【きだてたく文房具レビュー】カスれ対策に効くホワイトボードマーカー

 

例えば、初めて訪ねた会社でブレスト的な会議をすることになったとしよう。

 

挙がった内容を、片っ端からホワイトボードにマーカーで書いていこうとするのだが、すっごいカスれてまともに書けない。先方の会社の人が「あっ」みたいな表情になったので、こちらも慌てて「大丈夫ですよー」と笑いながら次々に別のマーカーを取って書く……が、なんとすべて書けない。先方の人が「あっ、あっ」みたいな顔をしている。

 

困ったことに、ほとんどのビジネスマンは自社内のホワイトボードマーカーに対しては寛容だ。多少インクがカスれた程度なら、「まぁ、なんとか書けるし」ぐらいで済ませてしまう。しかしそれだと、今のように社外の人間が混じっての作業時に恥ずかしいことになる。

 

身内(のマーカー)に対して甘いのは、この際しょうがない。しかし、せめてカスれ対策が施された優秀なホワイトボードマーカーを導入しておいた方が、何かあった時に困らなくていいと思うのだ。

 

カスれ対策その1……ノック式マーカーにする

まず、インクかすれの要因として大きいのが、キャップの閉め忘れだ。

 

会議の最中にいちいちキャップを開け閉めするのは面倒だし、そもそも忘れがち。結局、会議が終わってからもうっかりキャップを閉め忘れて放置されたマーカーは、次に使うまでに先端がカスカスに乾いてしまう。

↑ぺんてる「ノック式ハンディ ホワイトボードマーカー」丸芯中字 赤・青・黒 各183円

 

そんなキャップの閉め忘れ対策として有効なのが、ノック式マーカー。ぺんてる「ノック式ハンディ ホワイトボードマーカー」は、以前この連載でも紹介したノック式油性マーカー ハンディのホワイトボードマーカー版だ。

↑ノック式は、片手でペン先チップの出し入れができる簡便さが大きなメリット

 

軸後端のノックボタンを押すと、ペン先チップがシャッターを開けてジャキッ! と現れ、もう一度押すとスルッと軸内に収納される。少しボタンは重いが、感覚としては普通のノック式ボールペンと同じである。

↑少し柔らかめで、なめらかな筆記感

 

キャップを閉め忘れる理由のひとつに、いちいち両手を使わないと閉められないから面倒くさい、というのがある。しかしノック式なら片手で操作できるので、閉め忘れにくい。さらにうれしいのが、キャップの開閉をするときにうっかりインクが手に付いてしまう、お馴染みの汚れダメージがゼロにできること。あの不快な手の汚れがなくなるだけでも、充分に使う価値はあるだろう。

 

カスれ対策その2……そもそも乾かないマーカーを使う

ノック式ですら閉め忘れてしまう、というぐらい無精でぼんやりした人間が社内にいる可能性も、もしかしたらあるかもしれない。

 

その場合、とれる対策はひとつ。そもそも先端が乾かないマーカーを使うしかない。

↑シヤチハタ「潤芯ホワイトボードマーカー」丸芯 赤・青・緑・黒 各162円

 

シヤチハタ「潤芯ホワイトボードマーカー」は、なんとキャップを72時間(3日間)閉めなくても大丈夫! という、極度の乾きに強いマーカーだ。その秘密は特殊インクにある。

↑キャップ開け放しで24時間放置したペン先チップ。分かりにくいが、薄い皮膜が張っている状態

 

潤芯のキャップを閉めずに放置すると、乾いたインクがペン先チップの表面に薄い皮膜を作る。この皮膜が、それ以上のインクの蒸発を防ぐという仕組み。次に使用するときは、何も考えずにそのまま書けば皮膜が破れて、その下からフレッシュなインクによる黒々とした筆記が可能となるわけだ。

↑特殊インクの性質か、乾燥するとグレーに近い色合いになる。視認性はあまり良くない

 

3日もあれば、無精でぼんやりした人がキャップを閉め忘れたとしても、次の人が気づいてくれるはず……。

 

カスれ対策その3……直液式マーカー+プッシュリフレッシュを取り入れる

一般的なマーカーペンで、ペン先チップにインクを供給する方式として多用されているのが、軸内に綿を詰めてそこにインクを染みこませた“中綿式”という方法。

 

安価で作りやすく気圧の変化に安定、というメリットがあるのだが、どうしてもインク容量が綿の分だけ少なくなってしまう。つまり、インク切れが早い。

↑ぺんてる「ノックル ボードにフィット ホワイトボードマーカー」中〜太字 赤・青・黒 各216円

 

それなら軸にインクを直接ドボドボと入れちゃえば、たっぷり使えるじゃん? というのが“直液式”のマーカー。現在、複数の製品が発売されているが、オススメなのは、ぺんてる「ノックル ボードにフィット ホワイトボードマーカー」だ。

↑開封時はチップにインクが浸透していないので、ボタンプッシュで中綿にインクを押し出す必要がある

 

ノックルは、正確には“半直液式”と言うべきもので、ペン先チップから軸先端にかけてちょっとだけ中綿が入っていて、その後ろのタンク内にインクがちゃぷちゃぷと入っている。

 

この先端中綿にインクを染みこませるためには、軸後端のボタンにキャップをはめて、グッグッと数回プッシュ。すると、タンクから押し出されたインクが中綿に浸透して、書けるようになるのである(開封時はインクが染みてないので、使う前にまずプッシュが必要)。

↑未使用品のラベルを剥いた状態。インクと中綿が分かれているのが見える

 

もちろん、書いているうちに中綿のインクは切れてカスれてくるが、そんな時はボタンをまた数回プッシュすれば、インクは再充填されて復活。またしっかりと書けるようになる。

 

インク量は軸の側面窓から確認できるので、中綿式マーカーによくある「本当にインク切れなのか分からないので、捨てにくい」ということもない。

↑根本がジャバラ状になったペン先チップ。曲がるストローのように、自由に折れ曲がる

 

実はこの半直液式のノックル、もう20年以上も前から売れ続けているロングセラーなのだが、「ボードにフィット ホワイトボードマーカー」は一昨年に登場した新バージョン。

 

「ボードにフィット」の名の通り、柔らかなナイロン製チップの根元にジャバラ状のスリットが刻まれており、筆圧をかけるとまるで筆ペンのようにしなって、ボードに密着してくれるのだ。

↑チップをしならせることで、筆ペンのような筆記感を味わえる。ボードにフィットするので非常に書きやすい

 

筆者はマーカー類のチップの硬さが苦手で、いつも書きにくさを感じていたのだが、これはかなり快適。ペン先の角度など気にせずグイグイと書いていける。また、筆圧の強弱によって中字〜太字を書き分けられるので、ボードの大小に関わらずこれ1本で済む、というのもなかなか便利だ。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。