「Enjoy !!」
 頼んだジョッキを目の前にドンと置いたウェイトレスの笑みに、緩んだ。
 オーストラリア、ブリスベン。
 シドニー、メルボルンに次ぐ豪州第3の都市で、クイーンズランド州の州都。人口は220万人で、日本では数も規模も名古屋に近いといわれる。
 空高くそびえ立つ未来的な高層ビルがモダンで、その足元には植民地時代を想うレンガづくりの教会や、ゴシック様式の時計台など残されている。
 どこかマンハッタンの雰囲気もあるビジネス街。その一角のバーで、最新の旅客機や路面電車、俊足の近郊電車の、余韻に浸りながら、酔った。
 いま、東京とゴールドコーストの間にジェットスターの直行便が飛んでいて、最新鋭旅客機であるボーイング787がそのルートを担っている! 東京とブリスベンを結ぶ直行便は、ない。
 そんなわけで、成田からB787の超〜静か&快適な夜行便で、ビクトリアビールをやりながらゴールドコースト(クーランガッタ)空港へ、飛んだ。
 世界の旅人を惹きつけるこのリゾート地に、2014年7月、新たに路面電車のレールが敷かれ、その上をボンバルディア製の新型超低床電車が走り始めた。その名も「G:link」だ。

ゴールドコーストに走り出した路面電車


 ゴールドコーストの中心街を南北に走るG:linkは、すべてが新規路線。
 道路のまんなかにバンクの付いた軌道が敷かれ、静かな電子音を発しながらスルスルと駆け抜ける。
 駅に近づくとき、出発するとき、カンカン♪とクラクションを鳴らす。
 ラン鉄中年にとって、新しい路面電車は、ドキドキわくわくモノだけど、痛いほど残念なのは、飲酒NG。オーストラリアの一般車両のほとんどが、タバコはもちろん、お酒もダメ。
 缶ビールをプシュッとやって車窓を楽しみたいけど、ダメよ〜ダメダメ。
 でもそこは英国文化の残り香ただよう街。線路沿いにはシャレたアイリッシュパブやカフェが軒を連ねる。
 大盛りのヴァッファローチキンにかぶりつきながら、ビールで流し込む。パブから見るトラムも、Good.

ゴールドコーストから近郊電車でブリスベンへ


 雨が少なく青空が広がる日が続くゴールドコースト。やっぱりビーチにも繰り出さなくちゃってことで、サーファーズパラダイスやブロードビーチで、「中年男が白波と戯れる」の図。
 路面電車、サーフボードと乗った中年男。3日目はクイーンズランド鉄道に乗ってブリスベンへ。近郊電車に揺られて北へ80km、1時間10分の旅。
 ネラング駅から、ブリスベン空港直通列車「エアトレイン」でリゾート地からビジネス街へ。6両編成のクロスシート車には、学生やビジネスマンなどの姿。乗車率は3割ほどだった。
 ゴールドコースト付近は時速140kmでかっ飛ばし、保養地を一気に駆け抜け、車窓に郊外の丘陵地帯が映りだす。やがて列車は右へ左へとカーブし、ブリスベン川を渡り、コンクリートジャングルへと進入していく。

「One more ?」「Errr…Yes !!」


 街はちょうどランチタイム。国民の大らかさよろしく、ハンバーガーも巨大。自分の顔面ほどのバーガーに喰らいつくスーツ姿の男性に、Wow !!
 ジェット、トラム、サーフィン、エアトレインに乗り、オーストラリアに酔った。クイーンズランド州の魅力を、ジェットコースターで巡った気分。
 1杯目のジョッキが空になり、あのウェイトレスがこちらにやってきた。
「One more ?」「Errr…Yes !!」

この連載は、社会福祉法人 鉄道身障者福祉協会発行の月刊誌「リハビリテーション」に年10回連載されている「ラン鉄★ガジンのチカラ旅」からの転載です。今回のコラムは、同誌に2014年11月号に掲載された第27回の内容です。

鉄道チャンネルニュースでは【ラン鉄】と題し、毎週 月曜日と木曜日の朝に連載します。

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