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 2017年1-9月期、英国の自動車生産が2.2%減少した。その原因としてフォルクスワーゲン(VW)をはじめとする燃費規制を逃れるための制御プログラムの不正が発覚したことが大きく影響しているようだ。さすがにディーゼル・エンジンに対する不信感がEU全体に広がり、買い控えが広がったようだ。

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 一方で、慌てたEUメーカー主導でトヨタのHVを警戒するあまり、EV移行を進める動きが飛び出しており、HV車の売り上げを落としているようだ。イギリス、ドイツのEV移行宣言は、かなり政治的なにおいが強く、EVブームに拍車をかけている。

■EV移行は本物か?

 政治的決断が先行しており、トヨタHVに対する警戒感を除くと、いろいろ矛盾点が見えてくる。クリーンディーゼルでトヨタのHV攻勢を防ごうとしてきたヨーロッパ各国の自動車メーカーは、制御プログラム不正に慌てたようで、すぐにEV移行の政策を打ち出し、トヨタHVの売り込みを阻止しようとしている。

 PHVの普及を促す姿勢に関しても、EV走行のみで500kmを超えるとCO2排出量を1/3に計算するなど、フェアとは思われないEV優遇政策を打ち出し、HVの普及を阻止することに躍起になっている。

 EVの普及は本来、発電エネルギー政策とセットで考えなければならず、必ずしもCO2削減に直結しない。その意味ではEU、アメリカの政策は「HV潰し」ともとれる内容だ。中国のEV政策は、発電が火力発電所の稼働ではCo2削減にはならず、本末転倒である。中国国内の自動車産業育成の政策との見方が妥当であろう。

 日本国内では数年のうちにガソリン車がEVに置き換わってしまうとの観測が出ているが、一方で現在ガソリン車の熱効率も40%〜50%に上がる技術開発にも目途が立ってきており、さらに60%を超える新圧縮ガソリンエンジンの数年間での完成が期待されている。

 この情勢下では、EV移行がCO2削減に結び付くか否かは確定できない。引き続きガソリンエンジンの熱効率向上策を見ることと、大規模発電所から全国に配電するシステムのCO2削減の技術的発展を見なければ結論できない。集中発電よりも個別発電の方が災害には強い。

 どちらにしてもEVは、現状の蓄電池の効率が低く、この数年で開発が進む新蓄電池の性能向上の様子も見なければならない。現状のリチウム電池の性能では、実用化には遠い。実験的EV車は問題発見のために有効だが、本格的生産には、もう一段の電池の開発が必要である。

■デザインは自由だがガソリン車でも出来ること

 またEVになると夢のようなレイアウトが可能であるがごときデザインが発表されているが、その多くは現在のガソリン車でも可能なことで、それよりも安全性を満たすことが新デザインには必ずしもできていないようだ。

 AI自動運転車の普及と相まって、EVが夢のごとく語られているが、AI自動運転そのものとEVとを混同して語られているようだ。特に生産現場での問題点では、ガソリンエンジンからEVへの移行は、特段難しいことではなく、むしろ簡単に行える。問題は部品点数の削減で、多くの失業者が出ることであろう。

 生産技術の革命は起きてはいない。これまでのガソリン車と同じ、安全性能を満たすデザインを守ることは最低限必要なことだ。そのうえで、テスラの事故などを教訓に、アイデアだけでなく実用化の技術を慎重に取り入れるべきと考える。アイデアだけの先行は許されない。数十年かけて作り上げられてきた安全基準は、少しも変ってはならないのだ。これはテレビ、パソコンとは根本的に違うことだ。