ドラマや映画で、結婚式を終えた新郎新婦を乗せた派手な車が、後ろに結び付けられた多数の空き缶をガラガラと鳴らしながら走り抜けていくワンシーンを見たことがあるはず。日本で、実際にこのシーンを目にする機会は多くありませんが、そもそもこの「車」、そして「空き缶」にはどのような意味があるのでしょうか。全米ブライダルコンサルタント協会アジア統括代表の小原義之さんに聞きました。

オープンカーやクラシックカーが定番

 小原さんによると、新郎新婦が乗る車のことを日本では「ブライダルカー」といい、車全体に華やかな飾り付けが施され、後部に空き缶が結び付けられているのが特徴です。

「ブライダルカーは米国などの文化で、結婚式を終えた後に会場の前で乗り込むのが定番。実際にブライダルカーに乗って旅行に出かけることは皆無ですが、本来は結婚式を挙げた新郎新婦が、そのままハネムーンに向かうことを象徴するものとして行われていました。車種は新郎新婦の好みによって変わりますが、オープンカーやクラシックカーが選ばれる傾向にあります」(小原さん)

 走行時、車後部の空き缶がガラガラと音を鳴らすのもよく知られていますが、これにはどのような意味があるのでしょうか。

「空き缶の音を騒々しく鳴らすことで、悪霊が近づかないようにするという、ゲン担ぎの意味合いがあるとされています。また、結婚した二人の幸せな気持ちを周囲に伝えるとの言い伝えも。花嫁の父親が花婿に娘を託す思いを込め、花嫁が履いていた古い靴を結び付ける場合もあると言われています」

実際に見かけることはまずない…

 近年は日本でも、クラシックカーやリムジンカーで移動するプランや馬車でのパレードプランなど、車を演出に使用するさまざまなプランが登場していますが、空き缶を鳴らしながら公道を走るブライダルカーを実際に見かけることはまずありません。

「日本でブライダルカーを走らせる場合、道路を管轄する警察署に許可を取らなければならないほか、当日の交通規制を行うために多額の費用も必要だとされています。また、どんなに日本の結婚式が欧米スタイルになってきたと言っても、その土地に根付いた風習やしきたりが残っていることもあります。空き缶のガラガラ音は騒音にもなりかねないため、敷居の高い演出なのかもしれません。ただし、会場や遊園地が、私有地を走るプランを用意している場合はあります」

 近年は本場の米国でも、ブライダルカーが街中を走る光景を目にすることは少なくなってきたとのこと。一方で、インスタグラムなどSNSの影響もあり、写真映えやフォトシューティングの演出としてクラシックカーを会場に用意するなど、依然としてブライダルカーは存在しています。

(オトナンサー編集部)