競売大手サザビーズが主催のオークションに出品された、マルセル・プルーストの「スワン家のほうへ」の初版本(2017年10月30日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】フランス・パリで30日、仏文豪マルセル・プルースト(Marcel Proust)の長編小説「失われた時を求めて(Remembrance of Things Past)」の第1編「スワン家のほうへ(Swann's Way)」の貴重な初版本と、自著をもてはやす書評の新聞掲載を依頼する自筆の手紙がオークションに出品され、53万5500ユーロ(約7000万円)で落札された。

 出品されたのは初版本5冊のうちの1冊で、40万〜60万ユーロ(約5300万円〜7900万円)での落札が予想されていた。5冊のうち3冊は現在私蔵されており、残りの1冊は第2次世界大戦(World War II)中に喪失したと考えられている。1913年に出版された初版本には、和紙が使われている。

 初版本と一緒に出品されたプルースト直筆の手紙は8通。主に自著を褒める書評を新聞に掲載するよう出版社の友人に依頼するもので、書評そのものをプルーストが書いていた。また掲載のための金銭の支払いについても触れられており、依頼については他言しないよう書かれていた。

 裕福だったプルーストは、日刊紙「フィガロ(Le Figaro)」の1面に「スワン家のほうへ」を高く評価した書評を掲載してもらうため、当時の金額で300フランを支払っていた。これは現在の価値に換算すると約1000ユーロ(約13万円)に相当する。また、友人が同作を褒めちぎった長めの書評の要約版を日刊紙ジュルナル・デ・デバ(Journal des Debats)の1面に載せるため、さらに660フランを支払っていた。

 主催者の競売大手サザビーズ(Sotheby's)の手稿専門家ブノワ・プッテマンス(Benoit Puttemans)氏は、AFPの取材に、当時は好意的な書評に金銭を払うのは普通だったと指摘している。
【翻訳編集】AFPBB News