東京五輪世代の「森保ジャパン」始動 メダル獲得へ、編成のキーワードは「ラージ」

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森保監督は門戸を広く構える方針 「いろいろと力関係が変わってくる年代」

 森保一氏の監督就任が決まった「東京五輪世代」。

 2020年の自国開催大会で、1968年メキシコ五輪以来となるメダル獲得に向けて第一歩を踏み出したが、これからの2年半は「ラージ」という単語がチーム編成のキーワードになるかもしれない。

 この言葉は30日に行われた記者会見で、森保監督と西野朗技術委員長が強化やメンバー選考について問われた際に口にしていたものだ。東京五輪世代は今年開催されたU-20、U-17ワールドカップ(W杯)に出場した選手が中心になると期待され、すでに名が知られた顔も数多い。

 例えば、U-20世代はFW小川航基(ジュビロ磐田)やMF堂安律(フローニンゲン)、DF冨安健洋(アビスパ福岡)ら、U-17世代ではMF平川怜(FC東京U-18)にFW中村敬斗(三菱養和SCユース)、そして両大会に出場したFW久保建英(FC東京U-18)といった選手たちだ。

 とはいえ、チーム作りにおいては彼ら少数精鋭の“スモール”編成で臨むのではなく、門戸を広げようとしている。実際、森保監督は「固定してというよりも、2年半くらいのなかでいろいろと力関係が変わってくる年代」と話し、伸びしろを感じる選手を積極的に迎え入れることを示唆している。

過去には中澤、長友といった“抜擢例”も

 過去にも好例はある。2000年シドニー五輪を率いたフィリップ・トルシエ監督は、前年のワールドユース(現U-20W杯)準優勝メンバーのMF稲本潤一(現・北海道コンサドーレ札幌)、そしてセリエAで大活躍していたMF中田英寿らが順当に選ばれると同時に、プロ入り時点ではまだ無名だったDF中澤佑二(現・横浜F・マリノス)の急成長ぶりを買ってメンバーに入れた。

 また、2008年北京五輪では反町康治監督(現・松本監督)率いるチームの中で、明治大で頭角を現してプロの道をつかんだDF長友佑都(現インテル)が不動の左サイドバックとしてプレー。その後の代表、クラブでの活躍は説明不要だろう。

 何より森保監督自身、現役時代に抜擢されて飛躍した象徴的存在だ。“国見全盛期”だった長崎県にあって国体メンバーに選ばれ、マツダ(現サンフレッチェ広島)入団後には指揮官だったハンス・オフト氏に見出された。そして、アメリカW杯を目指した「オフトジャパン」でもFW三浦知良(現・横浜FC)、MFラモス瑠偉、DF井原正巳(現アビスパ福岡監督)ら有名選手が名を連ねるなかで、ボランチのレギュラーに定着した。

「これまでの指導者の努力が花開くように…」

 また指導者転身後には広島での輝かしい実績とともに、2007年U-20W杯にコーチとしても、帯同するなどの豊富な蓄積がある。だからこそ今は無名でも、Jクラブだけでなく大学や高校で光る原石がいれば――。そう考えるのは自然だろう。

「これまでの指導者の努力が花咲くように、選手がさらに伸びて喜んでもらえるように、選手の助けになるように臨んでいきたい」

 森保監督自身もこのように語っている。東京五輪開幕まで1000日を切ったなかで、各地に散らばる好素材を発掘し、どれだけ“広い”チームを構築していけるか。今世代の注目ポイントとなりそうだ。

【了】

茂野聡士●文 text by Satoshi Shigeno

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images