来年にもニューヨークで完全な自律走行車のテストへ 加速する技術開発

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【デトロイト・AP通信】 自律走行車は既にピッツバーグの緑豊かな丘やサンフランシスコの急な坂道を走行している。歩行者、タクシー、バス、さらに自転車が毎日忙しく行き交う混沌としたマンハッタンの街中で、それらの人や車両に絶対に衝突しないよう自律走行車の試験走行が限りなく繰り返される日がすぐそこまで来ている。

 サンフランシスコを拠点とし、米国ゼネラルモーターズ(GM)が所有する自動運転ソフトウエア開発会社、クルーズ・オートメーションは、来年早々にもニューヨークでの走行試験の開始を目指している。GMとクルーズ社はニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ氏によって今月17日に発表された新しい試行プログラムのもと、ニューヨークでの運行を申請している。

 申請が承認されれば、完全な自動走行を行う車がニューヨーク州での試験走行を認可される初めてのケースになるだろう、とクオモ氏は声明の中で述べた。フォルクスワーゲンAGのブランド「アウディ」とGMの「キャデラック」はアルバニーとニューヨーク市で半自律走行技術の実演を行った。しかし、ニューヨーク州陸運局の報道官によると、それらのシステムはクルーズ社が開発したシステムに比べれば、さほど先進的なものでは無かった、とのことだ。

 走行試験に用いられるのは、シボレー・ボルトEVにカメラ、レーダー、センサー、そしてクルーズ社が開発したソフトウエアを搭載した車両である。GMの広報担当、パトリック・サリバン氏の話では、GMとクルーズ社は現在、既に100台の自律走行が可能なボルトを登録済みであるという。それらの車両は、サンフランシスコ、フェニックスおよびデトロイト地区で既に運行を開始している。

 ニューヨークでもマンハッタンの南端部の5平方マイルの地域内で少数の自律走行車の運行が始まろうとしている。自律走行車にはエンジニアが乗り込んで常にハンドルを握っており、助手席には監視者が必ず同乗している。試験走行は、安全性と法令遵守を保証するためにまず少ない台数から開始し、徐々に台数を増やしていく予定である、とサリバン氏は述べた。

「この救命技術を安全、かつ、迅速にニューヨーカーにもたらすことが私たちの最も重要な優先事項なのです」とサリバン氏は言う。

 クルーズ社の最高経営責任者、カイル・ボッグト氏は、人口800万人以上の人口密度が高いニューヨーク市では、同社がソフトウエアのテストを実施して技術開発を加速する上で、通常ではない状況をさらに得やすくなる、と言う。

 同氏が今月初めにブログに投稿した記事では、サンフランシスコのように交通が複雑に交錯する都市部で行うテストの1分間は、郊外で実施するテストの1時間に相当する、とボッグド氏は語っている。たとえば、サンフランシスコでの走行試験中、1,000マイルの走行毎に270台の緊急車両に遭遇したが、フェニックス郊外での走行試験では、たった6台の緊急車両に遭遇しただけだった、という。

「まず難関な場所でテストを実施する、ということは、簡単なところから始めるよりも、より迅速な成熟が可能になる、ということを意味します」とボッグト氏は述べている。

 クルーズ社は、テストの一環としてニューヨークに事務所を開設する予定だ。

 ボッグト氏は、クルーズ社とGMがいつ試験走行を終え、実際に自律走行車の販売にいつ乗り出す予定なのかについては何も語っていない。しかし、ライバル企業たちは、およそ4年後には実際に自律走行車を路上で見かけることになるだろう、と話している。

 ニューヨークは、自律走行車の試験走行に関しては、比較的、新参の部類に入ると言えよう。ボストンを拠点とするベンチャー企業のニュートノミー社(nuTonomy)は昨年、シンガポールで自律走行タクシーの試験運用を開始し、現在はボストンでも試験運用を行っている。ウーバーとボルボは昨秋、ピッツバーグで自動運転車の試験を開始した。9月現在、42社もの企業がカリフォルニア州の公道での自律走行車の試験運行が許可されている。ラスベガスでは自律走行シャトルバスの試験運行が実施されている。

 自動車産業のエクスパートであり、コーネル大学労働問題研究機関のニューヨーク西部労働環境プログラムの理事であるアーサー・ウィートン氏によると、マンハッタンは、市街が格子状に配置されており、車の走行する速度も低速であるため、ボストンやラスベガスよりも自律走行車の運行が容易である、とのことだ。しかし、交通量が多いために自律走行車の運行にはより大きな困難が伴う。

「ニューヨーク市ほど混雑した場所で、歩行者、自転車および自動車の交通の流れに対処することが出来るなら、これは実に大がかりなテストとなります」とウィートン氏は話した。

 同氏は、ニューヨークはその人口密度の高さゆえ、自律走行シャトルバスやカーシェアリングが最初に導入される場所となりうる街である、とも言う。運送会社やタクシーサービスが点検、保守および駐車を常時必要とする50〜100台の自律走行車を保有する場合、事業運用を採算に合うようにするためには、車両の稼働率を十分に高める必要がある。

By DEE-ANN DURBIN and TOM KRISHER
Translated by ka28310 via Conyac