本当の自由はカネや時間では得られない。「価値観の選択」によって生まれる【魂が燃えるビジネス】

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いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるビジネス」とは何か? そのヒントをつづる連載第22回

 自由には種類があります。「自由に使えるお金」「自由に使える時間」などはお小遣いや休日として目に見える形で現れ、数えることもできるので管理が容易です。しかし価値観の自由はそうではありません。

 私たちは生まれてから今までの間に、何千何万という経験をしてきました。その経験を通して「世の中とはこういうものだ」という価値観を作り上げています。いわゆる処世術です。

「作り上げる」と表現しましたが、価値観は否応なしに作り上げられてしまう面もあります。人生は良いことばかりではありません。惨めだ、恥ずかしい、無意味だ、やるせない、としか表現できないことも起こります。そんなとき、私たちは自らが作り出した価値観に縛られてしまいます。

 たとえば学力が足りずに志望校に合格できなかった場合、「世の中は能力で決まってしまう」という価値観に走ることがあります。すると私たちは「自分は頭が悪い。何もできない無力な存在だ」と塞ぎ込んだり、あるいは「人は能力で決まる」と極端な主義主張を掲げて、過剰に努力するようになったりします。

 しかしいざ社会に出ると、「能力だけですべてが決まるわけではない」とわかってきます。世の中には「徳が高い」と評される人間がいます。特にこれといって「ここが凄い!」と特筆できるものはないけれど、自然と人から頼られ、色々な役割を任せられ、そうして出世していくタイプです。あなたの周りにも思い浮かぶ人物がいるかもしれません。

 能力主義の人間にとって、徳によって成功していくタイプはほとんど異星人に見えます。自分のほうが頭はいいし色々と勉強もしている。本人と話してみても、自分のほうが色々と考えている。それなのに、上手くいくのはなぜか相手のほう。またこの手のタイプは「自分なんて大したことない」「ただ運がよかっただけ」と謙遜するのでさらに厄介です。

 彼の成功が不思議に見えるのは、自分が能力主義に染まっているからです。「世の中は能力で決まる」というのは個人的な思い込みにすぎません。実際には能力に対立するように「徳」という概念があります。自ら色眼鏡をかけていて、特定の色を「見えないぞ、なんでだ!」と不思議がるのが私たちです。

 実際の色眼鏡ならかけていることにすぐに気づけます。しかし価値観は形のない、思考の産物です。自分がそうした価値観に従っていると気づくのは容易ではありません。もし気づけるとしたら、それは自分と違う人間の生き方を認められたときでしょう。

 自分と他人の違い、今回の例ならば能力と徳のギャップに気づき、徳に注目できるようになると、世界が別の景色を見せるようになります。何がよくて何が悪いのか、何が正しくて何が間違っているのか、何が効率的で何が無駄なのか。これまでそうした評価しかできなかった世界に、全く違う基準があることが明らかになります。

 これは「能力は役立たずで、本当に価値があるのは徳だ」といった話ではありません。それでは今度は「徳」という価値観に縛られてしまいます。世の中に「能力」という価値観、「徳」という価値観、その他にもいくつもの価値観があります。そうした複数の価値観を選べるのが、最初に言った「価値観の自由」です。

 私たちは価値観によって選択をしようとします。「A、B、Cから好きなものを選択できる」のが自由だと考えています。しかし価値観が変われば選択肢はA、B、Cだけでなく、DやEやFが見えてきます。また能力的にはどんなに頑張っても解決できなかった問題が、徳の視点から見たら自然と解消してしまう場合もあります。

 大切なのは価値観そのものを選択することです。価値観の自由は選択の自由以上に、選択肢そのものを増やします。また価値観は多種多様であるだけでなく、優先順位もあります。自分が理想とする人生を歩むために、自分の価値観に気づき選べるようになること。それこそが私たちに本当の自由をもたらします。

【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」