怪我を押して強行出場した倉田は、キープ力と技術の高さを生かして攻撃を活性化。前半にはポスト直撃のシュートも放った。写真:J.LEAGUE PHOTOS

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[J1リーグ31節]G大阪1-1仙台/10月29日/吹田S

 前節・浦和戦で右足の小指を骨折しながらも、仙台戦で強行出場したG大阪の倉田秋は試合序盤から溌剌とした動きを見せた。

 持ち場の右サイドに止まらず、中盤のスペースに顔を出しながら味方からボールを引き出す。ボールを受ければ、すかさずドリブル、パスを織り交ぜながら推進力をもたらしたその姿からは、まるで怪我の影響は感じられなかった。

 1-1の同点で迎えた30分には、自ら見せ場を作る。右サイドで初瀬亮からパスを受けると、ペナルティエリア内の赤粼秀平とのパス交換から左足をひと振り。強烈なシュートは惜しくもゴールポストを叩き勝ち越しとはならなかったが、高いキープ力と捉えどころのない動きで敵DFをかく乱し、攻撃にリズムをもたらした。

 それでも仙台の守備網をなかなかこじ開けられず、倉田の奮闘も空しくチームは前節に続く引き分けに。自らの出来については「決めきらないと意味がないし、(10番として)そういう立場にもあるので、もっと頑張らないと駄目」と、厳しく切り捨てた。

 故障を抱えながらあえて強行出場した背景には、代表への想いもあったはずだ。もちろん、G大阪の「10番」として十分な結果を残せていない憂いを晴らす意味を含みつつも、来月に控える欧州遠征へのメンバー入りへ、この仙台戦が最後のアピールの場となれば休んではいられない。

 10月シリーズでは2試合で2ゴールと結果を残したが、決して安泰な立場とは言い切れない。メンバー入りへ当確ランプを灯すためにも、倉田にとってこの試合は重要な意味を持つものだったのだ。

 果たしてこの日のパフォーマンスが、ブラジル、ベルギーと戦う欧州遠征へのメンバー選考(※メンバーは10月31日に発表)へどう影響するか。「人生を懸けているくらい重要な場所」だという代表入りへ、怪我を押して出場した倉田の執念は実るだろうか。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)