広瀬すずが生田斗真へ向けた、真っ直ぐな“まなざし”ーー『先生!』で見せた、初めての恋ごころ

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 ストレートかつ大胆なタイトルである『先生!、、、好きになってもいいですか?』でヒロインを務める広瀬すず。本格ラブストーリー初挑戦ながら、少女の中に芽生える“恋ごころ”を、繊細な演技の変化で示している姿に心が打たれた。

(参考:中村倫也が語る、生田斗真&広瀬すずとの共演と演技への情熱 「今は芝居が楽しくて仕方がない」

 広瀬のその目が、声が、やはり映画に合う。スクリーンが似合う女優だと、つくづく思う。世間にそう早くも印象づけたのが、『海街diary』(2015)だろう。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆ら先輩女優たちに並んで大抜擢され、自身と同名である「すず」を等身大の演技でスクリーンに焼き付けた。続く単独初主演作であり、来年公開の完結編に期待が高まる『ちはやふる』シリーズ(2016)では、かるた対戦後には燃え尽きて、白目をむいて眠り込んでしまうほどのアツいハイテンションかるた女子を好演。スローモーションで捉えた鬼気迫る表情の中に、その可憐さが微塵たりとも崩れないことは驚きであった。スキのない、完璧な美少女ぶりを証明したのである。思えば広瀬にはこれまでも、『海街diary』では前田旺志郎との、『四月は君の嘘』(2016)では山崎賢人との、『ちはやふる』『チア☆ダン』(2017)では新田真剣佑との、“恋の予感”なるものが確かにあった。しかし、いずれも恋愛が主体となる作品ではなく、あくまで“恋愛要素アリ”といったものだったのだ。相手にストレートに「好き」と想いを伝えるような本格的なラブトーリーは、本作が初めてなのである。

 4月、春、入学式ーーあたたかな陽光と、やわらかな風。耳に優しい、森本レオ演じる校長の声。それらに包まれるようにして、島田響(広瀬)と先生・伊藤(生田斗真)の目が合うオープニングは、初ラブストーリー・ヒロインを演じる広瀬にとって、申し分のない“恋の予感”に満ちている。

 “恋の予感”にとどまり、まだ自身の中に芽生えた“恋ごころ”を自覚できていない響は、教師である伊藤を前にするとキョロキョロと目が泳ぎ、声が高くなる。親友の千草恵(森川葵)いわく、「“少しだけ”高くなる」ということであるが、声を発した響自身がびっくりするほどあからさまである。自分で起こしたアクションに、思わずリアクションしてしまう響の姿は、ひとりでノリツッコミしているようで面白く、初恋の瑞々しさが感じ取れる。ここで見られる、響の相手に対する「戸惑い」、そして相手の存在に戸惑っている自分自身に対する「戸惑い」の表現が、ひじょうに細やかだ。思いがけず高い声を出してしまい、恥ずかしい思いをした記憶は誰にでもあるはず。そんな記憶が蘇る、広瀬のアクションとリアクションである。

 伊藤の城である社会科室に颯爽と押しかけ、響はタイトル通りの言葉を大胆に言い放つ。“恋ごころ”を自覚した、彼女の変化が見て取れる場面である。あふれかえる西陽の中、泳ぐことなく伊藤に向けられた、力強く真っ直ぐなまなざし。このまなざしは、響が道場で弓を構える時と同じ、真剣そのものである。またも伊藤が教師然とした態度で彼女のことを一笑に付そうとも、彼女のそれは揺らぐことはないのだ。

 これまでいくつかの作品にも見られていた“恋の予感”は、本作で明確な“恋ごころ”となり、相手に向かって真っ直ぐに走って行った。広瀬が女優として、女性として、その域にまで成長してきた証なのだ。今後もさまざまな“恋ごころ”を演じていくに違いない。さらなるヒロインの奮闘に期待は高まるばかりだ。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

(折田侑駿)