フリーペーパー専門店「ONLY FREE PAPER」スタッフが、数ある作品の中から特に気になるものを選出し、作者にお話を伺う連載「フリーペーパー学」。

第7回目は、男性用パンツ好きのためのフリーペーパー『UNDIES ZINE(アンディーズ・ジン)』を制作する、パンツユニットUNDIESのくつべらさん(写真左)といぐちまなぶさん(同右)。

かなり至近距離から捕らえた、美しい男性の下半身とパンツが目に飛び込んでくる、インパクトのあるフリーペーパー。発行者であり、こちらもインパクト大のUNDIESのお二人に、媒体で撮影に使われた実物のパンツ群を囲みながら、媒体のこと、パンツのこと、隅から隅までお聞きしました!

UNDIES ZINE とは?

男性用パンツをモチーフに、写真、イラスト、文章で表現する「男性用パンツ好きのためのマガジン」。パンツユニット「UNDIES」の二人が、モデル、撮影、執筆、デザイン、ほぼ全てを分担し制作している。撮影に使うパンツは全てモデル所有のもの。くつべら氏は約100着ものパンツを所有している。2016年創刊。

な、なぜ犬の覆面?

--フリーペーパーのことを伺いに来たのですが、お会いしたら他にも気になることが増えてしまいました。読者も気になっていると思いますが、くつべらさんは何で犬になってるんでしょうか?

くつべら:犬は3年前くらいからですね。僕より前に、すでに犬を被っている人たちがいまして、Twitterで見つけて僕も被るようになりました。これを被ってパーティーに行ったり、自分たちでイベントを企画したりしています。


--変身願望の具現化ということ?

くつべら:そうです。そういった場所では普段と全く違う自分でいたいんです。名前もニックネームで呼ばれているので、顔見知りでも僕の本名を知っている人は少ないです。 こういう人になりたい、こう認識されたいという思いで名乗っている名前があるなら、その名前で呼ぶことが最大のリスペクトなので、僕のことはぜひ「くつべら」と呼んでください。

パンツユニットUNDIESと『UNDIES ZINE』の誕生

--どのように出会いパンツユニットを結成したのですか? 

いぐちまなぶ:Twitterでパンツの自撮り写真を投稿するくつべらくんの存在を知って、なんか変な子だなって思ってたんです。俺は当時、友だちや知り合いにモデルになってもらって写真を撮ったりしてたんですけど、くつべらくんの自撮りの写真をTwitterで何度も目にするうちに、一眼レフで撮ってみたくなったんですよね。で、声をかけました。

くつべら:パンツが好きで、自撮りはくつべらアカウントを開設した5年前ぐらいから日課になっていました。

――パンツが好きで自撮りを……。

くつべら:田舎の実家ぐらしだった頃は、ちょっときわどいパンツを買うために郵便局に局留めして取りに行ったり、こっそり楽しんでいたんです。一人暮らしになってからは、誰にもはばかることなく楽しめるということに気がついて。それから自分で撮って投稿を始めました。


--初めてお二人で撮影したものをベースに、フリーペーパー『UNDIES ZINE』が出来上がったのですか?

いぐちまなぶ:フリーペーパーっていう話になったのは、最初の撮影から1年後ぐらいかな。

くつべら:そうだね。なんか形にできるんじゃないかなって。僕は地元にいた頃、フライヤーとか紙ものを作っていたので、アウトプットしたかったんですよね。あと、まなぶさんの熱量。撮ってもらったら、「ここの生地のシワが…」とか「ここの盛り上がりが」とかすごい熱弁してくれて。お互いに機が熟したというか、そういうタイミングだったんですね。

--そこまでお二人を惹きつけるパンツの魅力は?

くつべら:キッカケは確かドン・キホーテの下着コーナーでセクシーなものを見かけた時だったと思います。単純にすごく興味が湧いて。知り合いが見てるんじゃないか……とソワソワしながら購入したスリルと、実際に履いてみたときの気持ち良さ。その衝撃が今に続いている気がします。

いぐちまなぶ:俺は試しに撮ってみたら、パンツの形や生地によって、見せたい角度とか切り取りたいところが違うんだなという発見があって。そこからパンツの魅力に惹きこまれました。

--創刊号から一貫して、とにかく写真が美しいですよね。表紙も毎号、興味をそそられるアングルと切り取り方で。

くつべら:表紙については、まなぶさんと相談して毎回自撮りでやらせてもらってるんです。

いぐちまなぶ:そこは俺も、くつべらくんの自撮りがいいと思っていて。彼がUNDIESのアイコンなんです。毎回テーマやアプローチを変えても、ベースのスタンダードなものはキープしていきたいんです。

