米華字ニュースサイト・多維新聞は、日本では明治維新以降に伝統医学がいったんは衰えたが、第2次世界大戦後に官民の取り組みで人々の信頼を得ることに成功し、復活・普及したと紹介した。

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米華字ニュースサイト・多維新聞は27日、「中国中医の未来は日本にあるのか?日本の漢方医学を探る」と題する記事を掲載した。日本では、中国から伝わり自国で改めて発展した「漢方医学」が明治時代に一度はすたれたが、第2次世界大戦後に官民の取り組みにより消費者の信頼を得て改めて普及したと紹介。本来は日本よりもレベルが高い中国は、伝統医学をさらに発展させられるはずと論じた。

記事は冒頭で、中国では自国の伝統医学に対する人々の気持ちに矛盾があると紹介。まず伝統医学に対する評価とその要因として、中華人民共和国成立以来、安価な伝統医薬が国民の健康に大きく貢献したことや、伝統薬から抽出した成分のアルテミシニンがマラリアの特効薬となったことで、屠●●(トゥ・ヨウヨウ。●=口へんに幼)氏が2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞したこと、板蘭根(板藍根)がさまざまなウイルス感染症を予防する「神薬」とみなされていることなどを挙げた。

一方で、人々が医療を受ける際の第一の選択肢は西洋医学になった上に、伝統医薬品の品質問題がしばしば報道されていると、伝統医学に対する信頼が失墜している現状を指摘。人々が伝統医学に希望を託すのは西洋医学では治療が難しいとされる病気になった場合で、特に頼りにされるのは「老中医」と呼ばれるベテラン医師と指摘。「老中医」が崇拝される現象は、伝統医学が経験科学としての欠点を持つことの表れであり、同欠点は現代化における最大の問題点と論じた。

日本の漢方医学については、中国の古典医学を導入し日本で発展したものと紹介。明治時代には西洋医学に圧倒され、政府による医師免許試験からも外されるなど「死刑宣告」を受けたが第2次世界大戦以降に復活したとした。

記事は、日本で漢方医学が復活した大きな理由は、高齢化に伴い西洋医学では有効な治療法が少ない生活習慣病や慢性病の問題が深刻になったからと主張。日本人は急性の症状の場合には西洋医薬を用いるが、慢性病の場合には漢方薬を好むようになったと論じた。また、日本人の間で「漢方薬は体質を改善する」との認識が定着したと評した。

日本における漢方薬の普及の背景として、政府が1967年から漢方薬を健康保険の適用対象にしたことも指摘。2010年には認められた漢方薬が236種にも達したと紹介。さらに、製薬業界が漢方薬の製剤の規範づくりをしたことも奏功したとの見方を示した。

記事は、日本では官民の動きにより漢方医学や医薬品が人々の信頼を得たと強調。中国人の間でも日本の漢方医薬品に対する信頼が高まり、日本を旅行した際には漢方医薬品を争って買い求める現象も発生したと指摘した。

記事は、日本の漢方医学は、後漢末期から三国時代に書かれた「傷寒論」などわずかな古典を理論的基礎にしているだけで、その後も研究が積み重ねられた中国と比べるとレベルは極めて低いと指摘。中国はすでに高齢化時代に突入しており、薬材資源が豊富にあることからしても、伝統医学をめぐる状況がいつまでも日本より遅れているのは理屈に合わないと主張した。中国メディアや華字メディアでしばしば見られる「日本の成功事例を参考にして、自国も状況改善に取り組むべきだ」とする論調だ。

なお、日本における「漢方」の呼称は、江戸時代にオランダを通じて紹介された西洋医学が「蘭方」と呼ばれたため、区別するため発生した言い方。中国では自国の伝統医学を「中医」、伝統薬を「中薬」と呼んでおり、上記記事も漢方医学を「中国から伝わり日本で発展した医学」として区別して扱った。ただし現在では、中国でも社名に「漢方」の文字を入れた製薬会社も見られるようになった。

中国ではその他に、インド医学に起源とするチベット医学やモンゴル医学、アラビア医学起源のウイグル医学なども行われており、該当民族の居住地を中心に、西洋医学でも「中医」でも対処が難しい病気の場合などに治療を求める人が珍しくない。(翻訳・編集/如月隼人)