勝ち切れず試合終了直後には肩を落とした選手たち。しかし、ミックスゾーンではポジティブな声が聞かれた。写真:田中研治

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[J1リーグ31節]柏2-2川崎/10月29日/柏

 降りしきる雨によりピッチにはいくつもの水たまりが浮かぶ。悪天候により30分遅れで始まったゲームは、ボールを蹴れば水しぶきが上がる苦しい戦いとなった。
 
 0-0で迎えた後半、川崎は柏に先手を取られた。クリスティアーノのお膳立てからハモン・ロペスに先制点を奪われると、4分後にはR・ロペスのクロスからディエゴ・オリヴェイラに追加点を決められた。
 
 一方、川崎は持ち前のパスサッカーを荒れたピッチに封じられ、なかなかチャンスを作れない。すると鬼木達監督は53分に大卒ルーキーのストライカー・知念慶を投入。後半頭から起用した森本貴幸と前線に並べ、ハイボール主体の攻撃へと切り替えた。
 
「モリくん(森本)と知念というパワーのある選手が入って来てくれて、起点を作れるようになった」
 
 車屋紳太郎がそう振り返ったように、ふたりがピッチに立った効果は徐々に表われる。53分には知念が左サイドを突破してあと一歩というクロスを森本に送ると、56分には森本が強烈なヘッドを放ち、59分には小林悠がこぼれ球から決定機を迎えた。
 
 そして70分には車屋の左からのクロスに知念が身体を投げ出しながら頭で合わせて一点を返す。続く90分には再び車屋の左からのクロスを今度は小林が頭で決めて土壇場で同点に追い付いた。
 
 しかしこの日、首位の鹿島が勝利したため、勝点差は4に広がった。リーグは残り3試合。次節、鹿島が勝ち、川崎が敗れれば鹿島の連覇が決まる。川崎にとっては厳しい状況だ。
 
 ただし、選手たちは前を向く。
 
「0-2になっても下を向かなかったし、逆転するぞという気持ちを見せられた。追いついたのは大きいと思う」(中村憲剛)
「ドローではあるが、こういう条件で戦えたのは経験になるし、アウェーで巻き返したことを次に生かしたい」(車屋)
「最後に追いつけたので、マイナスに捉える必要はないし、下を向く必要もない」(板倉滉)
 
 本来はこれでもかというほどパスをつなぎ、華麗な崩しを真骨頂とする川崎が荒れたピッチが影響したにせよ、なりふり構わずロングボールを前線に蹴り込み、無理やりにゴールをこじ開けた点にはこれまでにない力強さを感じた。
 
 鬼木達監督も「後半最初に一番こだわらなくてはいけない球際のところや、一歩二歩寄せなくてはいけないところができなかったのが残念です」と課題を語りながら、「最終的に選手がなにがなんでもタイトルを獲ろうという気持ちを見せてくれて、追いつくことができた。とにかくこの勝点1を無駄にしないで、ここからのゲームを続けたい」とポジティブな言葉も口にする。
 
 川崎の残り試合は32節・G大阪戦(11月18日/等々力)、33節・浦和戦(11月29日/埼玉)、34節・大宮戦(12月2日/等々力)の3戦だ。
 
 対する鹿島は32節・浦和戦(11月5日/カシマ)、33節・柏戦(11月26日/カシマ)、34節・磐田戦(12月2日/ヤマハ)の3戦となっている。
 
 鹿島がこのなかで勝点を落としてくれることを願いつつ、川崎は3戦全勝を目指す必要がある。高い壁であるのは間違いない。ただし、力強く成長を続けるチームにとっては不可能なミッションではないと信じたい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【柏2-2川崎 PHOTO】後半45分、小林のゴールで川崎が追いつき執念のドロー!