ここ数年、日本企業の海外における合併買収(M&A)がどんどん盛んになっている。南開大学日本研究所の鄭蔚・准教授は、日本企業の海外M&Aにおける「こだわり」について論じている。

写真拡大

ここ数年、日本企業の海外における合併買収(M&A)がどんどん盛んになっている。ブルームバーグ社が伝えたところによると、2016年のM&A金額は12兆5千億円で、15年より13%増加し、13年と14年の平均6兆円を大幅に上回り、過去12年間で最高水準に到達した。日本の調査会社タグがまとめた最新のデータをみると、今年上半期には、日本企業による海外M&Aは312件に上り、2年連続で同期の過去最高を更新した。日本紙「日本経済新聞」の分析によれば、日本企業の17年の海外M&Aは活発さを保ち、取引金額もさらに増える見込みという。(文:鄭蔚・南開大学日本研究所准教授)

これまでに比べ、最近の日本企業の海外M&Aにはハイテク分野の、ブランド競争量を備え、販売の見通しが良好な企業ばかり求めるという傾向がみられ、M&Aを通じて利益拡大の可能性を高めたいという意図がある。たとえばソフトバンクは3兆3千億円で英国の半導体設計企業アームを買収し、日本電産は1200億円で米国の電機製品メーカーのエマソン・エレクトリックの産業用モーターなどの事業を買収した。多くの日本企業が海外企業の技術を獲得することで経営モデルを改善し、経営範囲を拡大しようとしており、またM&Aと同時に「グループ企業や事業の売却」という方法で、経営効率が低下した部門の淘汰を進めている。東芝が東芝メディカルシステムズなどの子会社数社と一部事業を手放したのはその一例だ。同じような案件から、日本企業の海外M&A戦略がさらに成熟に向かい、企業が統合力の向上に力を入れていることがうかがえる。

日本企業の海外M&Aにおける「こだわり」は日本の国内外の経済環境や市場環境と密接に結びついている。国内では、消費高齢化が進む人口構成が、国内市場を飽和状態にしている。グローバルな低金利傾向を背景に、日本の金融政策が緩和を繰り返していることが加わって、企業の資金調達コストは低下し、円の値上がりも値下がりも日本企業の海外M&Aに影響を与える主な検討要因ではなくなった。ここ数年、日本企業は利益が増加しており、企業ガバナンスの強化と構造改革の大きな流れの中で、さらに海外M&Aという方法によって、企業の成長を実現させ、利益の成長源を見いだそうとするようになった。国外では、最近の国際市場は各種の不確定なリスクが多く、「寄らば大樹の陰」といった傾向があり、ますます多くの日本企業が多国籍企業を選んでM&Aを展開し、こうした発展の見通しの明るい多国籍企業は国際市場における「避難港」になっている。

規模をみると、今年上半期、日本企業では1千億円を超える大規模海外M&A案件が目立って増加し、ここから日本企業がグローバル競争に全面的に深いレベルで参入しつつあることがうかがえる。だが欧米の企業と比較すると、日本企業のグローバル化経営は歴史も経験も浅く、海外M&Aのリスクは決して軽視できない。ここ数年間、日本企業が海外M&Aで損失を出したという話が絶えず聞こえてくる。たとえば東芝が米ウェスチングハウスの買収が原因で1兆3600億円の損失を出したケース。日本郵政がオーストラリア子会社のために4003億円の損失をだ明日ケース。ソニーが米国の映画事業投資で1121億円の損失を出したケース。住友金属鉱山がチリの銅鉱山を買収して801億円の損失を出したケースなどがある。

総じていえば、経営管理とリスクコントロールに足りない点があるとはいえ、国内経済が長期的に低迷し、人口構造の高齢化は不可逆で、企業の国内投資による収益の伸びが見込めない状況の中、日本企業は海外M&Aという道を必ず通らなければならないといえる。また企業が成長とモデル転換を遂げるための最もシンプルで効果的な方法が海外M&Aだといえる。(提供/人民網日本語版・編集KS)