iPhone X シルバー 256GBモデル。iPhone 8のシルバーモデルよりもややグレーに近い背面のボディカラーだ(筆者撮影)

アップルは9月12日に発表した新型スマートフォン「iPhone X(テン)」を11月3日に発売する。10月27日にすでに予約を開始しているが、各国で好調だ。10万円を超えるプレミアムモデルでありながら、数分間で100万台以上の予約を受注したとみられており、iPhoneがスマートフォンブランドの王様であることを物語る。

そんなiPhone Xを、アップルより貸し出しを受け、1週間ほど試してみた。その先行レビューをお届けする。レビューするモデルは、iPhone X シルバー 256GBだ。

筆者は日本でiPhone 3Gが発売された2008年以来、アップルのスマートフォンを利用してきたが、iPhone Xに触れた瞬間から、新しいデザイン、美しいディスプレー、そして操作性、先進の生体認証機能など、10年間の成熟とそこからの飛躍を見ることができた。

アップルがこれからの10年、どのようにスマートフォンに取り組んでいくのかを垣間見るうえで、重要な製品と評価できる。

手に馴染む、美しいデザイン


フレームには美しく磨かれたステンレススチールが採用され、これまでのマットなイメージを一新している。背面の2つのカメラは、縦に配置される(筆者撮影)

iPhone Xを箱から取り出してみると、「iPhone最大の画面サイズ」というふれこみからは少し異なる印象を覚える。手に馴染む手頃なサイズ感を保っていたからだ。しっとりとしたガラスの感触と、機能を凝縮したことを感じさせる重さが、手に伝わってきた。

iPhone Xは、すでに発売されている2017年モデルのiPhone 8、iPhone 8 Plusと多くの部分で共通項を持つ。基本的なデザインも、そのうちの1つだ。

iPhone Xは、正面は後述の有機ELディスプレーを全面に配置し、指紋がつきにくい加工が施された表面を、指は滑らかに滑る。同じガラスが背面にも配置され、表裏共に同じ手触りを感じることができる。

背面のガラス化は、より薄型化できる金属のボディに比べて重たくなるが、iPhone Xの魅力の1つであるワイヤレス充電への対応をするために必要な素材の変更だった。

表裏2枚のガラスを緩やかに丸みを帯びた金属のフレームがつなぎとめるのだが、iPhone Xでは、アルミニウムに変わって、ステンレススチールが用いられている。サージャリーグレード、つまり医療の手術の現場で用いられる品質の金属だという。


左からiPhone 8、iPhone X、iPhone 8 Plus。サイズとしては、iPhone 8に近く、iPhone 8にケースを装着すると、iPhone Xと同じような握り心地を再現できる(筆者撮影)

iPhone Xシルバーモデルのフレームは丁寧に磨かれ、これまでのマットなアルミニウムの印象を一新している。日の光の下ではガラス面と一緒にキラキラとその美しい反射光を返し、表情をコロコロと変える面白さがある。スペースグレーモデルはボディカラーに合わせてグレーの塗装が施され、グッと引き締まった印象を与えてくれる。

iPhone Xのサイズは、長さ143.6ミリ×幅70.9ミリ、厚さ7.7ミリ、147グラム。ちょうどiPhone 8 PlusとiPhone 8の中間と言われているが、実際の寸法で比較すると、iPhone 8に近いサイズだ。iPhone 8より長さが5.2ミリ、幅が3.6ミリ大きくなっている一方、iPhone 8 Plusと比べるとそれぞれ14.8ミリ、7.2ミリの差があることからも、「iPhone 8寄り」のモデルであることがわかる。

筆者はPlusモデルの大画面と2つのカメラに魅力を感じているが、手が小さく片手で操作しにくいという理由から、iPhone 7シリーズ以降、4.7インチのiPhoneを選んできた。iPhone Xはそんな4.7インチモデルを好む人にとっても、小幅なサイズで、iPhone最大のディスプレーを楽しめる、そんな絶妙なサイズを実現している。

