子どもの偏食、気にしすぎる必要はないってホント?

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好き嫌いを改善するためにいろいろと工夫しているのに、なぜか嫌いなものをなかなか食べてくれない。子どもの偏食にはどのように付き合ったらいいの? 管理栄養士の坂井エリサ先生に伺った。

「まず、子どもの偏食には理由が2つあります。ひとつは防衛本能。人間は本能的に、甘味・塩味・旨味を好みます。それは、生きていくうえで不可欠なエネルギーやミネラル、タンパク質を見抜くシグナルとなるからです。一方、苦味・酸味は毒物や腐敗物を見抜くシグナル。本能的に良くないものとして認知されるため、子どもは苦手なことが多いのです。子どもの味覚は大人の約3倍敏感なため、好き嫌いがはっきり出やすいともいえます」(坂井先生 以下同)

そしてもうひとつの理由は、環境的な要因だという。

「子どもの場合、味覚の形成に感情の影響が大きくかかわります。それは『栄養のために食べる』などの論理的な思考より、『甘いから』『好きだから』と感覚的に捉える傾向にあるから。お腹が空いている時に食べた満足感や、楽しく食事をした経験が子どもの『おいしい』と感じる感性を育てます。おなかが減っていないのに食べさせられた、ひとりで食べてつまらないといった嫌な思いをした、料理が食べにくい、見た目が苦手といった食体験から、その食べ物が嫌いになることがあります」

●子どもの偏食にはロングスパンで付き合おう

子どもの頃は苦手だったものが、大人になると食べられるというのは、よくある話。これは味覚が変化しているから?

「はい。お子さんによって変わってきますが、味覚の発達は10歳ごろまでといわれています。成長するにつれ、味を感じるセンサーがピーク時の1/3ほどに減り、苦手な味を感じにくくなります」

また、食体験が増えることも味覚に変化をもたらすという。

「さまざまな料理や食材に触れることで、次第に味の好みが変わり、その味を受け入れられるようになります。無理強いをするのではなく、『これおいしよね』と一緒に楽しみながら食事をして、苦手だったものなら『食べられるようになってえらいね』と励ましていくと、だんだんと味の幅が広がります」

また、10歳を過ぎたからといって味覚が発達しないわけではない。「家族と一緒に食事をする」「会話を楽しむ」ことを意識することで、苦手意識が緩和されることもあるという。大事なのは、子どもに嫌いなものや苦手なものがあっても、親が焦らないことだ。

「好きな物だけを食べさせることは、味の食体験が減って偏食が改善しないことにもつながります。たとえ好き嫌いがすぐに改善しなくても、焦らずに付き合いましょう。食材の調理方法や食環境を工夫することで、ゆっくりと改善することがありますから。むしろ感情的に怒ることは苦手意識を増やす要因にもなり、ますます食べなくなってしまいます」

すぐに偏食が改善しなくても不安に思わず、ある程度「そんなものだ」と割り切ってしまおう。そして根気強く子どもの味覚の成長に付き合っていくことが大切といえそうだ。

(取材・文:石水典子 編集:ノオト)

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