慰安婦被害者を象徴する少女像(資料写真)=(聯合ニュース)

写真拡大

【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は日本時間の31日、世界史、世界文化に重要な影響を与えた資料や史料的な価値が高い記録物の保存を目的とした「世界の記憶」(世界記憶遺産)の新規登録リストを公表した。韓国や中国などの民間団体が共同申請していた旧日本軍の慰安婦関連資料はユネスコ下部審査機関で「代替不可能で唯一の資料」と高く評価されながらも、日本政府が登録阻止に総力を挙げたことで登録に関する判断が先送りされ、リストに名を連ねることができなかった。

 ユネスコは2015年、中国が登録を申請した旧日本軍の慰安婦関連資料について、他の被害国との共同申請を勧告。これを受け、韓国、中国、日本、台湾、オランダ、フィリピン、インドネシア、東ティモール、英国の9カ国・地域の民間団体などが昨年、「日本軍『慰安婦』の声」としてあらためて登録を申請した。

 慰安婦被害者の証言や慰安婦制度の運営を証明する史料、慰安婦被害者に対する調査資料、被害者の治療記録、支援運動の資料など2744点からなり、慰安婦被害者が共同生活を送る福祉施設「ナヌムの家」が運営する「日本軍慰安婦歴史館」、国家記録院、独立記念館、憲法裁判所など韓国の施設・機関が所蔵する記録物654点が含まれる。日本からも「アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館」が収集した資料など923点を提出した。

 慰安婦関連資料はユネスコの審査で、人権蹂躙(じゅうりん)を受けた被害者が勇気を振り絞って証言し、これが真相究明の動きにつながったという点でその重要性を認められた。複数の国の団体が力を合わせて膨大な資料を収集した点も評価されたが、日本政府に登録を阻まれた形だ。

 日本政府は15年に中国の「南京大虐殺」関連資料が登録されたことに反発し、記憶遺産の審査過程で関係国が反論権を持たない制度に問題があると指摘。ユネスコは今月18日に開いた執行委員会で、事実関係や歴史認識に見解の相違がある場合は関係国間の話し合いを促し、まとまるまで登録の審査を保留するとの改革案を採択した。

 これは来年の春以降に適用される予定だったが、日本が分担金を武器にユネスコに強く圧力をかけたことで、登録の可否を審査する国際諮問委員会(IAC)とユネスコ事務局長が最終的に「政治的考慮」をしたとみられる。

 史料としての価値が高いと評価された慰安婦関連資料だが、記憶遺産への登録は非常に厳しくなりそうだ。制度改革案が施行されれば、登録を巡り日本政府と韓国など他の被害国が折り合う可能性はほぼゼロのためだ。改革案は最長4年間、話し合いを促すとしているが、その結果を判断する主体や調整役に関する細かい内容は定めていない。