迫力と画質が実現するSuper Retinaディスプレー


全面ディスプレーとなったSuper Retinaディスプレーは、有機ELパネルを採用した5.8インチだ(筆者撮影)

iPhone X最大の進化はディスプレーだ。iPhone XとこれまでのiPhoneの違いのすべては、全面をディスプレーとした新しいデザインをきっかけに展開されている。新たに採用された縁のない5.8インチ有機ELディスプレーを実現するための問題解決を、ハードウエアの技術とソフトウエアデザインで行った、iPhone Xの本質と言ってもいいだろう。

iPhone Xのディスプレーは、前面いっぱいに敷き詰められており、角も四角ではなく、デバイスの形状に合わせて丸められている。センサーハウジング、あるいはノッチと呼ばれる部分がディスプレーにせり出している以外は、まさにディスプレーしかないデザインだ。前面のデザインについて、それ以上語ることはない。


ディスプレイ上部には、センサーハウジングと呼ばれるせり出した部分があり、深度を計測できるインカメラ、TrueDepthカメラが内蔵される。その左右に、情報表示が行われる(筆者撮影)

有機ELディスプレーを搭載するAndroidスマートフォンにも、全面のディスプレーは存在していた。しかし上下に黒いディスプレーではない領域が、帯として残っていることが多い。この部分にはディスプレーの端子があるからだ。

アップルはこの1センチ程度の帯にも妥協しないため、デバイスの内部で有機ELパネルを折り曲げて実装し、ディスプレーの端子をディスプレーの裏側に潜り込ませた。iPhone Xのディスプレーは平らな平面であり、湾曲したり折り曲げられる構造にはなっていない。しかし縁までディスプレーを敷き詰めるために、パネルを折り曲げる技術を用いているのだ。


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作例。秋に色づく木々の色を、正確に描き出してくれる(筆者撮影)

有機ELディスプレーは、非常に高いコントラストを実現し、一般的に鮮やかさを強調する味付けで差別化を印象付けることが多い。しかしiPhone Xでは、自然な発色を強調し、派手さはないがあるべき色を再現する。既存のiPhoneで採用してきた広色域のP3のサポートや、環境光に応じてホワイトバランスを調整するTrue Toneディスプレーも採用される。

有機ELディスプレーは、液晶と異なり、バックライトが必要なく、各ピクセルが個別に発光する。そのため薄型化を実現し、また消費電力にも有利なだけでなく、黒はまるでブラックホールのように黒い。液晶は光を遮って黒を再現していたため、ディスプレーの輝度によってはダークグレーに近くなってしまうのだ。

筆者は時折、モノクロ写真を撮影することがあるが、黒の黒さが際立つことで、それだけでモノクロ写真がうまくなったような錯覚すら覚える迫力が出てくる。もちろんカラーの発色もよく、鮮やかな色と微細な質感を丁寧に描き出してくれる。

また、今回、米国と日本の間の飛行機の中でiPhone Xに触れてきたが、暗い環境でSuper Retinaディスプレーに触れると、明るさを暗くしても視認性が高く、またiBooksやKindleなどの電子書籍アプリで画面を反転させて黒い背景を選ぶことで、目に入る光を減らしながら読書をすることもできた。

日本滞在中は、長野で秋の紅葉の写真を撮影したが、目で見たとおりの色の美しさをカメラで捉え、ディスプレーで振り返ることができた。iPhoneのカメラそのものも進化しているが、たとえば一眼レフカメラで撮影した写真を取り込んで表示させたり、映画などのコンテンツを再生しても、この新しいディスプレーは大きな満足感をもって楽しむことができる。

ちなみに、センサーハウジング、ディスプレーにせり出す領域は、当然ながら、写真やビデオは表示されない。そのため、写真アプリなどで拡大していくと、せり出した部分は写真が表示されないのだ。

ただ、拡大しないかぎり、この部分に写真がかぶることはないし、映像を再生する際にも、せり出し部分を含めずに16:9の映像表示を行うことができる。当初この部分は邪魔になるかなと思っていたが、実際には「ちょっとしたアクセント」程度の感覚に落ち着いてきた。

