三浦崇典(Takanori Miura)  1977年宮城県生まれ。株式会社東京プライズエージェンシー代表取締役。天狼院書店店主。雑誌「READING LIFE」編集長。プロカメラマン。小説家。劇団天狼院主宰。映画『世界で一番美しい死体〜天狼院殺人事件〜』監督。ライター・編集者。著者エージェント。2016年4月より大正大学表現学部非常勤講師。2017年11月、『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)を出版予定。  NHK「おはよう日本」、日本テレビ「モーニングバード」、BS11「ウィークリーニュースONZE」、ラジオ文化放送「くにまるジャパン」、J-WAVE、NHKラジオ、日経新聞、日経MJ、朝日新聞、読売新聞、東京新聞、雑誌『BRUTUS』、雑誌『週刊文春』、雑誌『AERA』、雑誌『日経デザイン』、雑誌『致知』、雑誌『商業界』など掲載多 数。2016年6月には雑誌『AERA』の「現代の肖像」に登場。

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世界一売ることが難しい商品が「殺し」を売ることができれば、世界一のマーケティング・マネージャーになることができるのではないか?――そう考えた天狼院書店店主の三浦崇典氏の発売直前緊急寄稿第2弾!
いよいよ11月9日発売される本格マーケティング小説『殺し屋のマーケティング』(ポプラ社)において、「受注数世界一の殺しの会社」を創ろうとしている主人公の女子大生起業家七海は、師匠の西城の教えで、世の中に存在する、あらゆる「マーケティング」関連の本を読み込む。
しかし、七海は「ビジネスモデル」を重視した1回目の起業を失敗し、西城にこう言われる。
「今まで読んだマーケティングの本を、すべて忘れるんだ――」
処女作『殺し屋のマーケティング』が発売直前の中、著者の三浦崇典氏は、本屋を起業したきっかけとなった『1坪の奇跡』(稲垣篤子著)に想いを馳せる。なぜ、今、「殺し屋小説」と吉祥寺「小ざさ」が結びつくのだろうか?

「マーケティング主義」から「コンテンツ主義」へ

「広告」「営業」「PR」を重視した、「マーケティング主義」とも言える、今までのマーケティングが、「費用対効果」の面で急速に力を失いつつある。

 その一方で、去年から本格的に台頭し始めたのが、「コンテンツ主義」とも言える、「商品(サービス)」の「コンテンツの質」を重視した戦略である。
 それは、去年は映画の世界で特に顕著で、『シン・ゴジラ』『君の名は。』『この世界の片隅に』のスマッシュ・ヒットは、マーケティングにおける時代の「潮目」を多くの人に印象づけた。
 そう、今、マーケティングの世界は、大きな転換点を迎えているのだ。
 3作品に共通しているのは、次の2点である。

1.「コンテンツの質」に徹底してこだわったこと
2.観客の拡散がヒットの大きな要因になったこと

「コンテンツの質」に徹底してこだわることは、一見すると至極当然のように見えるが、実は、違う。多くの場合、まず、ここが疎かになる。

 なぜなら、「コンテンツの質」にこだわればこだわるほど、莫大な「費用」と「人的工数」がかかるからだ。

 もし、自身が「コンテンツの質」が高い「商品(サービス)」を創り出す能力がない場合、その能力を習得するために、多くの「時間」を費やす必要が生じることだろうし、あるいは、すでにその能力を習得する人を雇うには、報酬として多くの「費用」が費やされることになる。

 それゆえに、起業当初は、必然的に「コンテンツの質」よりも、「ビジネスモデル」を重視する戦略を取りがちである。

「コンテンツの質」を高めることに資金と時間を費やすよりも、「ビジネスモデル」を構築するのに費やしたほうが、費用対効果が高いと、「錯誤」してしまうからだ。

 折しも、時代は、キャッシュレスが一般化し、「サブスクリプション」や「定額課金」が主流となりつつある。

 服は買うものだったのが、「メチャカリ」など、月額定額で借りることができるようになり、ソフトは買うものだったのが、フォトショップやイラストレーターなどのデザインソフトを提供する「Adobe」は月額や年額の課金様式、いわゆる「サブスクリプション」で使用料を支払う方式にほぼ移行しつつあり、マイクロソフト社の「Office」もその流れに移行しようとしている。

 少し前の映画はその都度DVDを借りていたのが、「Netflix」や「Hulu」などの月額課金のサービスが登場し、一気に市場を拡大している。

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