身勝手な処方保湿剤利用で迷惑するのは患者だが

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全国の健康保険組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は2017年9月14日に、各組合から提供された2013〜2016年のレセプト(医療報酬の明細)データ分析調査結果を発表した。

レポートの中で健保連は、保険適用となっている「ヘパリン類似物質」「白色ワセリン」「ヘパリンナトリウム」などの保湿剤が、美容目的で化粧品などの代わりに使用されている可能性を指摘。皮膚疾患と診断され、他の外皮用薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合には、当該する保湿剤を保険適用から除外するよう提言している。

保険適用保湿剤は皮膚乾燥に高い効果を持ち、診療ガイドラインで外用ステロイドと保湿剤の併用が強く推奨されている、アトピー性皮膚炎などの患者に処方されている。

しかし、健保連の調査によると近年雑誌やネットメディアなどで美容アイテムとしてヘパリン類似物質のひとつ「ヒルドイド」を推奨する情報が出回っていた。

レセプト分析でも数年前から外用薬や抗ヒスタミン薬を処方されておらず、傷病名称が「皮膚乾燥症」のみで処方薬による保湿の必要性が低いと思われる患者が、ヘパリン類似物質や白色ワセリンだけを処方されている例が増加していることを確認したという。

こうした実態や、英国や米国、フランスなどでは保湿剤が保険適用となっていないことから、健保連は「保湿剤の保険適用の範囲を縮小する」「保湿剤を保険適用外とする」といった政策を提言。

前者の政策が実施された場合、薬剤費は年間約93億円、後者であれば約1200億円の削減が可能であるとしている。

なお、アトピー性皮膚炎やその他の皮膚疾患では処方薬による保湿の必要性が認められており、一定の配慮が必要であるとも指摘していた。

医師・専門家が監修「Aging Style」