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「やばい倉庫があるんですよ、都内なんですがね」

 かつて都内で某企業の倉庫に勤務したことのある女性が、その倉庫に纏わる怪談を筆者に教えてくれたのは三年ほど前だったと記憶している。

「どういう風にやばいんですか」

「この倉庫の壁の中には霊がいるんですよ、壁をノックすると中から同じ回数が打ち返されるんですよ」

「まじですか」

 筆者は興奮を抑え切れない。

「いや、本当ですよ、噂では倉庫が建つ前に亡くなった霊だと言われてますがね」

 私は無言のまま生唾を飲み込んだ。一方、女性はさらに続けた。

「あと、壁に耳をあてると、未来のお告げが聞こえるらしいですよ」

「お告げですって」

 この話を聞いた時、筆者は衝撃を受けた。

 実は十年近く前、筆者はこの倉庫を訪問したことがあったのだ。

 当時、物流の改善提案をやっていた筆者は、ある企業のトップと保管倉庫の候補としてこの倉庫を訪問した。

「なかなかいい倉庫じゃないですか」

 その企業のトップは上機嫌であった。

 私は、その企業の方とまだ新しかったその倉庫を見学した。

 すると、何を思ったのか、その企業のトップは壁をノックし、耳を壁に当てた。

「はははっ、こうして安普請かどうか調べてるんだ」

 その方は笑いながら耳をあてていたのだが、みるみる表情が変わった。

 そして、突然倉庫から飛び出し、駐車場に戻ってしまった。

「兎に角、今日は気分が悪い、帰らせて欲しい」

 そのトップは突然、そう言い残すと自宅に帰ってしまった。

 その後、何故か物流改善の話はなくなってしまった。

 翌年、その企業は、顧客を死なすという不祥事を引き起こし、業績を悪化させてしまった。

 あの時、企業のトップは何を聞いたのであろうか。

(監修:山口敏太郎事務所)