汗とともに血液が流れだす女性(画像は『CBC.ca 2017年10月23日付「Sweating blood: bizarre disorder baffles doctors」(CMAJ)』のスクリーンショット)

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このほどイタリアから傷もないのに血の汗をかくという疾患を抱えた女性の話題が届いた。女性は顔や手のひらを血の汗にまみれた状態で病院に駆け込み入院したという。『CBC.ca』などが伝えている。

今回の驚くような病状は今月23日、「カナダ医師会ジャーナル(Canadian Medical Association Journal 以下CMAJ)」で最も注目される病例として紹介された。

この病状を抱えているのはイタリアの21歳女性で、彼女の皮膚には特に病変らしきものは見当たらない。にもかかわらず汗をかくたびに血まみれになってしまう。3年前に発症したというが、特に病を引き起こすような出来事は無かったそうだ。

女性は運動などで汗をかく以外にも、就寝時の突然の出血、ストレスを感じるとさらに激しい出血が1〜5分ほど続くという。イタリアのフィレンツェ大学の皮膚病学者であり、論文の共著者であるロベルト・マーリエ氏(Dr. Roberto Maglie)は女性の身元を伏せたうえで、この出血が原因で社会から隔離された生活を余儀なくされ、ついに彼女は鬱病とパニック障害を発症したと述べている。

検査の結果、血球数や血液凝固機能には問題がなかったことから、女性が病状について意図的に嘘をついていることはなさそうだ。女性は「血汗症(hematohidrosis)」と診断されたが、これは血液が皮膚や毛穴を通って汗をかくように体外に排出される稀な疾患である。

時には汗腺がない箇所からも出血することがあると報告されているが、原因は特定されていない。今回の女性の場合、血液凝固機能が低下する出血性障害や、極度のストレスが精神と身体の異常を起こす心因性の疾患が関係しているのではないかと考えられている。

カナダのトロントにあるセント・マイケルズ病院の血液学者ミシェル・ショルツバーグ博士(Dr. Michelle Sholzberg)は、今回のケースについてこのように話している。

「出血性障害のあらゆる状態の中でも、このように汗として出血するケースは見たことがありません。断言できます。最も珍しいケースです。この女性については出血性疾患であるとは考えにくく、解剖学的な何らかの欠陥があるのではないかと考えています。それはもしかしたら汗腺そのものの問題なのかもしれません。」

医師や研究者を困惑させたこのイタリアの女性には、心臓や血圧の治療に使われる「プロプラノロール」が処方された後、完治とは言えないが出血が少なくなったという。

画像は『CBC.ca 2017年10月23日付「Sweating blood: bizarre disorder baffles doctors」(CMAJ)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)