「シェフのスペシャルコース」(1名15,000円税・サ別)

外苑前のイタリアンといえば、まずここがあがるという人気と実力を兼ね備えた名店だ。

イタリアン界の名店中の名店『リストランテホンダ』が2017年8月にリニューアルし、さらにパワーアップした。

本多哲也シェフによるプレゼンテーションで供される料理は、訪れる度に新たな出会いと感動を与えてくれる。今回は新作コースの一部とともに、本多氏の今後の展開への想いも伺った。



客席と厨房の間にガラス窓を設置することで、客席に開放感をプラス。奥行きを出しながらも、厨房の音は客席に届かないように設計されているのも本多氏の細やかな配慮である
最高のパフォーマンスを届けたい。25席という限られた空間に込めた想い

開店当時から25席という限られた空間で、ひとりひとりに最高のパフォーマンスを届けることを大切にしてきた本多哲也シェフ。

その想いはリニューアル後も健在。席数を多くすることはなく、よりゆったりと寛げるようにテーブルサイズなどを変更。常連客からは「少し広くした?」と言われるそうだが、以前よりもゆったりとしたテーブルサイズがそう感じさせてくれるという。



「毛ガニ、アボカドとマスカルポーネムースのレタス包み」。旬の百合の食感が楽しい。ほうれん草をパウダー状にし、上から振りかけ美しいグリーンに仕上げる
素材の味を素直に打ち出し、現代のアプローチで魅せる

常に日本の時流を意識し、食材と対話しながら、その素材がもつ最大の美味しさを引き出してきた本多シェフ。リニューアル後も、そのこだわりは強く「トラディショナルな料理や伝統的な郷土料理を、現代風にアレンジしながらより素材を素直に打ち出していくことを意識していきたい」と語る。

組み合わせとしては伝統的であるが、見せ方やアプローチを現代風に。今回はコースの中からそんな想いを込められた渾身の新作をご用意いただいた。



「穴子のパスタ」。一度蒸してから備長炭で炙り味わいを引き出した天然穴子と、赤ワインを練り込んだパスタの相性は抜群。穴子の赤ワインソースをイメージし、赤ワインと穴子の味わいを楽しめるよう、ソースはブーロ・エ・パルミジャーノでシンプルに
本多シェフが作り出す、新たな「かけ算パスタ」とは?

パスタというと全ての素材を和えた時に、一体感をもつことが大切だとされてきた。所謂、足し算の料理である。

本多氏は、この定義に疑問を投げかける。確かに一体感は重要だが、素材の味を活かすという面では、パスタに使用する食材、ひとつひとつを食べていってもしっかりと完成された味わいを感じなくてはいけない。そして尚且つ一体感も感じさせてこそ、本当のパスタではないか、と本多氏は言う。

素材の足し算ではなく、かけ算によって生み出される味は、言うまでもなくこれまで以上の美味しさを放つ。今回は新作パスタ2種をご用意いただいた。



「赤座海老のパスタ」。赤座海老のエキス使用したトマトソースを作り、パスタと絡め、その上から炭火で焼き上げた赤座海老を豪快にのせる。

『リストランテホンダ』の開業から13年が経った。店が刻む歳月は、常連客の年齢層も徐々に上げていく。それに合わせ、年配の人でも最後までコースを楽しめるように工夫もしていくと本多シェフ。

また、パスタのみ3種類を提供していくコースなども考案中だというから、今後の展開が楽しみだ。


本多シェフ、まずまず磨きがかかってます!



客席に煙を上げながら登場する鍋の中には骨付きのロース肉が。藁のいい香りを纏った一品の登場が待ち遠しくなる
「本多の部屋」に遊びに来て欲しい。料理の境界線を越えて生み出される美食

この日のメインの提供方法も、藁で瞬間薫製される蝦夷鹿を客席まで鍋の状態で運び、薫香と見事な蝦夷鹿を魅せてくれるという演出つきで楽しませてくれた。



「蝦夷鹿の骨付きロース肉の瞬間薫製 長時間ローストしたビーツ」。旬を向かえるビーツの甘みと鹿肉がよくあい、黒コショウのソースがその相性をピリッとしめる



「モンブラン HONDA風」。丹波栗の甘露煮の上に、アールグレーのジュレや栗のエスプーマ、カカオのグリッシーニなどがのる。上からは15年もののバルサミコをかけて酸味もプラス
歓声が上がるモンブラン登場!

最後のお楽しみは、「モンブラン HONDA風」。
本物の栗があしらわれた器もユニークで、さらに皿の中では何種類もの調理法に変化した栗が。酸味や苦みなどさまざまな味わいが一体となり軽やかなのに濃厚だ。

パワーアップしてさらに楽しさも増している『リストランテホンダ』。開業当時の13年前は肩に力が入っていたというシェフも、年月と共にお客様との対話が楽しめるようになってきたそう。

その対話から生まれる新しい発想は、今後の展開への確実な道標なのだろう。常に進化し続けている名店だ。



本多シェフが試みる新たな挑戦から、今後も目が離せそうにない