R・ブランソンが明かす、アイデア提案で最も大切なこと

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あなたが提案するアイデアが億万長者の起業家リチャード・ブランソンの興味をひくには、「リチャード・テスト」に合格しなければいけない。

テストのポイントは2つ。まず、専門用語が使われていないこと。そして、飲み物を置くコースターに書き込めるほど簡潔なこと。

「あなたの提案がビールのコースターや、ナプキン、封筒の裏に書き込めないほど長いなら、私はそこに収まる長さの別の提案を聞きたい」。ブランソンは、新たな自伝「ファインディング・マイ・ヴァージニティー(Finding My Virginity)」の出版に当たり行われたインタビューの中で語った。「良いアイデアのほとんどは端的に表現できる」

ブランソンは、ビールのコースターから始まった30億ドル(約3400億円)企業の話を聞かせてくれた。話は、欧州の航空会社ヴァージン・エクスプレスのブルッド・ゴッドフリー元最高財務責任者(CFO)に始まる。

ゴッドフリーは家族とオーストラリアに戻るために同社を辞めようとしていた。ブランソンはゴッドフリーの前途を祝い、「もしオーストラリアで何かやりたいことがあれば教えてくれ」と伝えた。

少し間を置き、ゴッドフリーは答えた。「そう言ってもらえるとは奇遇だ」。彼には実際、考えていることがあったのだ。彼は、アイデアを書き留めたビールのコースターを探す間、少し待ってくれるようブランソンに言った。

その瞬間に生まれた会社がヴァージン・ブルー。オーストラリア第2位の航空会社である現ヴァージン・オーストラリア航空だ。

「ビールのコースターが1000万ドル(約11億円)の投資に化け、3年後には30億ドルの企業になった」とブランソンは語る。最高のアイデアとは簡潔なものなのだ。「封筒の裏にまとめられないようなら、おそらくそれは駄目なアイデアだ。短く、鋭く、完璧にすること」

ヴァージン・グループが簡潔な提案から始めたビジネスは、ヴァージン・オーストラリアだけではない。

南アフリカのケープタウンに近いテーブル・マウンテンでのサイクリング中、ブランソンの義理の息子フレディ・アンドリューズはブランソンと並び、簡潔で魅力的な提案でブランソンの関心を射止めた。「スポーツのスウェット(汗)とヴァージンのスワガー(しゃれたスタイル)を組合せた活動を始めませんか」

アンドリューズは、ブランソンが朝からテニス、カイト・サーフィン、水泳をするほどフィットネスに目がないことを知っていた。ブランソンはこのアイデアを気に入り、こうしてスポーツの祭典「ヴァージン・スポーツ」が誕生した。

「私は失読症なので、あらゆることをシンプルにする。物事は複雑化しない」とブランソン。「ヴァージンのビジネスでは常に、『リチャード・テスト』に合格しなければならない。つまり、私に理解できないことは一般大衆も理解できないということだ」

ブランソンは最近、失読症に悩んだ幼年期について、よりオープンに話すようになった。彼は今、自身の失読症を、ヴァージンの重要メッセージ発信方法を形作った天からの贈り物として捉えている。

ブランソンが16歳で学校を退学したとき、失読症はハンディキャップと思われていた。しかしブランソンは反対に、失読症は「潜在能力の証として認識されるべきだ」と、今年の英誌サンデー・タイムズのインタビューで語っている。

「物事を簡略化できるため、失読症は人生で役立つ事が多い」。失読症により、創造的に考え、複雑なことを簡略化できるようになるため、「大きな強み」を得られたのだという。

ブランソンは、失読症がない人でも自身のアドバイスを生かすことはできると語る。意欲的な起業家やビジネスリーダーに向けた彼からのヒントはこうだ。「ビールのコースターに書き込めないようなアイデアは、複雑すぎて興味が持てない」

これまで2万5000件ほどの提案を聞かされてきたというブランソンの助言には、従った方がよいだろう。