魔法のような「Face ID」


Face IDは一度顔を登録すると、iPhoneの画面を点灯させれば、見るだけでロック解除を行ってくれる、新しい生体認証だ。暗かったり、メガネなどの装飾をしても、問題なく認証できる(筆者撮影)

アップルはiPhone 5sから、生体認証をスマートフォンに取り入れている。iPhoneのホームボタンには指紋センサーが搭載され、Touch IDが用いられるようになった。iPhone 8には第2世代のセンサーが採用されており、体感で倍以上高速にロックを解除できるようになった。

たとえば、ポケットやカバンからiPhoneを取り出すときに、目で見なくてもホームボタンの場所を指でとらえ、親指で押し込みながら取り出すことで、iPhoneを目の前に構えるまでにロック解除を済ませてホーム画面を表示させることができる。そんな早撃ちガンマンのような動作が当たり前となった。

iPhone Xでホームボタンを取り去ることになり、アップルが目指したのは、ホームボタンとTouch IDを組み合わせたスピードに、より高度なセキュリティを誇る顔面認証で追いつこう、という技術的なチャレンジだった。

Face IDは、iPhone Xに登録した顔をフロントカメラで見つけると、ロックを解除してくれる顔面認証技術だ。新たに搭載されたTrueDepthカメラには赤外線のドットプロジェクターとそれを読み取るカメラを、画面にせり出したセンサーハウジングに収めた。開発当初のプロトタイプは、iPadほどの画面サイズの上部に弁当箱のような大きな機器を載せていたという。

iPhone Xには1つの顔のみ登録することができる。登録作業は首を左右にぐるりと2回まわす運動を、iPhone Xの前でするだけだ。一度登録してしまえば、メガネやサングラス、帽子などを身につけていようが、多少ヒゲ面になったり、ヒゲを剃ってしまってもちゃんと認証してくれた。

驚かされるのはそのスピードだ。iPhoneを目の前に構えれば、すぐに顔を認識しロック解除状態になる。Apple Payでの支払いの際も、端末は顔を探して認証を済ませてくれる。そのスピードが速い。

そして、周囲が暗かったとしても、変わらぬスピードでロック解除をしてくれる。航空機の中はもちろん、夜の枕元でも、iPhoneのTrueDepthカメラの範囲に顔があればすぐにロック解除ができる。

「誤認識」の確率が大幅に低下

アップルによると、誤認識の確率はTouch IDの5万分の1から、100万分の1に大幅に低下し、より高いセキュリティを実現しているという。A11 Bionicプロセッサーとニューラルネットワークを活用し、一度記憶させた顔の変化も学習していくという。

ロック解除だけでなく、アプリ内のセキュリティやウェブのパスワード入力、Apple Payの支払い時にも活用される。何店舗かのスーパーやドラッグストア、銀行のATMなど、筆者がこれまで指紋認証で日常的にApple Payを利用してきた場所では、Face IDに認証方式が変わっても、問題は起きなかった。

Touch IDを使うときに指を乗せるのが必要だったロック解除のための動作が、Face IDでは不要になっている。標準機能では、iPhoneを見ているかを確認する光彩認識機能が動作するが、iPhoneを使い始めるときは大抵、iPhoneのことを見ているはずで、これも生体認証のための意識的な動作とは言えない。

これまでと同じようにセキュリティのロックが利用できるが、その解除には明示的な動作が不要になった。これがFace IDの感想だ。

iPhoneを取り出してみればロック解除され、それからホーム画面を開いてもいいし、あらかじめ後述の「ジェスチャー」でホーム画面を表示させようとしたり、通知をタップしながらFace IDの認証を行うこともできる。ホームボタンとTouch IDにスピード面で劣らないことが意識して作られていることがわかる。

iPhoneには10年間、ホームボタンが搭載されてきた。アップルはホームボタンについて、世界で最も押され、多機能になったボタン、と振り返る。筆者も、iPhone 3G以来の9年間、毎日何十回も押し込んできたボタンだ。

iPhone Xを使い始めた初日、無意識にiPhone Xの何もないガラス部分を押し込んでしまったことが多々あった。それだけ、ホームボタンを押すことが、あまりに日常になりすぎていた、ということだ。

