日本サッカー界を牽引してきたふたりのレジェンド、高木監督(左)と井原監督(右)。残されたひとつの自動昇格枠を激しく争う! (C)SOCCER DIGEST

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 空前絶後の大混戦だ。佳境を迎えたJ2リーグは湘南ベルマーレが優勝&昇格を決めた一方で、もうひとつの自動昇格枠を巡る争いが熾烈を極めている。
 
 V・ファーレン長崎が敵地でロアッソ熊本を2-0で下して10戦不敗を継続。東京ヴェルディとスコアレスドローを演じたアビスパ福岡を抜き、2位に返り咲いた。4位だった名古屋グランパスも3ポイントを上積みし、順位がひとつアップ。これで2位長崎、3位名古屋、4位福岡とランクが変動し、3チームが勝点2差の中にひしめく。
 
 残り3試合。そんな一瞬の気の緩みも取りこぼしも許されない昇格レースで、ふたりの指揮官が火花を散らしている。長崎の高木琢也監督と、福岡の井原正巳監督。アジアの大砲と、アジアの壁。ともに言わずと知れたレジェンドで、現役時代は長きに渡って日本代表とJリーグを牽引した、矛と盾だ。
 
 どちらも1967年生まれの同級生。いわゆる“花の67年組”で、ほかにも中山雅史や武田修宏の両氏がおり、早生まれではキング・カズこと三浦知良(ついでにロベルト・バッジョも)がいる豪華世代だ。「ドーハの悲劇」に遭遇したメインキャストにして、ピッチ内外で親交を深めてきた友人同士がいま、同じ九州の地で鎬を削り、しびれるような昇格争いを繰り広げている。
 
 互いにどんなインプレッションを抱いているのか。それぞれの練習場に、それを訊くためだけに足を運んだ。
 
まずは、スマイリーに迎えてくれた高木監督だ。
 
「井原はね、同級生とは言っても、僕にしてみれば雲の上の存在ですよ。大学2年から日本代表に選ばれていたし、ユース年代でも日の丸を付けていた。僕もそこはメンバー選考まで入ったけど、まあ入ったこと自体がおかしいレベルでね」
 
 この謙遜にすぎる“大砲”のコメントを、“壁”にぶつけてみる。井原監督はにっこりと笑って、こう答えた。
 
「そんなことない、ない。同級生としてずっと切磋琢磨してきた。なにせ、大砲と壁ですから(笑)。現役時代に何度となく対戦して、いままたこうやって指導者として戦えるのは嬉しいし、刺激になっています。今季は1勝1敗でしたね。ここに来て勢いで(長崎に)押されているところがあるけど、負けないようにやっていきたい」
 
 指揮官・高木琢也のことは、こんな風に見ているという。
 
「フォワード出身ですけど、スタイルとしては堅いというか、守備の構築がかなり緻密。選手の時とはちょっと考えられないくらいの。そこはすごいなと思いますし、すべてを突き詰めてやっている印象がある。かつ、長崎の選手たちがそのやり方に浸透してきたなって感じますし、メンバーが変わっても同じスタイルを貫いて、プラス、それぞれの選手に合った形で少しずつ進化させている。練習の内容を聞いてもすごく厳しいみたいで、そこも選手の頃では考えられない(笑)」
 かたや、V・ファーレンを率いて5年目になる長身監督はどう捉えているのか?
 
「正直言って僕は、井原がどんなことをしたいのかは分からない。なぜかっていうと、チームの状況が違う。長崎はそんなにお金があるチームじゃない。いまの福岡は資金があるなかで、井原自身も誰と誰を掛け合わせたらチームとしていい表現できるかを、よく考えていると思う。福岡は個がしっかりしているチームで、井原のパーソナリティーや経歴が強く影響しているのかなと。そういう意味では、福岡に合ってるんだと思う」
 
 続けて、井原監督のチーム作りについてはこう分析した。
 
「どんな監督でも、自分の形やスタイルというのがある。もちろん井原もそうで、相手のウイークポイントやシステムに合わせて、中盤の構成を変えたり、前線の選手をスピードや高さとか特性によって変えたりしてますよね。しっかり見ている指導者だなと。(柏レイソルのコーチ時代に)ネルシーニョに付いていた影響があるのかもしれない」