左サイドから得意のドリブルでチャンスを作った上月壮一郎。課題はフィニッシュの部分だ。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

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「結果は悔しかったと思うのですが、それをバネにしてより上を目指そうという顔つきで帰ってきた」
 
 京都サンガU-18を率いる岸本浩右監督は、インドでのワールドカップから帰ってきたふたりの姿に目を細めた。U-17日本代表で主将を務めた司令塔・福岡慎平、切れ味鋭いドリブルで攻撃にアクセントをもたらした上月壮一郎。世界の列強国と戦い抜き、国内では得られない経験値を携えて帰ってきた。
 
 大会を終えて10日以上が経過した10月28日。紫の戦闘服を身に纏い、Jユースカップ3回戦の清水エスパルスユース戦にふたりは挑んだ。コンディションが完全に戻っているとは言い難いなかでの試合だったが、いきなり結果を残したのはさすがのひと言。スコアレスで迎えた前半終了間際の44分だった。上月のアシストから福岡がネットを揺らす。結局、この一撃が決勝点となり、チームは1-0で勝利を収めた。
 
 試合後、殊勲のふたりに話を聞くと、やはりインドでの体験談が出てきた。とりわけ、揃って口にしたのが決勝トーナメント1回戦のイングランド戦だ。0-0で90分を終え、PK戦(3-5)の末に敗れた大一番。
 
「イングランドとやってレベルの差を感じた。なかでもボールを取りに来る迫力は凄かった。イングランドは決勝に進出しているので、良い相手とできて、良い課題を与えてくれた。たぶん、一生忘れないですね」(福岡)

「帰ってきてからワールドカップのことが忘れられない。毎日、毎日イングランドの14番とか9番が頭に出てくる。帰国後もテレビで大会を見ているので、本当に忘れられない。1時間に1回ぐらい頭に出てくるぐらいです」(上月)

 いまだに強烈な記憶として残り、常に頭のなかを駆け巡るほどのインパクトがあった。
 世界最高峰のプレミアリーグに籍を置く猛者揃いのチームとの対戦で、通用しなかった部分が数多くあったという。
 
 代表で背番号10を背負った福岡が感じた差は守備の迫力だ。

「イングランドはボールを奪いきれる選手が多かったけど、日本はボールを見て遅らせる選手が目立った。僕も見てしまう選手なので、カゼミーロみたいに迫力を持っていけるような選手にならないと、この先、世界で戦うことは出来ないなと感じた」

 とりわけ、ボール奪取能力の違いを痛感させられたからこそ、レアル・マドリーで活躍する現役ブラジル代表の名を挙げたのである。
 
 一方の上月は攻撃面で力量の差を肌で感じ取った。特にフィニッシュの部分で思うところがあったという。

「今日(清水ユース戦)みたいにドリブルで前に行けてもシュートを外してしまった。イングランド戦でもそうだったけど、自分で行けても決め切る力がなければ、チームを勝たせることはできない。上に行くためにはゴールを決めないといけないし、決め続けないといけない」

 イングランド戦でも変幻自在のドリブルで好機を生み出した。しかし、最後の局面でシュートを放てず、最後までゴールをこじ開けられなかった。逆に言えば、そこでネットを揺らせるような選手になれば、さらに上に行く可能性を秘めている。
 
 ワールドカップで体感した世界との距離。あの出来事があるからこそ、「あの目は次を見ている」と岸本監督は感じ取った。あとは脳裏に焼き付いている記憶を、彼らがいかに日々のトレーニングや試合に還元していくかだ。
 
「初心に戻ってもう1回努力をして、次のオリンピックやU-20ワールドカップの時に世界で戦えるようにして成長した姿を見せたい」(福岡)

「ワールドカップで感じた差を、今日みたいなゲームでちょっとずつ埋めていくことを意識していきたい」(上月)
 
 強い決意を持ったふたりはインドでの経験を糧に歩みを進めていく。

取材・文:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)