東の羅臼(らうす)から西の斜里町ウトロまで、知床半島を横断する「知床横断道路」。毎年11月の上旬から翌年の4月下旬までの5カ月半、人も車も通ることができなくなります。理由は、数mの雪が積もるから。日本一、通行期間が短い国道としても有名な知床横断道路。今年は11月6日の17時から全面通行止めになります。


知床半島は世界自然遺産。知床峠からは羅臼岳や国後も見える

北海道の北東に位置する知床半島は2005年、世界自然遺産に登録されました。半島の東側が羅臼町、西側が斜里町。東から西、西から東に陸路で行くには、知床横断道路が一番の近道です。
この道路は国道334号。標高738mの知床峠を通って東西を行き来できるので、ドライブコースとしても大人気です。道路の北側にそびえる雄大な羅臼岳には、7月下旬でもまだ残雪が見られるので、猛暑を逃れてくる観光客には一服の涼となっています。また、斜里側から入って峠を通ると、晴れた日は海の向こうに国後(くなしり)が見えるほか、手つかずの大自然を感じる山々の連なりは、まさに「ザ・北海道」。特に秋の紅葉は最高に美しい景観です。

海の向こうに国後(くなしり)が見える


10月23日から夜間の通行を規制。11月6日から全面通行止め

ダイナミックな北海道の大自然を堪能できる知床横断道路ですが、山を通り峠を越すので、冬は積雪量がとても多くなります。吹雪や雪崩などの問題もあるため、除雪を一切せずに全面通行止めになります。
10月下旬になると、北海道では雪が降る日もあります。また、この時期になると、昼間は道路が乾いていても、夜は霜などによって道路がブラックアイスバーンでツルツルになる恐れがあります。観光客が多い道路なので、滑る道には不慣れなドライバーも多いため、10月下旬から夜間だけ通行止めになります。今年は10月23日(月曜日)から、夜間(17:00〜翌朝9:00)は通ることはできません。
さらに、本格的に冬のシーズンになる11月になると、翌春まで全面通行止めになります。今年は、11月6日(月曜日)17:00から、来年4月下旬までの約5カ月半の間は通ることができません。
もし、ウトロから斜里、斜里からウトロに用事がある時は、遠回りして、半島のつけ根を通らなくてはなりません。

春まで通れません


北海道に桜が咲くGW頃から全面開通。除雪はまるで「土木工事」!?

3月になると、4月下旬の開通に向けて横断道路の除雪が始まります。数mも降り積もる雪を除雪するのは、並大抵の重機では歯がたちません。その作業は、除雪というよりも、土木工事に近い大仕事です。普通の道路では200馬力のロータリー車で除雪しますが、知床では400馬力のロータリー車に、硬い雪にも対応できる特別の歯をつけて、雪山に立ち向かいます。
はじめに雪原に入るときは、どこが道路だか見当もつきません。そこで、雪が積もる前に道路のフチに立てておいた矢羽根が重要な目印になります。地面から数mの高さにあるはずの矢羽根が、雪の上にチョコンと顔を出しているのを見れば、その積雪の深さが想像できます。
そして、無事に開通した道路では毎年、高さ4mの雪の壁に挟まれた道路を歩く「知床雪壁ウォーク」が行われ、10kmのコースを歩いて通ることができます。
〈参考:釧路開発建設部、北海道根室振興局〉
〈参考:北の交差点vol.14,2003,「知床横断道路の除雪作業は、除雪というより土木工事です」〉
北海道では雪虫が飛び、車のタイヤを冬用に履き替える時期がきました。北国の冬は突然やってきます。朝起きると、雪で一面が真っ白に。そして、その雪が春まで残る、いわゆる「根雪」になるのです。まるで、「はい、今日から冬っ!!」というふうに宣言されるがごとく、冬が始まります。
知床の横断道路は来春まで約半年もの間、閉鎖されます。紅葉もそろそろ終わり、北国の長い冬が始まろうとしています。

残雪の羅臼岳