森保一監督の招聘に尽力した西野朗委員長。ここからは二人三脚で歩みを進めていく。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 初めてナショナルチームを率いる森保一監督にとって、これ以上心強い存在はないだろう。
 

 10月30日、都内で東京五輪世代のU-20日本代表を指揮する森保一監督の就任会見が行なわれた。会見には、日本サッカー協会の田島幸三会長、森保監督と共に、強化担当のトップに立つ西野朗技術委員長が登壇し、今後の方針について言及。西野委員長は「当時とは環境が違う」と前置きした上で、自身の経験をもとに森保監督を全力で支える構えを見せた。
 
 西野委員長は96年のアトランタ五輪でU-23日本代表を指揮。中田英寿や前園真聖などを擁し、28年ぶりにアジア予選を突破し、五輪出場に導いた。そして、最大のハイライトとなった本大会初戦のブラジル戦。リバウド(オーバーエイジ枠での出場)やロナウド、ロベルト・カルロスといった多数のタレントを抱えるカナリア軍団を1-0で撃破してみせたのだ。“マイアミの奇跡”として後世に語り継がれ、偉業として歴史に名を残した。その体験談は森保監督にとって、まさに生きた教科書。頼もしいこと、この上ないだろう。
 
 では、具体的にはどのようなバックアップを行なうのか。様々な形があるが、会見で西野委員長が挙げたのは要求することの重要性だ。
 
 今から21年前。久々の五輪出場ということでU-23日本代表には多くの注目が集まっていた。その状況下で当時の西野監督は臆することなく、各方面に自らの考えを伝達。
「オリンピック本選に出るということで、世界に出るだけではなくて、そこで成果を出したい。そういう部分で協会に要求させてもらいましたし、JOC(日本オリンピック委員会)にも勝つために要望を出しました」

 この言葉通り、五輪代表チームの強化に勤しんだ西野委員長だが、「奇人だの変人だのと言われた(笑)」と当時を振り返る。しかし、周囲の声に惑わされず、ブレずに行動したことが結果につながった。
 
「最初はおかしいと言われるかもしれないけど、意見をストレートに出してほしい。クラブとは違い、選手をセレクトして、理想のサッカーができる。いろいろ知っている監督で、選手のことも知っていると思うので、自分のスタイルでぶれずにやってほしい。だから、要求をしてほしい」(西野委員長)

 経験豊富な旗振り役からの金言。東京五輪でメダル獲得を目指す森保監督にも、貴重な意見として深く刻まれたはずだ。

取材・文:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)