「ジェスチャー」は、iPhone Xのもう1つの魔法


廃止されたホームボタンの代わりに、画面下部をフリックする操作を行う。すぐに慣れることができる、快適な操作方法だ(筆者撮影)

元々の役割はホーム画面を表示させること。ロック画面や開いているアプリからホーム画面に戻ることができ、何か困ったら一旦このボタンを押せばはじめに戻れる、という基本を提供してくれた。またロック中、iPhoneの画面を点灯させる役割もあった。

iOSがマルチタスクに対応すると、ホームボタンの2度押しによるアプリ切り替え画面の表示、という新しい役割が備わった。3度押しではアクセシビリティを起動できる。Siriが採用されたiPhone 4S移行は、ホームボタンの長押しで音声アシスタントを呼び出すようになった。

加えて、Touch IDの搭載だ。画面が大型化したら、画面上部の表示に届くようにするため、Touch IDセンサーを押し込まずに2度タップする「簡易アクセス」という機能が追加された。そしてApple Payの起動と認証にも、ホームボタンが利用されている。

アップルは、有機ELディスプレーで全面を覆うiPhone Xを実現するにあたり、ホームボタンに与えてきたこれらの役割をすべて、ほかの方法に置き換えなければならなくなった。世界でもっとも働き者のボタンを、自然な形で退役させるチャレンジが、そこにあったのだ。

同時に、ユーザーにとっても、この移行はチャレンジになる。10年間ユーザーがホームボタンを押すことを奨励してきたアップルが、「もうホームボタンはない、押すな」と言うからだ。結論から言えば、アップルのチャレンジは非常にシンプルな形で成功した、と評価できる。

iPhone Xはホームボタンの代わりに、画面の下縁付近のフリック操作を採用した。ホームボタンを押し込む動作は、縁から上にフリックするだけ。アプリ切り替え画面は、下から上へのフリックを画面上で一度止めればよい。あるいは、画面下縁を左にフリックすれば、隣のアプリに切り替えることができる。簡易アクセスは、画面下縁を上から下にフリック、だ。

Touch IDはFace IDに置き換えられ、iPhoneを縦長に構えれば、顔を見つけ出してロック解除をしてくれることは、前述のとおりだ。Apple Payの起動は右側にあるサイドボタンを2度押しに変更された。Siriも、サイドボタンの長押し。もちろん「Hey Siri」と声で呼び出すこともできる。

iPhoneの画面を点灯させるという役割は、画面全体が担うことになった。画面が消えているとき、どこをタップしても画面がONになり、もし顔があればFace IDでロック解除を試みてくれる。モーションセンサーの動きで、iPhoneを手に取ったときに画面を点灯させる機能も引き続き利用でき、その際にも顔があればロック解除が可能だ。

ボタンを押し込む動作がフリックなどのジェスチャーに置き換えられ、おそらくホームボタンへの「慣れ」から脱却するための時間が必要になるが、心配する必要はない。人によって慣れるまでの時間は異なるだろうが、筆者の場合は9年分の慣れを30分で上書きすることができた。

iPhone 8 Plusからさらに進化するカメラ体験


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作例。ポートレートモードで撮影するセルフィーは、旅や日常をより印象的に記録できる(筆者撮影)

iPhone Xに搭載されたディスプレーは、これまで以上に鮮やかな色とコントラストを描き出す。これは配信される映画やビデオを視聴する際にも実力を発揮するが、普段のカメラ撮影や、撮った写真を見る際にも、これまでと異なる美しさだ。

その裏付けとなっているのが、新しいカメラだ。

iPhone Xのカメラは、iPhone 8と同じ、刷新されたセンサーとカラーフィルタによって、より高速で鮮やかに、そしてテクスチャを正確に描き出す。筆者はコケが好きだが、iPhone Xで撮影してみると、微細な構造をくっきりと描き出し、かつ柔らかそうな質感を伝えてくれる写真が撮れる。

遠景やポートレートだけでなく、細かいものを撮影するときに威力を発揮するのが、iPhone 7 Plus以降搭載された望遠レンズだ。しかしコケは昼間でも薄暗い場所に生えていることが多く、広角レンズよりも暗く光学手ブレ補正のない望遠レンズは、あまり実用的とは言えなかった。

