日本冒険遊び場づくり協会/埼玉県草加市 NPO法人冒険あそび場草加ネットワーク

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子どもをのびのび自由に外で遊ばせたい! と思っているママは少なくないと思いますが、実際にじゅうぶんな外遊びをさせてあげることって、今の時代、簡単ではありませんよね。

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あり余る体力は、室内遊びではとても発散しきれません。ですが、最近の公園にはたくさんの禁止事項がありますし、周囲に気も使います。一方の子どもはそんなことにはおかまいなしで、スーパーでもどこでもキャッキャと走り回り、ママの方が疲れてしまいます。

幼児期の子どもにとって、運動は心身の成長に欠かせないもの

文部科学省は平成24年に幼児期運動指針を策定し、幼児を取り巻く社会の現状を踏まえ、幼児期の子どもにとって運動がいかに大切かを訴えました。

調査によると、「外遊びの時間が多い幼児ほど体力が高い傾向にあるが、4割を超える幼児の外遊びをする時間が一日1時間(60分)未満である」という結果が出ています。

さらに、「幼児にとって体を動かして遊ぶ機会が減少することは、意欲や気力の減弱、対人関係などコミュニケーションをうまく構築できないなど、子どもの心の発達にも重大な影響を及ぼすことにもなりかねない」と、外遊びの少なさが性格形成やコミュニケーション能力にまで影響するおそれがあるとまで言及しています。

では、どこで子どもをのびのびと遊ばせることができるのかしら、と悩むママにぜひ知っておいていただきたいのが冒険遊び場の存在です。

日本では1979年に誕生した冒険遊び場(通称プレーパーク)は、子どもだけでなく、ママやパパも子どもに戻って遊ぶことができる、珍しい遊び場です。既設の遊具はありません。子どもの「やってみたい」という好奇心と欲求をもとに、「さまざまな遊びが展開されていく、変化しつづける遊び場」とも言えます。

冒険遊び場について、特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会の理事・久米隼さんにお話を伺いました。

冒険遊び場のある街は子育てがしやすい?

特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会の最新の調査によると、現在、全国には416の冒険遊び場団体があり、1団体が複数の冒険遊び場を運営している場合もあるため、冒険遊び場の総数は500近いのではないかということでした。これは、統計を取り始めてから最多の数で、増加傾向にあるそうです。

特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会の理事・久米隼さんは、「昨今は、行政の冒険遊び場への関心・協力が非常に高まっている」とおっしゃっています。

遊びが体力づくりにいいことは以前から注目されていましたが、そのほかに遊びがもたらす「副産物」に特に注目が集まっているそうです。その副産物について、具体的にお聞きすると、「人口減少対策、子育て支援、子どもの貧困対策によい影響がある」ということでした。

「これは岡山県のとある街の話なのですが、冒険遊び場がある地域は、近隣の地域に比べて人口が増えている、というデータがあるのです」

と久米さん。

冒険遊び場がある街=子育てがしやすい、と評価されていることになりますね。

子どもを育てる過程で引っ越しをすることになったら、より子どもを育てやすい街を選びたいというのはママやパパの想いです。

どんな遊びができるの?

冒険遊び場ではどんな遊びができるのか、久米さんにお聞きしたところ、冒険遊び場によってちがうというお答えが返ってきました。

筆者はどの冒険遊び場でも火が使えるかと思っていましたが、火の使用ができない遊び場もあるそうです。ですが、火が使えないから、土がないから遊べない、というわけではない、と久米さんは言われます。

「歩行者天国の道路でやる冒険遊び場というのもありますし、埼玉県にある冒険遊び場は、家の前に七輪を出してそれを囲んで遊ぶのですが、世界一小さな冒険遊び場です。大人が予想する以上に、子どもたちは、あるものを使ってその場に応じた遊びを展開していくんです」

ママたちのネットワークのホームグラウンドになる冒険遊び場

対象年齢別にみると、乳幼児向けの冒険遊び場の広がりは、もっとも大きいと久米さんは言われます。

今の時代は、ママ世代もすでに外遊びをあまりしなかった世代にさしかかってきています。

最初は汚れることを想定せず、子どもに白い服を着せて遊び場に来たママがいたそうです。それが次回は黒い服、3回目からは着替えを持ってくるようになっていったそう。服が汚れることなんて、子どもがのびのびと遊べるためならなんてことはない、と思える場所、それが冒険遊び場なのかもしれません。

冒険遊び場を基盤とする自主保育のサークルの活動も盛んで、ある都心部の冒険遊び場では、ママたちが大型バスを借りて、千葉県まで稲刈りツアーを企画、敢行したのだとか。

「冒険遊び場でおもしろいのは、どの子がどの親の子か、わからなくなるんですよ。家に帰るために自転車に乗る段になってはじめて、親子関係がわかることもあります」

よその子も自分の子もみんなで一緒に育てているような感覚が、もう一人きょうだいをつくってみようかな、と思えるきっかけになるのかもしれないですね。

冒険遊び場は自分たちでつくれる!

自分の住んでいる地域に冒険遊び場がなかったら? と思った方、冒険遊び場はつくることができるんです!
協会のホームページには、実際に冒険遊び場のつくり方が載っています。

冒険遊び場は基本的に行政が運営するものではなく、住民が行政の協力のもとに運営されることが望ましいと、協会は提唱しています。

一から冒険遊び場をつくるなんて、ちょっとハードルが高い気がしてしまいますが、

「実際に冒険遊び場の数が増えていることをみると、住民の意識の高まりを感じます。先月も江東区豊洲に新しく冒険遊び場がオープンしたのですが、中心になっているのは豊洲の高層マンションに住んでいるママたちなのです」
とのことでした。

子育て世代の人口増加が著しい江東区。行政が動くのを待っていたららちがあかない、とママたちが立ち上がった好例ですね。

地域住民による運営が広がっているのは、世界的に見た日本の冒険遊び場づくりの特徴だそうです。

まとめ

「遊びは生きることを学ぶ術」とは、日本の冒険遊び場創始者の大村璋子さんの言葉です。外遊びで得られるものは、体力だけでなく、はかり知れない創造性や他人と交流する力なのですね。それを楽しみながら身につけることができる冒険遊び場は、子どもだけでなく、大人にも必要な場所なのかもしれない、と思いました。

自分の住んでいる地域の近くに冒険遊び場があったら、まずは出かけてみませんか。

ホームページの全国遊び場情報のページはリニューアル直後のため、すべての情報が掲載されていない可能性があるそうです。気になった方は、ぜひ、直接事務局へ問い合わせてみてくださいね。

■取材協力:久米 隼
特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会理事。
神奈川県横浜市生まれ。埼玉県在住。大学院博士課程前期課程修了。冒険遊び場を大学の実習をとおして知り、地域コミュニティを地域住民が主体となってつくっていく活動に魅了される。日本冒険遊び場づくり協会では事務局総務担当を経て事務局長を拝命。
16年より理事 兼 事務局長。