悪い時ほど、自分の素が出るもの。そんな姿を職場の人はさりげなく見て、人間性を判断している。最低限の気づかいは忘れないようにしよう。