飼い犬には首輪とリードを(写真と本文は関係ありません)

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韓国のアイドル「SUPER JUNIOR」のメンバー、チェ・シウォンさんのペット犬が起こした事故が、波紋を呼んでいる。ソウル市内のマンションで、飼い犬のフレンチブルドッグが住人の女性に噛(か)みつき、その6日後に女性が敗血症で死亡したのだ。

噛んだことが死亡につながる直接の原因だったかは、現時点では分かっていない。ただ、犬の噛み傷から感染症を発症するリスクはあり、飼い主にはきちんとした管理が求められる。

おもちゃを噛み砕くほどのパワー

フレンチブルドッグは日本でも、ペットとして人気の犬種だ。だがユーモラスな風貌とは裏腹に、力強い面もある。2017年10月24日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、フレンチブルドッグを飼育するブリーダーを訪れて、その性格を聞いた。真っ先に出てきた言葉は「フレンドリー」。実際に番組リポーターの足元に、何匹ものフレンチブルドッグが駆け寄りじゃれついた。だが「相手が気に入らないと噛みつく」とも。歯は鋭く、おもちゃを噛み砕くほどのパワーを持つ。

シウォンさんが批判を浴びているのは、フレンチブルドッグにひもを付けず「放し飼い」にしていた管理の甘さだ。このため、シウォンさんが住む家の玄関のすき間から抜け出した飼い犬が、女性に噛みつく一因になったともいえる。

女性の死因となった敗血症とは、感染症により菌の毒素が全身に回り、臓器の障害を引き起こす。女性の体内に入り込んだ菌は何か、さまざまな報道が出ているが特定には至っていない。それでもシウォンさんや家族は、被害女性と遺族に向けてSNSを通じて謝罪している。

日本でも、ペットの犬から飼い主に感染症がうつる可能性は、低いとはいえゼロではない。厚生労働省は「動物由来感染症」に関して、注意喚起をしている。

国内でも犬に噛まれて感染症、死亡例がある

犬に噛まれて感染症になる――頭に浮かぶ病名のひとつは「狂犬病」だろうか。感染すると強い不安感、一時的な錯乱、水を見たり冷たい風に吹かれたりするだけでけいれんするといった特徴的な症状が現れ、高熱や麻痺、全身けいれんが起きて呼吸障害、死に至る。日本国内では過去50年間、発症例はない。ただし、海外の狂犬病流行国で犬に噛まれ帰国後に発症した事例は、2006年に2例と比較的最近見られる。

ほかにもパスツレラ症、Q熱、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症などが、これまで日本国内で確認されている。いずれも犬や猫が病原体を持っている。

パスツレラ症は、犬に噛まれてパスツレラ菌が体内に入り、傷口が赤くはれて熱や激しい痛みを伴って「蜂窩織炎」になる。カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症は発熱や腹痛、吐き気を伴い、重症になると敗血症や髄膜炎を引き起こす。2002年以降、国内で14例あり、うち6例が犬に噛まれたことによるものだ。さらに1人が亡くなっている。

厚生労働省によると、犬に噛まれた事故の保健所への報告は年間約6000件ある。報告されていない件数を含めるとさらに多いことが予想されるので、カプノサイトファーガ・カニモルサス感染症にかかるのは「極めてまれ」としている。それでも重症化する可能性はあり、油断は禁物だ。