京王電鉄の新型車両5000系。2018年春からは座席指定列車にも使用される(筆者撮影)

この1年くらいの間に、新型通勤電車が続々と登場している。世代交代の時期になったためだが、どれも趣向を凝らした車両で、技術面、インテリアなど魅力的なものばかりだ。そうしたものを乗り比べ、個人的な印象、期待度、好感度など総合的に評価し、独断でランキングしてみた。

来春の本格デビューに期待

1)京王電鉄5000系(2代目)


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京王電鉄待望の座席指定列車用として製造された、ロングシートとクロスシートの両方に転換できる座席をもつ車両。1963年に登場した、名車の誉れ高い5000系と同じ形式名を名乗る「2代目」だ。戦前の京王電気軌道時代の150型以来となるクロスシート車に期待が高まる。


座席はロングシートとクロスシートの両方に転換できる。写真は転換中の様子(撮影:尾形文繁)

座席指定車にふさわしい高級感のあるシックな装いの車内は、かつて京王沿線に住み、通勤で利用した者にとっては意外性たっぷりの、京王らしからぬセンセーショナルな車両ともいえる。とりあえずはロングシート車としての運用で、座席指定列車としての運行は2018年春になるとのこと。

クロスシートになった場合、すべての座席でコンセントが使えるのも通勤車両としては大サービスである。乗ってみたい通勤電車の第1位に挙げておこう。

2)東京メトロ銀座線1000系(レトロ風特別仕様車)


東京メトロ銀座線1000系のレトロ風仕様車の車内。開業当時の車両をイメージした内装が特徴だ(筆者撮影)

純然たる都市交通の電車に、遊び心あふれる車両が登場したことに拍手を送りたい。銀座線開業当初の雰囲気を再現した車内には、イベント用としてLED照明を電球色に切り替えるとともに、駅到着前に電灯が消えて予備灯に切り替わるという、かつて銀座線の特徴だった様子を演出できる機能も備えている。2編成しかないことから、ふらりとホームに立ったときに遭遇すれば極めてラッキーであり、うれしくなる。

車内の使い勝手に工夫が

3)西武鉄道40000系


座席指定列車「Sトレイン」に使用される西武鉄道の新型車両40000系(筆者撮影)

東武東上線のTJライナー用50090型に次ぎ、関東では2例目となるロングシートとクロスシートを転換できる座席を備えた車両である。平日は西武池袋線所沢駅と東京メトロ有楽町線豊洲駅を直通する座席指定列車「Sトレイン」として運行、土休日は同じSトレインを名乗るものの、西武池袋線と東京メトロ副都心線、東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線を直通し、最長区間を走る列車は横浜の元町・中華街駅から西武秩父駅まで2時間以上かけてロングランする。

10号車に設けられた、車いすやベビーカー用スペース「パートナーゾーン」のアイデアは秀逸。その半面、クロスシート時のコンセントは窓側にしかない点、トイレはあるものの10両編成中1カ所のみなど、やや物足りない面もあるので3位とした。改良を施した増備車に期待したい。

4)JR西日本大阪環状線用323系


JR西日本の大阪環状線用新型車両323系(筆者撮影)

旧国鉄時代から長らく使い続けてきた103系、201系に代わる新型車両として2016年12月下旬にデビュー。大阪環状線に乗り入れる大和路快速、紀州路快速・関空快速の車両に合わせる形で、旧国鉄形の4扉車に対し3扉車としたところが意外だったが、実際乗ってみるとそれほど違和感はない。

久しぶりの環状線新型電車ということで、何といっても快適。手すりや吊り革など細かいところにも使い勝手を考えた工夫があり、国鉄くささの抜けなかった大阪環状線のイメージアップに貢献している。


東京メトロ日比谷線の新型車両13000系(右)と、東武鉄道の日比谷線乗り入れ用車両70000系(左)。共通部分の多い兄弟車両だ(筆者撮影)

5)東京メトロ日比谷線13000系

長らく使用されてきた03系電車に代わる新型車両。1両の長さが18m、3扉車の8両編成だった03系に対し、20m・4扉の7両編成となった。急カーブの連続する日比谷線での走行をスムーズにする片軸操舵台車を採用したので、カーブ走行時の騒音が低減し、乗っていて快適である。

