【座間9遺体事件】「#死にたい」と発信する人たちを救う手段は…SNS各社のサポート、踏みとどまった人の声を聞く

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 神奈川県・座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件。今回亡くなった女性のTwitterには、「#自殺募集 死にたいけど一人だと怖い」と書き込まれていたという。また、容疑者の男性とは自殺サイトを通じて知り合ったと見られている。

 実際にSNSで「#死にたい」「#自殺募集」と検索してみると、同様の自殺をほのめかすような内容が見てとれる。現在はインターネットの時代。こうしたひとりでは自殺ができない人が、複数人集まることによって、背中を押すような結果に結びついてしまう。まずは、主要SNS各社のサポートから見てみよう。

◆Twitter

 ツイッターには自殺防止に向けた「通報」機能が備わっており、ヘルプセンターにはこのように書かれている。

<自傷行為:自殺や自傷行為をほのめかす内容がTwitterに投稿される場合があります。あるユーザーに自殺や自傷行為の兆候があるという報告を受けた場合、Twitterではその人物を支援するために、さまざまな対応を行うことがあります。たとえば、その人物に連絡してこちらの懸念を伝え、他のTwitterユーザーが心配していることを説明したり、Twitterのメンタルヘルスパートナーの連絡先などの情報を伝えたりします。>

◆Facebook

 また、フェイスブックには「自殺防止ホットライン」があるようだ。手助けしてくれる機関の連絡先まで明記されている。

<自殺防止ホットラインは、困ったときに相談に乗ってくれるサービスです。自分自身や友達にサポートが必要な場合は、ホットラインに連絡してみてください。友達が心配な場合は、ご本人にもホットラインに連絡するよう勧めてください。>

日本東京自殺防止センター
http://www.befrienders-jpn.org/
03-5286-9090 (年中無休8:00 PM 〜 6:00 AM / (火曜のみ) 5:00 PM 〜 6:00 AM)

日本いのちの電話連盟
http://www.inochinodenwa.org/lifeline.php
0570-783-556 (ナビダイヤル10:00 AM〜10:00 PM)

◆Instagram

 インスタグラムの親会社はFacebook。上記と同様のサポートがあるようだ。実例としては、タレントの鳥居みゆきのインスタグラムだ。2017年8月9日、このようなメッセージが運営側から届いたのだという。

「あなたの投稿を読んで、何か悩みを抱えているのではないかと心配している人がいます。サポートが必要な場合は、ご相談ください」
 どうやら鳥居みゆきの投稿を見て心配した人が通報したらしい。実際には、特に悩んだりしているわけではなく、ホラーっぽい衣装やメイクを見て、勘違いされたのだと思われる。とはいえ、サポートが機能していることの証拠でもあるだろう。

◆踏みとどまった人たちのエピソード

 もしも自分の友人や知人のSNSで、「悩んでいるのでは?」と思われる投稿を見つけた場合は、これらの機能を利用してみるのもいいかもしれない。とはいえ、今回の事件では、こうしたサポートをすり抜けて、最悪の事態となってしまった。しかしながら正直なところ、厳しい現実を前に、だれでも一度は「死にたい」と思ったことがあるのではないか。いくつか踏みとどまった人たちのエピソードを紹介したい。

 かつて関西の風俗で働いていたという39歳の女性。

「生き方に悩んでいた10年以上前の話です。せっかく田舎から出てきて大学まで出たのに、新卒での就職に失敗。私は、いわゆるブラック企業で働いていました。昼夜寝ずに働くことや人間関係が耐えられなくなり、風俗で働いたほうがマシかなと。心を無にして男性の相手をしていましたが、自分自身が“穢れてしまった”という意識が強くなり、そもそも働くこと自体が嫌になりました。ニートになって、風俗で貯めた貯金でなんとかしていましたが、もう死のうと……。そんなときに訪れたのがインドでした。バラナシのガンジス川で沐浴すれば“穢れ”が浄化されると言われています。でも、それ以上に、インドでは路上に体重計を置いてお金を稼ぐ“体重計測屋さん”やトイレで紙を渡してチップをもらう人までいて。人間、なにやったってお金を稼いで生きていけるんだって気が楽になったんです。いまは実家のある田舎に戻って、小さな会社で正社員として働いています」

 次は、20代の頃にバリバリと働き、「夢を叶えた」とまで言う30代半ばの男性のエピソード。仕事の意識が高く、夢を叶えたほどの人間が、なぜ死にたいとまで思ったのか。

「昔から“世の中に残る”仕事がしたいと考え、常に先のことを考えて生きてきました。プライベートも費やして頑張った結果、30歳のときに夢を叶えて、テレビや雑誌などのメディアからも出演・執筆依頼がくるようになりました。でも、燃え尽き症候群とでも言うのでしょうか。その後、なにもやる気が起きない。10年以上そのことばかり考えていたので、次になにかをやりたいと思えなくなったんです。やっぱり大変だったので。夢は叶えたし、だからこそ、もう生きる意味なんてない。僕は会社を辞めて、1年以上もぼけっとしていました。惰性で何年も付き合っていた彼女や家族からは結婚するように求められ……とりあえず籍を入れました。でも次第に追い詰められていったのかもしれません。収入もろくにないなか、役所からは税金だなんだの支払い通知が届く。毎日死にたいと思っていました」

 そんな彼が、どのように生きる希望を見出したのか。

「子どもができたんです。妻のお腹で動く様子を見ても実感はありませんでしたが、出産が難航。“上位胎盤剥離”という死亡率50%ぐらいある状態になってしまったのですが、心拍が上下動を繰り返す様子を見て、小さな命でも『人間って本能で生きようとするんだ』って気付いて。そして、生まれたあともNICU(集中治療室)に入って、お医者さんからは『覚悟してください』とまで言われたんですけど。なんとか無事でした。いまの僕が生きる意味は、子どもを育てることですね」

 それぞれで置かれた状況は異なる。もっと厳しい現実と向き合っている人は山ほどいるだろう。「めげずに頑張れ」という言葉が、本人にとっては逆に重荷として感じることもある。それでも少しでも悲しい出来事が減ることを願ってやまない。

<取材・文/日刊SPA!取材班>