作品としての「性」

--男性用パンツがモチーフではありますが、メインテーマはやはり「性」という部分なのでしょうか。パンツと身体がとても美しく見える写真で、決して卑猥ではない、セクシャルなものをすごく感じます。品のあるいやらしさというか。

くつべら:その表現はすごい嬉しいです。

いぐちまなぶ:メンズの下着って、いやらしいものではないんですよね。ただの表面的なものでしかない。下品にならないようにしようっていうのは、創刊のときから今でも大事にしていることなんです。

くつべら:その感覚は二人ともとても近いよね。

いぐちまなぶ:性というものをあえて使っている、というところはあるかも。ただ、性的な目線だけでなく作品としても見てほしい。

くつべら:見たこともないものを作りたい、っていう気持ちが大きいですね。印刷するならちゃんとしたクオリティのものにしたかったし、こだわって作りたかったんですよね。

――くつべらさんの自撮りありきで始まったUNDIES ZINEですが、3号からは別のモデルも出てきますね。

くつべら:2号目までは自分たちも手探りで作ってきたのが、3号目からはやりたいことがはっきりしてきたんですよね。

いぐちまなぶ:あと、モデルも体型の違う人が出たら、もっと幅広い楽しみ方ができるよねっていう話をある方からされて。それで実践してみたらモデル次第で見え方がすごく変わるんだなと感じました。特に4号で自分がモデルをやってみて、パンツの選び方や見せ方で「自分らしい」ってこういうことだなと、すごく考えたんです。だからやっぱり、人それぞれのパンツ観っていうのがあるんだろうなと。

――人それぞれのパンツ観…!パンツは基本的にプライベートなものなので、そのパンツ観は本来は自分だけの楽しみなのかなと思っていました。フリーペーパーにすることでパンツ観を他人と共有することもできるんですね。

いぐちまなぶ:パンツってプライベートなものですけど、“完璧なプライベート”ではないと思うんですよ。完璧な、という意味でいくと、もう全裸なんですよね。パンツはその完全プライベートな部分を隠すためのものなので、パンツという存在自体はプライベートではあるけれどもパブリック寄りだと自分は思うんです。

あと、どんなパンツを履くかによって、気分が変わりますよね。たとえば「勝負パンツ」っていうのは、自分の気持ちを奮い立たせるために履くもので、履くパンツによって精神的にも少なからず左右されてるんですよね。だから、本当に好きなパンツを履いている自分っていうのは、やっぱり相当気持ちがいいんじゃないかな。

フリーペーパーを手渡ししない理由

--こだわりはZINEの配布場所にも現れていますね。

くつべら:配布場所は我々の行きつけのお店が多いです。フリーペーパーの手渡しはしていなくて、その代わり配布場所を書いた“Invitation”というマップを渡します。このマップを持ってお店に人が集まることで、フリーペーパーを通して人と場所、人と人がつながっていくことがすごく面白いなと思っています。

いぐちまなぶ:フリーペーパーを置かせていただいてる場所は、自分たちが本当に好きなところなので、ぜひ足を運んでもらいたいんですよね。微力ながらフリーペーパーを使って、そういう面白い場所の紹介とか案内にも貢献できたらなと。

くつべら:それが、フリーペーパーを置かせてもらうことに対してのお礼だと思っています。“Invitation”は、UNDIESのこの取り組みに対する「招待」っていうことなんです。

--今後やりたいことはありますか?

くつべら:いつかやりたいなっていうのが、展示です。二人展。

いぐちまなぶ:毎回、使えない写真がいっぱいあるんですよ。すごく良くてもテイストに合わな くて泣く泣く削ったりとか。文章や絵でもそういうのがあって、何もしないのももったいないなーと。

くつべら:あとは、もっとまるっとこの世界に入り込めるような場所を作って、関わってくれた人に感謝を伝えたいっていうのもありますね。フリーペーパーだけでなく、たまにテンション張って盛り上がるお祭りみたいなのをやりたいなと思ってます。

いぐちまなぶ:パフォーマンスとかもね。お祭り的なものはその時限りにはなりますけど、紙で見るのとはまた違った面白みのあるものができたらいいね。

男性用パンツにこだわり自分たちの表現にこだわり続けるパンツユニットUNDIESは、パンツと表現に向き合うとてもピースフルな人たちでした。
現在『UNDIES ZINE vol.6』で紹介するお便りを募集中だそうです。男性用パンツにまつわる相談や質問にUNDIESのお二人が答えてくれますよ。

なお、こちらのインタビューのフルバージョンはONLY FREE PAPER HPにて公開中です。

過去の連載はこちら↓