ガラス製の荷棚に江戸切子の模様を取り入れるなど、最近の東京メトロの車両は遊び心のある洗練されたものとなり、ゆとりが感じられて好ましい。増備車がなかなか増えないので、日比谷線にふらりと乗ってもなかなか遭遇しないのが少々残念だ。

6)東武鉄道70000系(日比谷線直通用)

東京メトロ13000系と共通の部分も多い、東武鉄道が製造した日比谷線乗り入れ用車両である。13000系が日比谷線の路線カラーであるシルバーを基調としたため派手さはないのに対し、70000系は、前面とストライプの赤と黒がアクセントとなっている。

車内のデザインで目につくのは、車両と車両をつなぐ貫通扉。ガラス戸となり、車両ごとにイラストのデザインを変えている。隅田川の花火、東武動物公園、草加松原遊歩道など沿線の名所が描かれているので、乗るたびに号車を変えてみると新たな発見があって楽しい。

静岡を走る「虹の七色」

7)静岡鉄道A3000形


静岡鉄道の新型車両A3000形。最初に登場した編成は写真の「クリアブルー」色だ(筆者撮影)

編成は2両と短いが、政令指定都市静岡市内の新静岡―新清水間約11kmを、昼間でも1時間に9本という大都市の鉄道顔負けの高頻度運転を行っているのが静岡鉄道だ。2016年に新型車両A3000形がクリアブルーの塗色をまとって登場、2017年には第2編成となるパッションレッド塗色の編成がデビュー。以後、色違いのカラフルな車両が続々と登場予定である。

オールロングシートながら、快適なシート、ドア上の液晶ディスプレーなど大都市の通勤車両に遜色のない車内で、鉄道友の会のローレル賞を受賞している。第3編成以降の登場が待ち遠しい。

8)JR東日本E235系量産車


山手線の新型車両E235系。写真は2015年11月に登場した量産先行車(撮影:風間仁一郎)

JR山手線用の新型車両で、2015年11月に1編成がデビューしたものの、その日のうちにアクシデントのため運行を取りやめるという不運に見舞われた。不具合の改修を行い、2016年春に営業運転を再開。その後、2017年5月より量産車の投入を開始し、見掛ける回数が増えてきた。首都圏の顔となる車両だけに安定走行してほしいものだ。3画面並んだデジタルサイネージに代表される近未来的な車内がウリでフリースペースも増え、注目の車両である。

9)横浜市交通局3000V形


横浜市営地下鉄ブルーラインの新型車両、3000V形(提供:横浜市交通局)

横浜市営地下鉄ブルーラインに新たに登場した車両。正確には現行の3000形増備車両で5次車。Vはローマ数字の5を表す。iPhoneXのテン(10)と同様だ。2017年4月に運転を開始した。増備車とはいえ、外観および車内のデザインを一新しており、新型車両といっていいだろう。

外観はブルーラインのブルーと港ヨコハマの青をイメージし、ドアの両サイドには、ヨットの帆をモチーフとした青のグラデーション、その上方にはカモメのようなイラストを配した。車内もブルーを基調とし、特に床の青が目立つ。貫通扉のガラス戸に沿線の名所のイラストが入るのは東武70000系同様で、最近のはやりのようである。今のところ数が少なく、路線延長が長いゆえに遭遇するチャンスが少ないのが残念だ。

こちらはまだ乗れませんが…

10)相模鉄道20000系


相模鉄道の新型車両20000系。車両メーカーから輸送されてきたばかりの姿だ(提供:相模鉄道)

2017年12月にデビュー予定の新型車両で、将来予定されている東急線直通など、東京都心への乗り入れ対応車。相鉄の新たなイメージカラーであるYOKOHAMA NAVY BLUE(ヨコハマネイビーブルー)の塗装を採用し、車内の随所に新たな工夫が凝らされているとのことだが、まだデビュー前なので何とも言えず10位とした。実際に乗ってみれば評価が定まり、順位がかなり上がる予感がする。

このほか、都営浅草線には新型車両5500系が、東急田園都市線にも新型車両2020系がそれぞれ2018年に登場するとのこと。通勤電車は世代交代たけなわであり、どんな車両となるのか興味津々である。