吉田 弓美子選手が「ゼクシオ テン」のドライバーを初投入し、10月6〜8日に開催された日本女子ツアーで優勝。今季2勝目を飾った(写真:ダンロップスポーツ)

12月9日にダンロップスポーツのゴルフクラブ「ゼクシオ」の10代目「XXIO X(ゼクシオ テン)」が発売される。2000年に初代が発売されてから、9代にわたって17年連続でシリーズ国内売り上げNo.1を継続(矢野経済研究所調べ)している、日本のゴルフ最強ブランドである。

ゴルフ場でキャディーバッグを見ると、4人に1人は「ゼクシオ」が入っているのではないだろうか。発売に先立ち10月2日に記者発表が行われた。会見にはダンロップスポーツの木滑(きなめり)和生社長、契約プロである中島常幸氏、横峯さくら氏らが出席し、新商品の性能のよさをアピールしていた。

累計2000万本はダテじゃない

ゼクシオがこの17年間にわたって売れ続けているのはなぜだろうか。記者発表で初代からの販売本数は累計1900万本で、今回の10代目で2000万本を目指すと木滑社長は発表していた。これはドライバーやアイアンまで含めた数量である。海外にも数多くの有名ブランドがある中で、単一ブランドでの累計販売本数は世界一と言っても過言ではない。 

これだけ売れ続けているのには理由がある。2000年のゼクシオがスタートした時期にさかのぼると、当時、住友ゴム工業(現:ダンロップスポーツにスポーツ事業移管)は米国キャロウェイ社の代理店として、一般アマチュア向けブランドのクラブを展開し、順調に業績を伸ばしていた。両社は、1988年から1999年末まで、日本における「キャロウェイ」ゴルフ用品の独占販売契約を結んでいたが、2001年からは日本のキャロウェイゴルフ社に販売事業が移り、両社は販売関係を解消した。

キャロウェイは当時「グレートビッグバーサ」というヒット商品をもっており、ダンロップとしては会社の業績を支えているブランドが1つ、突然消えてしまったことになる。そのキャロウェイに変わって、社運を懸けて立ち上げた新ブランドが「ゼクシオ」である。


10月2日の記者会見の様子。中央が木滑社長、右から2人目が横峯氏、いちばん右には中嶋氏(筆者撮影)

まったく新しいブランドで知名度もなく英文字表記の「XXIO」はなんと読むかわからないとの声も多かった。

1999年に住友ゴム工業が登録した「XXIO」の商標を調べてみると、呼称とし「ゼクシオ」の他に「エックスエックスアイオオ」も登録されていた。読みにくさは十分承知のうえである。

当時の住友ゴム工業のリリースをみると、21世紀を切り開く革新的なゴルフギアの新ブランド誕生を訴求して、「XXIO」の意味は「XXI」:ローマ数字読みで21=21世紀、「O」:ONのOで突き進むの意味で、合わせて21世紀に突き進むブランドであることを表し、会社の覚悟、力の入れ方が読み取れる。

売り上げを支えていたキャロウェイがなくなるということで、会社全体が危機感を共有し、その思いが販売店にも通じて「ゼクシオ」の立ち上げに協力した。都内の大手のゴルフショップも「当時、ダンロップの営業マンが必死になって商品説明をしたことを覚えている。また、会社のトップも販売店に足を運んで自らトップセールスをしていた」と話している。会社一丸となっての、新しいブランドに懸ける意気込みが伝わったということであろう。販売店も積極的に「ゼクシオ」を顧客に薦めた。

つねに前モデルより飛ぶことが条件

ゴルフクラブは「飛ぶ」ことが売れるためには必要である。ゼクシオはスコアが90から110程度のアベレージゴルファーをメインターゲットにして開発されたクラブであるが、ゴルファーが求める飛びをつねに追求し続けていることが継続的に支持されている理由であろう。したがって「ゼクシオ」は今回で10代目であるが、特にドライバーは前モデルより飛ぶことを開発陣は要求され続けている。

「ゼクシオ」のドライバーは初代から軽くて強いチタン合金で造られているが、初代が発売された2000年当時はヘッド体積を大きくすれば、ミスヒットに対する許容量が大きくなり、反発性能が上がり、一般アマチュアゴルフファーにも飛びを体験しやすかった。初代のドライバーの体積は305㎤、2002年の2代目は体積350㎤、2004年の3代目は405㎤、2006年4代目は432㎤、2008年は460㎤と大型化し、つねに前モデルを超える飛びを実感できたことは間違いない。

ただ、ゴルフ規則を統括するUSGA(全米ゴルフ協会)やR&A(全英ゴルフ協会)が飛びに対するゴルフクラブの規制を強化して、2006年からは体積460㎤以下、クラブ長さ48インチ以下、そして2008年からはクラブヘッドの高反発規制が始まり、数値でその値が明確になった。

ゴルファーが飛距離を体感できるか

ゴルフ規則を守りながら、前モデルより飛ぶことを使命とする「ゼクシオ」は、ヘッド単体だけでなく、シャフトやスイングまで踏むこんだ開発を進めている。それを如実に語っているのが、「ゼクシオ」に関する特許件数である。

「ゼクシオ」の2000年の初代から2016年モデルの9代目までの登録特許(特許が成立したもの)は95件を数えている。その中でヘッドに関するもの53件、シャフトに関するもの33件、スイングに関するもの9件とヘッドだけでなくクラブ全体にわたって特許登録している。日本国内のメーカーで比較した場合、単一ブランドで最も多い特許取得数のようだ。ブランドが長期間にわたって続くことでノウハウが蓄積され、特許数を増やすこともできていることが要因だ。


「ゼクシオ テン」の商品イメージ。ゼクシオ史上最大の飛距離を実現したという(筆者撮影)

特に、スイングに関するものは2014年モデル、2016年モデルで合わせて9件と新しいモデルで使われている。10代目の「ゼクシオ テン」については、22件の特許申請中とのことで、飛ばすための努力を続けていることがわかる。

その結果、記者発表では「ゼクシオ テン」は前モデルより5ヤード飛び、初代と比較すると40ヤード飛んでいる」と明言している。ゴルファーがこの飛びを体感できるか、発売が待たれるところである。

「レジャー白書」によると初代「ゼクシオ」が発売された2000年の日本のゴルフ用品市場は4740億円、2016年は3310億円で、ゴルフ用品市場の縮小傾向は続いている。その中で「ゼクシオ」が17年間連続で年間売り上げNo.1を続けてきたことは驚異である。この快進撃が続くのか、あるいは新しいライバルが出てきてこれを阻止するのか。「ゼクシオ」がゴルファーの支持を継続して得られるかにかかっている。