本田真凜のグランプリ(GP)シリーズ初挑戦となった、10月27日のスケートカナダ女子ショートプラグラム(SP)。シニア初戦だった9月17日までのチャレンジャーシリーズ・USインターナショナルクラシックではSP、フリーとも1位で、2位の長洲未来(アメリカ)に14.88点の差をつけて圧勝しており、自身も期待を持って臨んだ試合だった。


グランプリシリーズ初戦のSPでまさかの出遅れとなった本田真凜

 だが、その後にSPのプログラムを変更。すぐに振り付けを始め、今回の試合で初披露になった『ザ・ギビング』だったが、予想以上の厳しい結果となった。演技を終えた本田は落ち込んだ表情でこう語る。

「緊張はそこまではしなかったんですが、楽しく滑ろうという気持ちが裏目に出たのかなと思います。最初のジャンプも、もうちょっと緊張感を持って臨めばよかったなと、自分の中で分析しています」

 最初の3回転ルッツ+3回転トーループの1本目のルッツで少し着氷を乱し、無理につけたトーループが回転不足になって転倒。そのミスが、その後のすべての流れを狂わせた。

「ショートでミスをするのは久しぶりなので、落ち着いて気持ちを切り換えられなかったのかなと思います。ジャンプはその日、その日でミスもあるかもしれないですけど、その他の部分でもどんどん焦ってしまったので、スピンも回転が足りなくなった。滑っていて、最初から最後まで焦っていた、ダメな演技だったなと自分でも思います」

 本田自身がこう言うように、コンビネーションスピンとフライングキャメルスピンはレベルを取れずにGOE(出来ばえ点)で減点される出来。さらに、終盤の2回転アクセルもシングルになって0点となってしまい、得点はジュニアだった昨季と比べてもかなり低い52.60点というものだった。10位という結果に、キス・アンド・クライでも本田に笑顔はひとつもなく、呆然とした表情のまま。

「初めてのGPシリーズだから失敗したというのではなく、自分では今回すごく練習をしたつもりでしたが、まだまだ甘かったなと思う」と本田は反省を口にする。

 濱田美栄コーチは「あの(冒頭のジャンプの)失敗で全部がグチャグチャになってしまった。そこから立て直さなければいけないが、うまくいかなかった時は底力というのが出るもの。ちゃんと練習をしていないからその力がなかった。精神的にも技術的にもまだまだ足りない。ジャンプは一瞬だが、スピンは時間が長い。そのスピンで回転数もポジションも足りなかったというのは、バランスを崩したというのではなく自分で数えていないということ。そこまで気持ちがついていってなかったのだと思う」と厳しく評価した。

 このプログラム自体は、「本人が運命的な出会いだった」と言うように、雄大さや伸びやかさがあり、彼女のしなやかな動きの魅力をより引き出せる曲だ。完成させれば素晴らしいプログラムになるはずと期待させてくれる。

 だが、曲調に変化が少ないため、音をキッカケにして気持ちを切り換えられる場面があまりないという短所もある。今回は、そこが悪い方向に出てしまったといえる。また、SPの曲を変更すると表明したのが8月末で、そこから振り付けを始めたということを考えれば、滑り込みの足りなさがこの結果につながったともいえるだろう。

「このプログラムは今までのなかでも一番気に入っているものですし、今日の試合でもジャンプは抜きにして、滑っていて本当にいいプログラムにしたいなというか、完璧な演技をこのプログラムでしたいなと思いました。伸びしろがたくさんあるプログラムなので、この結果が頑張るキッカケになればいいなと思います。次の試合は1週間後の中国杯で、時間はないですが、直すところはわかっているので、それをしっかり考えていきたい」

 こう話す本田は、翌日のフリーに向けては「ショートで大きく出遅れてのフリーというのは本当に久しぶりで、どういう演技をするべきか、どうすればいいかというのはぜんぜんわからないですけど、自分の期待以上の演技ができるように、今日のことは明日の試合が終わるまで忘れたいと思います」と気持ちの切り替えを図っていた。

 安定感のある演技でこれまでの自己最高を0.08点更新する76.06点を出したケイトリン・オズモンド(カナダ)を筆頭に、アンナ・ポゴリラヤ(ロシア)が69.05点で2位につけて、3位は66.10点のマリア・ソツコワ(ロシア)。だが、6位の本郷理華も含めて4位から8位までは64.06点から59.08点の間にひしめく混戦となっている。平昌五輪代表を本気で狙う本田が、どこまで順位を挽回できるか。その意地を見せるフリーに期待したい。

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