ベルギー、フランス、ドイツに囲まれたヨーロッパの小国・ルクセンブルク。

「森と渓谷の国」と呼ばれる自然豊かな国土に中世の古城が点在するこの国にあって、もっとも名高いのが首都・ルクセンブルク市から北へおよそ50キロのところに位置するヴィアンデン城。ロマネスク様式とゴシック様式が混在する、ルクセンブルクきっての名城です。

これまで、数多くの各国からの賓客がこの城を訪れており、1997年には天皇皇后両陛下も招かれました。

ヴィアンデン城の全景が目に入った瞬間、その予想以上の大きさに感動。小高い丘の上にたたずむその姿は、貫録たっぷりです。

この城の起源は、古代ローマの要塞が築かれた紀元前3世紀にさかのぼります。現在見られる城の基礎は、9世紀にこの地の領主であったヴィアンデン伯爵が建てたもので、のちにナッサウ家へと引き継がれました。

城の最も古い部分では、古代ローマ時代の壁が残っており、増改築が繰り返されてきた城の変遷に関する展示や、15世紀までの城での生活を示す発掘品などを見ることができます。

16世紀まで改築が重ねられたヴィアンデン城でしたが、18世紀末には住むものがいなくなり荒廃。1977年にルクセンブルクが城を購入し、翌年から大規模な再建工事がはじまりました。

今ではすっかり往時の輝きを取り戻したように見えますが、再建工事はまだ完全には終わっていないそうです。

現在、城の内部は博物館として公開されており、かつての貴族の生活を垣間見ることができます。

どこか荒々しい印象を受ける重厚な門をくぐれば、さあタイムスリップのはじまりです。

城の内部に入って、最初に見る部屋がゴシック様式の天井をもつ「騎士の間」。中世の騎士の甲冑や武器、高度な錠前をもつ金庫などが展示されています。

現在はバルコニーのようになっている城の中庭からは、森に囲まれたヴィアディンの町の風景を楽しみましょう。

この城で最も重要な部屋のひとつが、後期ロマネスク様式の傑作といわれる礼拝堂。かつては、伯爵とその家族がここでミサに参加したといいます。

鮮やかに彩られた太い柱が並ぶ10角形の空間が、見る者に強い印象を与えます。全体的に重厚感漂うヴィアディン城にあって、このカラフルな空間は文字通り異色。こうした色合いは建設当時のオリジナルが再現されたものです。

生活空間として使われていたと考えられる「祝宴の間」。ここに置かれている17世紀の戸棚は、もともとこの城にあったオリジナルであったことが判明している唯一の家具です。

隣接する部屋には、見事な彫刻が施された18世紀のベッドが置かれています。あまり大きくは見えませんがこれでも2人用で、当時のベッドとしては大きいほうなのだとか。

というのも、当時は横にならず、腰かけた状態で寝ていたからです。横になるのは亡くなった人だけが取る姿勢だったとのことですが、果たしてそれでよく眠れたのでしょうか。

豪華な巨大タペストリーが並ぶ「ヴィクトール・アベンスの間」。

30×10メートルもの大きさを誇る広間で、ここは今もパーティーやシンポジウムなどのイベント会場として使われています。古城で開催さえるパーティーなんて、想像するだけでもロマンティックですね。

派手さはありませんが、中世の面影を残す重厚なたたずまいが魅力のヴィアンデン城。

日本語のオーディオガイドを借りて、各部屋の役割や歴史的背景を聞きながら回れば、楽しみが2倍にも3倍にもなるはずです。

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