日々、騙し騙されかけひきをくり返す、東京の男と女。

彼らの恋愛ゲームには、終わりなど見えない。

これまで、男を巡って争う2人の女、弁護士に一目惚れした女とその後輩、互いに想い合いながらも本命のいる男女、職場恋愛の三角関係を紹介した。

第13回は、女の友情の裏に潜む、歪んだマウンティング恋愛の攻防。

彼らのかけひきは、誰に軍配が上がるのだろうか…?




外資証券会社に勤める、才色兼備のキャリアウーマン


こんにちは。リナ(29)です。

丸の内にある外資証券会社で、海外営業を担当しています。

仕事は忙しくも楽しくこなしていますが、そろそろ結婚願望を抱く年頃。最近、堅実な人を本格的に探し始めたところです。

私、女優の菜々緒さん似だと言われるくらいには容姿に恵まれていますし、特に男性にも不自由していません。

心配なのは、私より親友の恵梨香の方。

恵梨香は、小学校からつきあいが続く、私の大切な幼馴染。人生の2/3以上を一緒に過ごし、様々な苦楽を共にしてきました。

彼女が失恋をした時にはいつもそばで慰めてきましたし、時には先んじて相手の男を懲らしめることもありました。

恵梨香は優しすぎるから、いつも悪い男に利用されてしまうの。

つい最近もそういうことがあったのです。


友情の裏に潜む、リナの本性とは…


その男は、俊といいました。2人はお食事会で出会ったそうです。

俊はとても女慣れしたタイプで、言葉巧みに恵梨香に近づき、一度手に入れた後あっさり彼女を捨てたのです。

俊君と結ばれた、と嬉しそうに報告が来た一週間後には、ひどく沈んだ顔で「彼が会ってくれなくなった」と打ち明けてきた恵梨香。

私の大切な親友を傷つけるなんて、絶対に許せません。

憤った私は、俊に復讐することを誓いました。


「恵梨香のために、彼に近づいてあげよう」。


彼とつながることは、至極簡単でした。金融系は横のネットワークが広いので、私にもかなりの人脈があります。

Facebookで共通の友人を探してお食事会にこぎつけるまで、そう時間はかかりませんでした。

「初めまして」

真正面に座る彼に微笑みかけた時、眼の色が変わったのが手に取るように分かりました。簡単な男です。

案の定、彼からすぐにデートの誘いがありました。3回くらい引き延ばして焦らした後、昨日遂に一夜を共にしました。

彼、感無量といった様子でしたね。

男性って本当に簡単。私のような女がにっこり笑えば、すぐ骨抜きにできるのだから。

あと数回遊んだら、連絡をいきなり断とうかな。その方が、深い傷を残せるでしょ?

私の大事な恵梨香にしたみたいに、ね。




総合商社の男が出会った、29歳の2人の女


俊といいます。大手町の総合商社に勤務しています。

最近、とても楽しい出会いがありました。お相手は、お食事会で知り合ったリナさん。

彼女が僕の前に座った時に妙な既視感を覚えました。そして微笑みかけてきた瞬間、思い出したのです。

恵梨香さんの友達だと。

恵梨香さんとの出会いも、1ヶ月ほど前の別のお食事会でした。

僕のたわいもない話ににこにことあいづちを打つ彼女を見て、いけるな、という確信がありました。

育ちの良い清楚な女性は、女性慣れしている男に意外に弱いのです。

思った通り彼女は、初デートで躊躇いながらも僕の家までついてきて、簡単に僕のものになりました。

その時だったかな。「何でも相談できる親友なの」と言いながら、リナさんの写真を見せてくれたのは。その顔があまりにも美人だったから、おぼろげながらも記憶に残っていたのでしょうね。

その後、恵梨香さんとは連絡を取っていませんでした。いつでも連絡すれば会えそうだし、他の案件もありましたから。

対してリナさんは、非常に落としがいのある、気位の高そうな女性でした。

ただし彼女には、あくまで恋愛ゲームとしての興味しかありませんでした。本命にするには気が強すぎて、1週間と一緒にいられなそうだったから。

でも、彼女が妙に含んだ笑顔を投げてきた時に、違和感を覚えたのです。


復讐をもくろむリナに、俊が仕掛けた罠とは…?


リナの復讐計画を見抜いた、俊


恵梨香さんはリナさんに「何でも相談している」と言っていたのに、僕のことを話していないことなどあるでしょうか?

後ほど幹事に確認したところ、やはりリナさんから僕に声がけをするよう依頼していたことが分かりました。

そう、彼女は、恵梨香さんの復讐のために僕に近づいてきたのです。

僕、そういう女性が一番苦手なんですよね。友達を助けるふりをしながら、本当は優位に立ちたいだけの女。

せっかくなので僕は、あえてリナさんの手の平で踊ってあげることにしました。

おそらく彼女は、僕を夢中にさせた(と彼女の中で確信した)後、僕との連絡を絶つのではないでしょうか。

その前に仕掛けますよ。良き頃合いで「君より好きな人ができた」と恵梨香さんの写真を見せて、リナさんを振るんです。

良い人の仮面を被った彼女が、劣っていると思っていた友人が原因でプライドを傷つけられた時。どんな顔をするのか、見ものですね。




リナは私の人生において、「厄介者」


初めまして。恵梨香(29)と申します。

茅場町にある大手化粧品会社の宣伝部で、CM制作を担当しています。

リナ。

彼女は私の人生において、「厄介者」の一言に尽きます。

美人で頭も良くて何でも持っているのに、それでもなお、人のものが欲しくてたまらない子。

言うなれば、承認欲求と自己顕示欲のかたまりなのです。

高校時代に好きな男の子がいると打ち明ければ、「恵梨香のために仲良くなってあげる!」とその男子に近づき、気づけば自分がつきあっている。

大学のサークルで先輩と私がいい雰囲気になると、「あの人、女好きらしいよ」と私に吹き込んで彼との仲を遠ざけながら、裏では自分のものにして、「女なら誰でもいいのよ」としたり顔で報告してくる。

正直彼女には、ずっとうんざりしていました。

けれど美人でもなければ取り柄も特にない私は、リナに対抗する術も気力も持ち合わせていなかった。ただひたすらに、悔しさを押し殺してきました。

でも、社会人になってしばらく経ってから、恋愛市場における女の価値が変わってきていることに気づいたのです。

20代前半まではリナのようなタイプがちやほやされるのですが、20代後半ともなると、家庭的で温和な女性が求められるようになってくるのです。

そこで私は思ったのです。積年の鬱憤を晴らす時期が来たのではないか、と。


俊を利用した、リナへの復讐


俊君には、リナへの復讐のためだけに近づきました。

そういう意味で、俊君は適材でした。近づいてくるリナを利用こそすれ、本命としては絶対に選ばず、彼女のプライドを傷つけそうな男性だったから。

もちろん俊君のことを全てリナに相談したのも、作戦のうち。あまりにも私のシナリオ通りに事は進んでいきました。

俊君が私に再度連絡してきたのは、予想外でしたけどね。リナがそのことを知っているとすれば、なおさらプライドを傷つけられたのではないでしょうか。

積年の恨みをはらせて、今はとても清々しい気持ちですよ。


友情の裏に潜む、マウンティングにまみれた恋愛攻防…勝負の結果は?


親友よりも優位に立ち続けた女、それを利用して恋愛ゲームを楽しんだ男、男を利用して復讐を遂げた女。

貴方が思う本当の勝者は、誰?