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地域住民と行政をつなぐ民生委員。住民の相談や手助けを行っており、今年で100年の歴史をもつ制度です。そんな民生委員に「秘密を話されてしまった」という相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。

相談者の女性は、夫に前科があることを「絶対に誰にも話さないでほしい」と民生委員にお願いしていたのにも関わらず、近所の人に話されてしまったそうです。女性は、処罰する方法はあるのか、守秘義務違反として提訴できるのか、といったことなどを尋ねています。

地域の人から相談を受ける機会も多い民生委員ですが、秘密をバラしてしまった場合、何かペナルティはあるのでしょうか。齋藤裕弁護士に聞きました。

●民生委員法には罰則規定がない

民生議員に守秘義務というのはありますか。

「民生委員については民生委員法が義務などについて定めています。民生委員は住民のプライバシー情報を入手できる立場にあります。そのため、民生委員法15条は、『民生委員は、その職務を遂行するに当たっては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない』としています。

よって、民生委員が職務の過程で住民の前科に関する情報を取得し、これを必要性もないのに近所の人に話すことは民生委員法15条違反となります」

罰則はないのでしょうか。

「地方公務員法の守秘義務規定に違反すると処罰されます。しかし、民生委員法には処罰規定がないので、民生委員が秘密をもらしても処罰の対象とはなりません」

●損害賠償請求の対象となることはありえる

相談者は訴訟にすることも考えているようです。損害賠償請求はできるのでしょうか。

「秘密をもらす行為が損害賠償請求の対象となることはありえます。また、都道府県知事や市町村長に申告をして、漏洩をしないように指揮監督や指導をしてもらうことも考えられます。さらに、都道府県知事に申告し、民生委員法11条に基づき民生委員の解任をしてもらうことも考えられます。

なお、例えば、民生委員が、児童福祉のための協議会のメンバーとして知った秘密を漏洩したような特別の場合については、秘密漏洩が処罰の対象となることもあります」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
齋藤 裕(さいとう・ゆたか)弁護士
刑事、民事、家事を幅広く取り扱う。サラ金・クレジット、個人情報保護・情報公開に強く、武富士役員損害賠償訴訟、トンネルじん肺根絶訴訟、ほくほく線訴訟などを担当。共著に『個人情報トラブル相談ハンドブック』(新日本法規)など。
事務所名:さいとうゆたか法律事務所
事務所URL:http://blog.goo.ne.jp/niigatanoikoutuujiko