その行動が称賛されたドジャース・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

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コミッショナーもダルビッシュを称賛「非常に模範的な形で対応した」

 ドジャースとのワールドシリーズ(WS)第3戦で、アストロズに所属する元DeNAのユリエスキ・グリエル内野手が人種差別行為をした問題で、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は来季開幕から5試合の出場停止処分にすると発表した。グリエルに対してはWS出場停止を求める声も出る中、“当事者”のダルビッシュ有投手の行動を米メディアは「ダルビッシュがグリエルを救った」「このドラマでヒーローとして現れた」と絶賛している。

 グリエルは、第3戦の2回にドジャースの先発ダルビッシュから先制ソロを放った後、ダグアウトで両目尻をつり上げる仕草を見せ、アジア系の人々を侮辱する差別行為として問題視されていた。試合後、グリエルは謝罪。A・J・ヒンチ監督は「彼も反省していると思う」と声明を発表していた。

 世界中の注目が集まる頂上決戦で起きた人種差別問題を受け、ダルビッシュとグリエルの双方と話し合いを行ったというマンフレッド氏。会見では「彼はこの難しい状況を非常に模範的な形で対応した。このネガティブな出来事を、学びとより深い理解を得るための機会にしようと考えるのは、特筆すべきことだ」とダルビッシュの行動を称賛した。

 米メディアもダルビッシュの懐の深さを高く評価している。地元紙「ボストン・ヘラルド」は「ユウ・ダルビッシュが人種差別のジェスチャーを行なったユリ・グリエルをワールドシリーズ欠場から救う」と特集した。

WSではなく来季出場停止は「正しい判断」、ダルビッシュは「ベースボールを救った」

 WSではペナルティが発効しないというMLB側の決定について、記事では「手ぬるいとみる人もいるだろう」と分析。しかし、WSでグリエルに出場停止処分が下った場合、選手協会が異議申し立てを行い、処分確定まで試合に出場することになっていたであろうというシナリオを予想。WS出場停止は歴史的な処分となる上に、アストロズのチームメートにとって「アンフェア」だとマンフレッド氏が語ったという3点から、今回の決定を「正しい判断」と評価している。

 そして、この裁定に導いたのはダルビッシュの寛容さだったとも指摘している。

 記事では「彼はこのドラマのヒーローとして現れた。毅然とした態度でグリエルの謝罪を受け入れることを選んだのだ」と称賛。もしダルビッシュが激昂するようなことがあれば、日本の野球ファンからのさらなる抗議も予想された。メジャーリーグと野球の国際的なイメージダウンの恐れもあっただけに、「ユウ・ダルビッシュはベースボールを救った。我々全てを救ったのだ」とも称えている。

 第3戦ではよもやの4失点で敗戦投手となったダルビッシュだが、人種差別行為を受けた後の言動からアメリカで称賛を集めている。(Full-Count編集部)