「BORDER 贖罪」がいよいよ10月29日(日)に放送/撮影=龍田浩之

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「マジか…。えっ? 終わり!? ねえ、終わりなの!?」

【写真を見る】石川(小栗旬)と久高(國村隼)の対峙するシーンは緊迫感マックス!/(C)テレビ朝日

これは2014年6月5日夜10時ごろ、都内某アパート内での筆者の言葉だ。

その日何が起きたのか。別に7年くらい連れ添った恋人と別れるときにすがっていたわけではなく、ハマっていたRPGを“全クリ”してしまったから出た言葉でもなく、ある連続ドラマの最終回、ラストシーンを見た直後の素直な感想である。

勘のいい人ならすぐにこの数字の並びで気付くと思うが、それはついに3年の沈黙を破って復活が決まった小栗旬主演ドラマ「BORDER」(テレビ朝日系)の話だ。あのときは、あまりにも衝撃を受けて大声を出してしまい、アパートの隣に住んでいた方の怒りの“境界線”をゆうに越えてしまい、壁をドンドンされるという憂き目にあったのはここだけの話。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。今回は10月29日(日)夜9時から放送のドラマスペシャル「BORDER 贖罪」を取り上げる。

頭部を被弾して生死の境をさまよった後、「死者と対話できる」という特殊能力を得た刑事・石川(小栗)が、望まずして命を絶たれた被害者の無念を晴らすべく、生と死、正義と法、情と非情の“BORDER=境界線”で揺れ動きながら、事件に立ち向かう姿を描いた金城一紀原案・脚本の本ドラマ。今回のスペシャルは、連続ドラマ終了から直結のストーリーを描く。

殺人事件の被害者たちの声に耳を傾けるうち、正義心をどんどん燃え上がらせていった彼は、裏の世界の力を借りて証拠を捏造(ねつぞう)するなど、危うさも増長させていた。

そんな中、石川は“絶対的な悪”を体現する史上最悪の敵・安藤周夫(大森南朋)と、マンションの屋上で対峙(たいじ)することに。だが、安藤は石川の正義が中途半端であるとして、徹底的に挑発。あおられた石川は自らの正義をなすため、そして死者の無念を晴らすため、正義と悪の境界線で究極の決断をしてしまう。

石川をよく知る者たちの間に衝撃が走る中、警視庁では、独特の存在感を放つ監察管理官・久高喬(國村隼)が石川の取り調べを始める。穏やかな物腰ながらも、鋭い観察眼を持つ久高は、石川から拭い去ることのできない違和感を覚えるのだった。

取り調べのさなか、石川は街中で、美しくはかなげな女性・須藤真実(中村ゆりか)と遭遇する。「わたしを殺した犯人を捕まえてください!」という死者の思いを受け、再び石川が取った予想外の行動とは? 石川の運命が再び動き出し、物語は伝説のラストへ…というストーリー。

■ 再び予想を超える“ラスト”へ

3年前の“あの日”以来、続きを描いてほしい…けど、もし続きを描くとしたらどんな展開になるのだろうか、と日本中の「BORDER」ファンなら考えたはずだ。

ある人は「安藤を落として殺人者になった石川がパニック状態になって逃亡し、立花(青木崇高)らと追い掛けっこするのではないか?」と、またある人は「実はこれまで死者を見て、事件を解決して…というのは全部夢で、1話のときに頭部を被弾して以来ずっと昏睡状態だった」。

そして「あれで完結しているので、もう続編は作らないのではないか?」という声も。

そういういろいろな人のいろいろな思いがある中で、復活した今作。正直なところ、いくら金城一紀でもあの衝撃のラストを越えるストーリーを生み出すことはできないだろう、とどこかで思っていた。この完成映像を見るまでは。

見た後、そんなことを思っていた自分を、顔面がはれ上がるまで殴り続けたいとすら思ってしまった。

まずは、トークショーや山田兼司Pへのインタビューでも触れられてきたことだが、メインキャストたちが3年前から全然変わらない姿で戻ってきたことに驚き。

やつれるというより、何かに取りつかれているような石川に“戻った”小栗。このドラマがインする少し前に筋骨隆々の姿でバッキバキのアクションを撮っていたとは思えない、弱々しい姿になっていた。今でも鮮明に覚えている、9話で葬儀場から安藤の部屋に走っていく、あの姿だ。

彼を取り巻く立花、比嘉(波瑠)、市倉(遠藤憲一)にしてもそう。いい意味でそのまんま過ぎて、もしかしてあのラスト以降もそのとき既に撮っていたんじゃないの?と思ってしまうほど、完璧につながっていた。だから当時見ていた人は、心して続きの世界を見てほしい。

9話のラストで死者となって現れた安藤。もちろんSPでも登場し、石川に向かってさまざまなことを語り掛ける。金曜には“別の世界”でとても温かい演技を見せる大森が、こちらの世界では見ていてとても不快な演技を見せる。さすがとしか言いようがない。

同じく今回のキーパーソンとして登場する久高役の國村。山田Pをして「絶対にキャスティングしたかった」という彼の演技もまた、さすがとしか言いようがなかった。

“司祭”のイメージで仕立てられたというダンディーな白ずくめの衣装、穏やかな語り口調の中に、全てを見透かしたような目。物静かな人が怒ったときが一番怖い、とはよく言うが、久高もまたそういう印象を受ける。

そして、立花の石川ラブっぷりに加え、比嘉のおなじみのスケルトン術着姿、こんな顔もあるのかと思ってしまった満島真之介の怪演、ドラマを盛り上げる川井憲次氏の音楽。

そしてドラマのオープニングを飾るMAN WITH A MISSIONの主題歌「evils fall」も相変わらずドラマの世界観にピッタリはまっていて、タイトルバックはいつ見ても本当にカッコイイ。

その他、石川のことを聞きつけた“闇のカルテット”たちの集結も見逃せない。

便利屋スズキ(滝藤賢一)の「何があってもかけつけます」や、サイ君&ガー君ことサイモン(浜野謙太)&ガーファンクル(野間口徹)の石川への思い、赤井(古田新太)の冷静な指揮、連ドラ第7話で“最強の敵”である掃除屋(中村達也)と対峙したときは、石川の暴走を前に協力をやめた彼らの今回の“決断”にも注目してほしい。

今回も心に響くせりふがたくさんあるし、何があっても石川を信じる周りの連中がとにかくいとおしい。

書きたいことは山ほどあるし、まだまだ書き足りないが、BORDERファンの1人として、必要以上に書いてしまってファンの方が見たときの衝撃が半減するのだけは避けたいところ。そこの“BORDER”は絶対に越えたくない。

1つだけ言えるのは「正義」とは何なのか。それをあらためて強く考えさせられることになるだろう。

仲間たちと「カワイイは正義だし〜!」と言って、この時期いつの間にか定着した仮装パーティーをするのもいいけど、特にこれまで「BORDER」ワールドに触れてきた人は、“伝説のラスト”を見届けてほしい。

これを見て初めて「越境」の真の意味が理解できた気がする。