『ハリー・ポッター』シリーズの透明マント、映画『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』の透明少年などなど、あらゆる創作に出てくる「透明になる」能力。でも魔法の道具も無ければ、不思議なチカラもない僕らにとっちゃ、夢のまた夢。科学のチカラに頼るしかない。そう…逆に言えば、科学のチカラでならできるのだ!

ってことで、まるでウソみたいな話なんだけど、浴びたものが透明になっちゃうビームが発見されたんだそう。これを浴びて好きな子の部屋に忍び込むとか、ちょっと怪しい少年漫画とかで見たような見てないような、夢物語なんじゃないか?

「光の屈折」をビームで操る

オーストリアのウィーン工科大学が発表したところによると、なんでも物体に特殊なビームを照射し、ものの性質を変えることで、光の屈折を抑えて物体を通過させる技術を突き止めたそう。これによってあらゆるものを「見えなく」することが可能になる。僕らは普段、光が何かに当たってそれが反射したのを目にすることでものを見ているからだ。

光の波は物体に出入りすることができるが、一直線に通過することはありません。あらゆる方向に散らばるのが普通です。それを完全に通過させることでものを不可視化するのが我々のゴールでした。

ただ、ものを透明にするためには、物体の複雑で不規則な内部構造にぴったり一致したパターンを持つビームを照射する必要があるため、現在のところコンピュータシミュレーションでは成功してるものの、実現はこれからなんだとか。とはいえ、

おかしな話に聞こえるかもしれないけれど、我々がもつ特定の素材と特別な光波技術を用いれば実現可能です。

と、研究者は自信満々だ。

人体に使える日は来るの?

でも、僕を含め多くの人が小中高生時代に一回はハマったことがあるだろう、SFフィクションの技術を科学的に検証して面白おかしく現実を突きつけるベストヒットシリーズ『空想科学読本』で、柳田理科雄先生は言っていた。「人間が透明になると生きていられない」って。それに食べたものは透明にできないから、もしも体を透明にできても胃や腸の中は見えて気持ち悪いことになるって話もあったなぁ。

しかしながら、この光線の仕組みから考えると、そういうのもクリアしちゃうのかもしれない。だって光の屈折具合を調整することで見えなくするってことは、体を「本当に」透明にする必要がないんだから。

本当は色を持っていたって、相手にそれが「認識できない」だけなら話は別、なのか…?まぁこれはビームを当てても体に影響が出なければの話だから、実際に実験が進むうちにわかって来るのかも。

ってことは、もし人体や服にまとめて使用できるようになれば、透明人間あるあるの「服は透明にできないから、いちいち全裸になんなきゃいけない」って手間も無くなるのでは?何かの映画でセクシーなお姉さんが透明人間で、能力を発揮するたびに服を脱ぐとかいうシーンがあったけど、それももう古いってことになるのか…。

「透明」技術の競争と使い道

そんな話はさておき、光の屈折をいじくって透明にするという発想自体は、実はそんなに目新しいものでもない。

実際、5年くらい前にカナダの企業が光学迷彩技術を使った「透明マント」を開発したと発表し、サイトでは実際にそれを使用した夢みたいな写真まで載せている(技術が明るみに出なかったぶん、本当なのかどうか一悶着あったみたいだけど)。

ちなみにこの会社は軍隊向けの製品を作っていて、この製品も軍事利用目的なんだそう。こんなマントで近寄られたら絶対に気づかないぶん、怖すぎる…。でもむしろ軍事やスパイ業でこそ光る技術でもあるんだろうし、ダイナマイトが当初の目的と違う利用法で広まったみたいに、ものを透明にする技術も思いもよらない形に利用されていく可能性もある。

あなたはもしも透明になれたら、またはいろんなものを透明にできたら、何に使う?

Reference:Technische Universität Wien,Hyperstealth Biotechnology