この点が、これまでポートレートモードに後ろ髪を引かれながら、サイズを優先し、iPhone 7、iPhone 8と4.7インチモデルを乗り継いできた理由でもあった。


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作例。コケの微細な構造をくっきりと描き出し、かつ柔らかそうな質感を伝えてくれる(筆者撮影)

iPhone Xの望遠レンズは、f2.8からf2.4へ変更され、明るくなった。レンズが明るくなればシャッタースピードが上がり、ブレにくくなる。さらに望遠レンズにも、広角レンズ同様の光学手ブレ補正が内蔵され、遅いシャッタースピードでも安定した画像が得られるようになった。アップルによると、暗いところでも60%ブレにくくなると、その効果の大きさを語っていた。

コケに限らず、夕方から夜の写真撮影の幅が広がり、暗くなってきてからのポートレートモードの撮影もより撮影しやすくなる。小さな変更だが、その効果は大きい。

加えて、内側に新たに搭載されたされたTrueDepthカメラはセルフィーでも、ポートレート撮影を実現するようになった。

しかも、外側のカメラと異なり赤外線を用いて被写体を検出するため、速度と正確性の面で有利だ。被写体から大きく離れる必要もない。品質と自由度が高まり、より多くの人が、iPhone Xのセルフィーをすぐに好きになるだろう。

TrueDepthカメラはポートレートモード以外にも、メッセージアプリで絵文字を自分の表情によって動かすことができるAnimojiや、Snapchatの顔の装飾などで、その顔と動きの検出の技術を用いることができる。

iPhone Xでは、ここ数年進化が停滞していたセルフィー用のインカメラがTrueDepthカメラとして進化したことで、写真撮影はもちろんのこと、深度を計測するAPIを用いるアプリ開発者のアイデアを取り入れることができるようになった。

もちろんFace ID実現のための副産物、という側面が強いが、内側のカメラをより多用するスマートフォンとカメラの関係が、より強化されていくことが期待できる。

これからの10年を見据えたiPhone X


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作例。微妙な色合いと質感の秋の夕暮れの空を、表情豊かに描いてくれる(筆者撮影)

アップルはiPhone Xを実現させるにあたり、これまでのやり方をより強化している印象を受けた。

何か実現したいデザインや体験がある。それに基づいてハードウエア、ソフトウエア、シリコン、ディスプレー、カメラ、センサーといった各チームが連携し合い、さまざまなチャレンジを通じてブレイクスルーを起こし、これを数億台製造する実現可能性を確保する。

今回の場合「全面にディスプレーを配置する」というデザインから出発した。その実現のためには、有機ELを採用して内部で折り曲げて内蔵するアイデアの特許を取り、ホームボタンを廃止してジェスチャーに置き換え、Face IDに至ってはTouch IDが搭載された5年前からの研究開発の成果を投入した。その生体認証を実現するため、機械学習に長けた強力なA11 Bionicプロセッサーが用意された。

アップルは、iPhone 10周年の年に当たる2017年に、こうした新しいチャレンジが詰まったiPhone Xがリリースできたのは、偶然の一致だったと強調する。

iPhone Xが次の10年を作っていく


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実際にiPhone Xを日常の中で使ってみるまでは、ホームボタンがないiPhoneが、今後のスタンダードになり得るのかどうか、疑問を持っていた。確かにコンパクトで大画面を実現するスマートフォンは、モバイルでビデオを楽しむ世代にはぴったりだが、本当にこの姿で次の10年を突き進むのか、自信が持てなかった。

しかし、アップル社内でもさまざまなチームが連携してチャレンジを乗り越えて実現したiPhone Xに実際に触れてみれば、このまま10年を作っていく可能性を、十分に感じることができた。

2017年モデルとしてのiPhone Xは、プレミアムモデルとの位置付けで、価格も最も高い。ただし、iPhoneの次の10年を見るうえでは触れてみるべきだし、今までの10年を忘れてしまうほど、手に馴染む快適な1台となるだろう。